立場が上がるほどに求められる自律と責任

組織においては、上に立つ人ほど厳しい言葉を受け止め、自らを律し、お手本にならなければなりません。立場が上がるというのは自由になることではなく、むしろ制約が増え、自己管理がより求められることを意味します。

独立した当初は一人で本当に自由でしたが、今はある意味で不自由です。色々な制約がありますし、Xもいつかはやめなければならない日が来るかもしれません(笑)。パートナーや取締役、執行役員に対して「ここは改善すべきだ」と愛を持って伝え続ける日々は、楽なものではありません。もちろん私自身ができていないことも多々あるのですが。

一方で、新しく入ったメンバーは大切に育てられるべき存在です。入社して間もない数年間は、ある意味守られる立場にあります。ただ、その状況に甘えるのではなく、できるだけ早く自立し、成長していくことが求められます。信頼関係がまだ十分にできていないうちは、当たり障りのない会話が中心になります。そのためか、私もその頃は仏のように優しいと自分で感じることすらあります。しかし関係が深まるにつれて、愛を持って厳しい指摘をせざるを得ない場面が増えます。たとえば知識や準備の不足を指摘したり、努力の必要性を伝えたりすることです。時に耳の痛い言葉になるかもしれませんが、成長を願っているからこそです。

ここを取り違えて、上席には甘く、下のメンバーには厳しい組織をつくってしまうと、不満が溜まりやすくなり長続きしません。「あの人は可愛がられて出世している」といった声が出てくるのは、健全な組織ではありません。どうしてもそう見えてしまうことはありがちですが。少なくとも弊社の場合、上席の立場は決して楽ではありません。無数の期限なき(常にASAPな)課題に追われ、体力的にもハードな出張や会食をこなしながら、それでもなお自己研鑽を求められ続ける…そんな毎日です。知識・経験・ノウハウを、体力と精神力を伴って提供し続けるのは容易なことではありません。それでも、この挑戦こそが仕事の醍醐味であり、私にとってはワクワクを感じる瞬間でもあります。

最近は「若い人が上を目指さなくなった」「競争に負けても悔しさを感じにくくなった」といった話を耳にすることもあります。多様な価値観や働き方が尊重される時代なので、それ自体は別に良いことだと思います。ですが、その中でもなお「上を目指したい」と本気で思う若手がいれば、きっと会社にとってダイヤの原石です。そういう方々はおこがましいですが、全力で育てていきたいと思います。

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前川研吾 X(旧Twitter) RSM汐留パートナーズ 採用X(旧Twitter)
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