プロゴルファー李知姫(イチヒ)選手の3億円申告もれ
- 2017.09.11
- ビジネスの話
弊社はプロゴルファーの方々の確定申告や税務顧問サービスをご提供しておりますが、2015年の女子プロゴルファー李知姫(イチヒ)選手の3億円の申告漏れは記憶に新しいところです。李知姫選手は関西を拠点に活動する韓国出身の女子プロゴルファーです。所属先は眞露ジャパンを経て現在フリーとなっています。
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韓国出身の女子プロゴルファーで、日本ツアーで活躍する李知姫(イ・チヒ)選手(36)が大阪国税局の税務調査を受け、2013年分までの5年間で約3億円の申告漏れを指摘されたことが分かった。日韓で得た所得を韓国で申告していたが、国税局から日本の居住者に当たり、日本で納税義務があると判断された。既に源泉所得税を天引きされていたため、無申告加算税を含めた追徴税額は約2000万円にとどまり、既に納付したという。毎日新聞2015年12月9日 08時20分(最終更新 12月9日 08時20分)
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ビジネスマンに限らず、プロスポーツ選手も芸能人も、所得は日本だけではなく全世界で稼得されるのが当たり前の時代となってまいりました。プロゴルファーはプロスポーツ選手であり、個人事業主として活動をしているのであれば当然確定申告を行わなければなりません。
李知姫選手の事例では、李選手が韓国籍であったことから、日本で獲得した賞金やスポンサー収入について、日本で所得税の確定申告をせず、韓国で申告していたようです。しかしながら、日本では居住者となった場合、国籍を問わず確定申告の義務を負うことになります。納税義務があると認定されたとのことでした。
日本の所得税法では、「居住者」と「非居住者」について以下のように定義しています。
「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定する。
日本人が海外で暮らす場合、また、外国人が日本で暮らす場合、日本の居住者になるのか非居住者になるのかの認定は非常に難しいのが実情です。税法上の居住者は、生活の本拠が日本にある否かを、例えば、滞在日数、住居や、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍等の客観的事実によって判断されます。滞在日数のみによって判断されるものではないことから、外国に1年の半分である183日以上滞在していたとしても日本での居住者となる場合がありますし、その逆もまた然りです。
李知姫選手は2001年から日本ツアーに参加してますので韓国プロ選手の中でも日本での活動期間が長い選手の一人です。そのようなことも背景にあったのかもしれません。今後、様々な経済活動がローバル化していくにあたり、「生活の拠点」という概念は非常に難しいですが、今後注目を浴びてくるところでしょう。
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【参考】タックスアンサー No.2875 居住者と非居住者の区分
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。したがって、「住所」は、その人の生活の中心がどこかで判定されます。ある人の滞在地が2か国以上にわたる場合に、その住所がどこにあるかを判定するためには、職務内容や契約等を基に「住所の推定」を行うことになります。「居所」は、「その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所」とされています。法人については、本店所在地主義により、内国法人又は外国法人の判定が行われます。
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