上席の心構え

上席者としての役割を果たすためには、まず、不適切な人材がそのポジションについていないか、少数のトップマネジメントが常に注視する必要があります。だからこそトップマネジメントにはしかるべき人物が選ばれなければなりません。これは単なる個々の評価を超え、会社の存続に関わる重要な責任を背負うものです。企業ガバナンスや全社統制の欠如による問題が増える(明るみになる)中、その影響の大きさを改めて痛感しています。

そのような上席としてのリーダーの仕事ぶりは組織全体の基準を決定します。P.F.ドラッカーも「人間集団の基準はリーダーの仕事ぶりで決定される。リーダーの仕事ぶりが優れていれば他のメンバーの仕事ぶりも良くなる。」と述べています。上席者は誰よりも優れていて、誰よりも努力し、組織にコミットできる人物であるべきです。そのため、自己研鑽を怠らない姿勢が不可欠になります。過去の功績のみで組織内に君臨することは許されません。皆に学びを求めるならば、上席者自身が学び続ける姿勢を示さなければ説得力がありません。たとえ担当領域が変わったとしても、生涯学び続けることが求められます。

そして、上席者には仕事ぶりなどの実務能力だけでなく、部下への配慮や余裕のある対応が不可欠です。どれほど仕事ができても、部下に優しくできない、あるいは自分のことでいっぱいいっぱいになり、余裕のない上席者がいると、組織は壊れてしまいます。特に士業事務所では専門性の高さや資格の有無が昇格の基準になりがちですが、一定規模を超えた組織では、それだけで評価されるべきではないと感じます。

また、リーダーシップとは単に指示を出すことではなく、信頼を築くことです。相手の力を信じ、引き出すことが真のリーダーの役割であり、これが軽視されがちですが、上席になればなるほど求められる大切な要素となります。

さらに、上席者には自己開示が求められます。もちろん強制することはできませんが、上司が自らをさらけ出すことで、部下は相談しやすくなり、日々の業務が円滑になります。上席者全員がこの姿勢を持つことで、事務所内に良い空気が広がり、良いスパイラルが生まれるのではないかと考えています。

一方で、組織の健全な運営のためには、他責思考の人物を上席者にしてはいけません。そのような姿勢は会社全体の雰囲気を悪化させ、健全な組織文化を損なう原因となります。

上席者はマネジメントへのシフトに伴い、専門家としてのスキルを磨き続けることに限界を感じる場面もあるかもしれません。時間は有限であり、永遠の課題かもしれませんが、それでも押さえるべきポイントは確実に押さえ、勘を鈍らせないよう努める必要があります。仲間と役割分担をしつつ、どのように折り合いをつけていくかが重要です。上席者としての心構えを持ち、組織全体の成長と調和に貢献することこそが、本来の役割なのではないでしょうか。

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運を手繰り寄せるために

私が自己研鑽をしたりそれをお勧めする理由は、正しい努力をすると幸運が訪れる(確率がUPする)ためです。

この数年間を振り返ると、思いがけないご縁や機会に恵まれ、多くの学びと成長の機会をいただきました。おかげで苦難も経験しましたが…振り返ると、運が良かったと思えることがいくつかあります。

第1位:RSMインターナショナルへの加盟

私たちの事務所がRSMインターナショナルの一員として迎え入れていただいたことは、大きな転機となりました。世界第6位の国際会計ネットワークに加わることで、より広い視野を持ち、クライアントの皆様にこれまで以上の価値を提供できるよう努めています。

第2位:複数の事務所との経営統合

ご縁があり、複数の事務所と経営統合を進めることができました。新たな仲間を迎え入れることで、組織としての成長だけでなく、専門性を高める機会にも恵まれました。

第3位:支援先/投資先のIPOとリターン獲得

長年支援し投資してきた企業がIPOを果たし、そのプロセスを間近で見届けることができたことは、大きな学びとなりました。クライアントの成長を支援する中で、結果的に自らの成長にもつながるという貴重な経験となりました。

第4位:オフィス立退き→移転の経験

お気に入りだった銀座のオフィスが立ち退きとなり、移転せざるを得なくなりましたが、その過程で補償金を得て新たな環境を汐留に整えることができました。現在の汐留シティセンターで、これからもメンバーと歩んでいけることを嬉しく思います。

