日本に在留する外国人が、現在の活動内容や身分関係を変更して引き続き日本に在留しようとする場合、「在留資格変更許可申請」を行う必要があります。
この手続きは、単なる形式的な届け出ではなく、法務大臣の裁量による「許可」が必要となる重要な手続きです。要件を満たしていない、あるいは立証が不十分であると判断された場合、不許可となる可能性も十分に考えられます。
本記事では、在留資格変更許可申請の概要、具体的な手続きの方法、そして審査において重要となる論点について解説します。
1. 在留資格変更許可申請の概要
在留資格変更許可申請(Application for Change of Status of Residence)とは、すでになんらかの在留資格を持って日本に在留している外国人が、その在留目的を変更して別の在留資格に該当する活動を行おうとする場合に行う手続きです(入管法第20条)。
実務上、多く見られるのは以下のようなケースです。
- 留学生の就職: 「留学」から「技術・人文知識・国際業務」などへ変更
- 転職による職種変更: 教育職からITエンジニアへ転職する場合など(活動内容が変わる場合)
- 身分関係の変更: 日本人と結婚した場合の「日本人配偶者等」への変更、または離婚した場合の「定住者」への変更など
申請のタイミング
原則として、在留目的が変わる時、かつ現在の在留期間が満了する前に申請を行う必要があります。 なお、変更許可を受ける前に新しい活動(例:資格外活動許可の範囲を超えた就労など)を始めてしまうと、不法就労や資格外活動違反に問われる可能性があるため注意が必要です。
2. 申請手続きの方法と流れ
手続きは、申請人の住居地を管轄する地方出入国在留管理官署(入管)またはオンライン上で行います。
申請ができる人
- 申請人本人
- 法定代理人
- 申請取次者(行政書士や弁護士など、一定の要件を満たす者)
標準処理期間(審査期間)
入出国在留管理庁が公表している標準処理期間は2週間から1ヶ月超とされています。 ただし、これはあくまで目安であり、申請内容の複雑さや入管の混雑状況によっては、数ヶ月を要する場合もあります。特に就職シーズン(1月〜4月頃)は審査が長期化する傾向にあります。
手数料
許可された場合に、収入印紙代として6,000円(オンライン申請の場合は5,500円)が必要です。
特例期間について
在留期間の満了日が迫っている場合でも、満了日までに申請を受理されれば、元の在留期間が経過した後も、従前の在留期間満了日から2ヶ月を経過する日」までは、適法に日本に在留することができます。これを「特例期間」と呼びます。
3. 必要書類について
必要書類は、変更前・変更後の在留資格の種類によって大きく異なりますが、一般的に求められるものは以下の通りです。
在留資格変更許可申請書(在留資格の種類ごとに様式が異なります)
- 写真(縦4cm×横3cm)
- パスポート及び在留カード(提示のみ)
- 理由書(変更を必要とする理由を詳細に説明した文書)
- カテゴリー別の立証資料
就労資格の場合: 雇用契約書、会社の登記簿謄本、決算書、給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表、申請人の履歴書・卒業証明書など
身分系資格の場合: 戸籍謄本、婚姻届受理証明書、住民票、スナップ写真、生計維持能力を証明する資料など
※入管HP等で案内されている書類は「最低限の必須書類」です。個別の事情に応じて、追加の説明資料や補強資料を提出することが、円滑な審査のために望ましいと考えられます。
4. 審査の論点(許可・不許可の分かれ目)
在留資格変更許可申請において、入国審査官は主に以下のポイントを審査します。
① 在留資格該当性(Activity)
申請人が日本で行おうとする活動が、入管法別表に掲げる「在留資格」の定義に当てはまっているかどうかという点です。 例えば、「技術・人文知識・国際業務」への変更であれば、大学等で学んだ専攻内容と、就職先での業務内容に関連性があるか(関連性がない単純労働等ではないか)が厳しく審査されます。
② 上陸許可基準適合性(Criteria)
法務省令で定められた基準(学歴、実務経験、報酬額など)を満たしているかどうかという点です。 特に報酬については、「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」が求められます。不当に低い賃金設定の場合は、基準を満たさないと判断される可能性があります。
③ 素行の善良性
これまでの日本での在留状況も審査の対象となります。
資格外活動違反: 留学生時代に週28時間を超えてアルバイトをしていないか。
納税義務の履行: 住民税や国民健康保険料などを滞納していないか。
犯罪歴: 交通違反等の軽微なものも含め、法令違反がないか。
届出履行状況:各種在留状況に関する届出(就労系の在留資格で転職を行った場合など)が未実施でないか。
これらに問題がある場合、変更申請に対して消極的な判断がなされる要因となり得ます。
④ 在留の必要性・相当性
「なぜ在留資格を変更する必要があるのか」という合理的理由や、安定性・継続性があるかどうかが問われます。 例えば、身分系の在留資格(配偶者ビザ等)の場合、婚姻の実体があるか、日本で安定して生活できる経済基盤があるかが重視されます。
5. まとめ
在留資格変更許可申請は、申請人のこれまでの在留状況と、これからの活動内容の双方を総合的に審査される手続きです。書類に不備や矛盾がある場合、追加資料の提出を求められたり、場合によって不許可となることもあります。
特に、ご自身の経歴や業務内容が要件に合致しているか判断が難しい場合や、過去の在留状況に不安がある場合は、申請前に専門的な知識を持つ行政書士等へ相談されることを検討されても良いかもしれません。
正確な現状把握と適切な資料準備を行うことが、許可への近道となります。