第5位:不動産投資やビジネススクールを通じた新たなご縁

趣味として始めた不動産投資やEMBA(経営学修士)がきっかけとなり、上場不動産会社の社外取締役に就任しました。今後当然ながら素人レベルではなく高度で広範囲の知見が必要となりますが、ご縁に感謝しつつ貢献できるよう努めていきたいと思います。

これらの出来事を振り返ると、実はめちゃくちゃ大変だったという思いも同時に蘇りますし、現在進行形の部分もありますし、涙涙の話も多いのですが(それはまたの機会で)…

一応運だけではなく、「運を手繰り寄せるための努力」をしていたと感じます。日々の積み重ねが結果として幸運につながるのだと信じています。 未来の自分が「ラッキーだった」と思えるようにさらに努力を続けていきたいと思いますし、一緒に努力する・自己研鑽をする仲間が増え分かち合えればと思います。

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若さは何にも替えがたい武器

私が修了考査を終了した日は、2006年12月24日クリスマスイブでした。当時25歳、同期と盛大にお疲れパーティーをしました。

そして、会計士の修了考査に合格し昇給することを見込んで、汐留のタワマンに引っ越しました。家賃は当時で1LDK 20万円超えだったのでなかなかの野心家だったかもしれません。結果その部屋の一室で創業したので”汐留パートナーズ”という社名になりました。

その後、監査法人を退職して1年後にオフィス(現 近鉄銀座中央通りビルⅢ)を借りました。新橋駅徒歩5分、35坪で家賃60万円弱、敷金12か月。不安と興奮が入り交じった工事着工前、背水の陣の例です。

貯金がなくなっても後悔はなかったですが、よく考えれば顧客も人員も増えていく前提の攻めた意思決定でした。若いからできることというのもあると思うので、若さは何にも替えがたい武器だと今も思っています。

このビルは大きな交差点の角にありとても見栄えはよく、非常に薄長い建物なのですが見方によっては後ろまで空間がありそうで、オフィスの格を3倍くらいに見せハッタリを利かせることができたので良かったです。

若さゆえの勢いと覚悟で踏み出した挑戦が、今の礎となりました。これからもその原点を忘れずに、挑戦し続けていきます。

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ホノルルマラソン2024

先日、ホノルルマラソン(フルマラソン)に参加して、無事に完走してきました!ずっとやりたいと思っていたことだったので、こうして実現できたことが本当に嬉しいです。

コース中は本当に幸せな時間を過ごせました。美しいホノルルの景色を楽しんだり、給水所で出てくる色々な補給食を試したり。地元の方々や他のランナーたちの応援にも背中を押されて、楽しく走れました。そんな中、なんとRSMのLAオフィスの方にも声をかけられるという驚きの出来事もありました。

タイムは誰でも見れるようで、FBで私の記録がさらされていました(笑)。タイムはさておき、完走できたことが嬉しいです。

今回、死ぬまでにやりたいことリストの1つであった「ホノルルマラソンを完走する」という夢を叶えることができました。私の夢に日本からハワイまで一緒に着いてきてくれたメンバーにも感謝です。

「今日が残りの人生の中で最も若い日。」
そう考えると、やりたいことを先送りせず、どんどんチャレンジしていきたいですね。

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中堅事務所が更なる飛躍のために意識したいこと

中堅事務所の一角となり売上と利益を上げ続けるためには、当然ながらブランディング、そして、ブランドを守るための品質向上のためのIT活用とサイバーセキュリティ対応が今後の成功の鍵であるように感じます。中小事務所が更なる飛躍をする上で意識していくべきことの1つです。

そのために経営者は、企業が当然に取り組んでいることを理解しつつ、自らも組織としてそれを実行していかねばなりません。今後士業経営者にはITに関する鋭い感覚がより一層求められます。そしてそれは士業経営者だけでは不可能でもあります。

具体的には

  • インフラクラウドツール(Microsoft 365, Google Workspace)
  • 業務管理システム(CRM, ERP)
  • AIツールの活用(ChatGPT, Copilot)
  • 業務効率化ツール(専用アプリ, RPA)
  • データセキュリティ(情報漏洩防止策)

など時代に合わせたIT活用が生き残りの鍵。

選択や設計を間違えるとリカバリーが非常に難しい点に注意が必要です。特に、クラウドツールや業務管理システムの導入、データセキュリティ対策は慎重に進めるべき。経営者の正しい判断が業務効率や信頼性を大きく左右しますね。そのためプレッシャーがあり学びが不可欠です。

私も自己研鑽を続けていこうと思います。

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士業のコミュニケーションスキルの重要性

士業にとって、コミュニケーションスキルは本当に重要です。場合によってはこれで自身の評価の多くが決ってしまうかもしれません。できていると勘違いし一方的に話しすぎてしまう人もいます。耳は2つあり口は1つなので、まずは自分が話す2倍以上は相手の話に耳を傾けることから始めたいです。これにより、仕事を獲得できたり、良好な関係を継続できたり、社内で昇進できたり、より多くの機会に恵まれると思います。

先日の税理士サミットで登壇者が「これからの税理士はコミュニケーション力が必要だ。顧客に寄り添う存在にならなければ」とお話してくださいました。大人になるまでにある程度形成されているので面接時にそのポイントを重視して採用し、会話が盛り上がらないと採用しないという話も聞きました。私は個人的には後天的にでも一定レベルに達すると考えています。

そんな士業のためのソフトスキルの学びの機会があればとずっと考えています。

  • 話し方
  • 気配り
  • メール文面
  • 身だしなみ
  • 適切な距離感
  • 距離の縮め方
  • 期待値コントロール
  • 失礼に当たる事例集

など。これらを学ぶことで総合力が劇的にアップするのではと思います。

コミュニケーションスキルの研修自体はたくさん世にはあります。本当に苦手な方は損をしていると思うので、1つでも2つでも受講してみることをおすすめしたいと思います。

士業としての専門知識に加え、これらのコミュニケーションスキルを磨くことで、顧客や同僚からの信頼を高め、仕事の幅を広げる大きな一歩となるでしょう。目の前の一歩が未来を変える可能性を信じて、まずは実践してみることが大切です。

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長期安定経営を目指すファミリービジネスについて

日本は世界的にもファミリービジネスが多く成功している事例も数多くあるといわれます。驚くほど古い会社も多いですし。ファミリービジネスの研究が遅れていて相続税も高すぎるのに、日本にはこんなにもたくさんの100年以上や200年以上の会社があるなんて非常に興味深いと思います。ですが寄付税制がさえないこと、富裕層に対する妬みからの同族会社嫌悪など、独特なものが多いので時間はかかることでしょう。

ファミリービジネスは、概ね30年毎に経営者が交替しますので長期安定経営です。サラリーマン経営者のように四半期や年度決算または自らの在任期間の数字にこだわるという視点がそこまでないため長期目線での投資ができます。出光興産創業者の出光佐光が 「資金調達は容易だが利潤の追求を第一に考えなければならず営利のために経営は傾いていく、経営も人も金や物に支配されてしまう」 と頑なに非公開を貫いたこと。エージェンシーコストがない又は少なく、経営者が長期的視点で経営できるので非常に利益率が高くサステナブルになりえます(大失敗事例も多いですが…)。

一方で、トップが優秀でなければ残念な結果になります。そして2代目3代目の役割こそ大変です。最初のリーダーの仕事は企業文化を作ること。次のリーダーの仕事は企業文化を改良し守り承継すること。ファミリービジネスを研究する中で思うのですが、利己的であったり自己保身であったり他責志向でそれに値しないリーダーは上に立ってはいけないですね。

世界に目を向けると、日本ではファミリーオフィスやファミリー憲章のようなものがあまり広がってはいませんが、ヨーロッパではこの研究がかなり進んでいます。日本でもファミリーがオーナーに徹して、プロ経営者に経営を任せるということが今後は広がっていくべきだと考えてもいます。グローバルにはRSMでも”ファミリーオフィスサービス”が広がりつつあるので、税理士としての税務視点の相続や事業承継支援から、もう少し高い視座で顧客を導いていける存在になれればと思います。

末筆ながら、『Governance in Family Enterprises: Maximising Economic and Emotional Success』という海外の書籍を翻訳いたしました。『ファミリー企業のガバナンス~経済的および精神的な成功を極大化する~』というタイトルにしました。

ガバナンスは上場会社だけではなくてもとても重要であり、本書はその点についての貴重な世界のファミリー企業の事例が集まっています。

https://hanmoto.com/bd/isbn/9784561237945

※Amazonなどから購入できるようなのでもしご興味がございましたらよろしくお願いいたします

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RSM World Conference2024 in Singapore

2024年10月15日から10月18日にかけて、シンガポールで開催されたRSM World Conference2024に参加しました。

世界各国のRSMメンバーファームからパートナーなどが集い、最新の世界のビジネストレンドについて共有することで、ネットワークの構築および交流を深めることができました。

この国際会議では、「Be Global」をテーマに、RSMが掲げる「2030年グローバル戦略」の実現に向けて、 持続的な成長をどのように実現し、クライアントに高品質なサービスを提供し続けるかについて活発に議論されています。

デジタル化が進む世界におけるテクノロジーの活用、グローバルな人材育成、品質のさらなる向上、変化し続けるビジネス環境に適応した先進的な成長戦略の構築、そしてESGにおけるビジネスチャンスを最大限に活かす方法といったテーマが中心です。特に、テクノロジーやESG分野は日本においても今後さらに大規模なマーケットになると予想されており、プロフェッショナルファームとしての今後の取り組みにおいて大いに参考なりました。

議論を通じて、未来に向けたイニシアチブを推進し、国境を越えたビジネス機会を生み出し、世界中のスキルと専門知識を最大限に活用する協力体制を改めて確認しました。

今回の会議で得た知識や経験を生かし、クライアントの皆様にはより一層高品質なサービスや有益な情報を提供し、地域社会への貢献を続けてまいります。

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BPOのグローバル化

日本の人口は減り続けますが、世界の人口は増え続けます。グローバルでは専門家のサービスの一部がものすごい勢いでインドにアウトソーシングされて分業されています。テクノロジーの利用もさることながら、大きな案件では単純な人件費の面での価格競争力が入札においては重要だと感じます。

RSMUSもインドにBPOセンターがあり、弊社もフィリピンにBPOセンターがあります。語学の壁さえ超えられれば国境を超えてリソースをシェアできるはずです。テクノロジーの進化とその活用により活路を見出していきたいです。

しかし客観視して考えると、我々中堅ファームにはBIG4ほど複雑な国際税務案件やグローバルモビリティ案件がたくさんあるわけではありません。コンプライアンス業務やBPO業務とセットでお受けするので難易度はBIG4ほどではなく、案件は安定的かつ長期に渡って続いていきます。

その中で外資系企業の支援をするようになって発見したことや驚いたことはたくさんあるのですが、その中でも支払業務(キャッシュマネジメント業務)のアウトソーシングのニーズが多いというのは重要な気付きでした。

個人的な感想として、日本企業は外資企業と比べアウトソーシングが苦手ですが、内資企業も経理/人事/総務に関連するBPO化が進んでいると感じます。そして少子化により労働人口が不足する中で外国人雇用が不可欠となり、日本人と同じような感覚で外国人を雇用する時代が近いと思います。外国人雇用に関する手続/管理等をアウトソースする企業が増えている感覚です。

こうした変化の中で、我々はクライアントのニーズに応じた柔軟かつ先進的なアウトソーシングサービスを提供し、日本企業の持続的な成長を支援していくことが重要であると考えています。

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成長するBPO

アウトソーシング(BPO)は華やかな印象がないかもしれませんが、市場は着実に成長しています。ここ数年で、有報など開示書類の作成や、JSOX/内部監査など、これまでコンサル領域だったものが、BPOへと移行している流れを感じつつあります。BPOは安定した成長性があり、IT活用との親和性も高いです。ただしITを活用したBPOには大きな資本の企業参入があるため、戦略や領域選定がとても重要です。

一方で今後非IT分野のBPOも市場が拡大していきます。それゆえプロフェッショナルファームもアドバイザリーに特化しないのであれば、1つの戦略としてBPOに取り組んでいく必要があります。そのためには一定の事業規模拡大が必要になってまいります。

またBPOは、BtoCだけでなくBtoBにおいても経理業務や人事労務業務は会社内に部署を設け「所有」するのではなく、アウトソーシングし「利用」する、から市場が拡大しています。

こういったBPOは弊社ワンストップの強みが発揮できている領域であり、実際に最近アウトソーシングのお話を頂くことが多いですが、やはり肝になるのは、BPOを通じてクライアントの信頼を勝ち取ることです。

しかし、単純に気合で記帳代行や給与計算をこなしても幸せはありません。

テクノロジーや多言語対応など差別化をする事により
①クライアントに価値提供をしながら
②メンバーに物心両面満足いく状態を提供
したいと思います。同時に追求したいです。

個人的にもBPOはおすすめなのですが、一つ問題としてアウトソースする部分としない部分の切り分けで合意できないことが多い印象です。

以上の点を踏まえ、クライアントと共に柔軟な解決策を模索し、BPOの真価を最大限に引き出すことが、私たちの目指すべき方向でしょう。

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