就職氷河期の監査法人、内定の記憶

Big4監査法人の内定に関する投稿が話題になる季節になりましたね。内定を得た方々の喜びのニュースを目にするたび、昔を思い出します。

私の場合は、合格発表日と内定日がまさかの同じ日。人生でとてつもなく大きな出来事が重なった一日でした。とにかく嬉しくて、今思えばずいぶん浮かれていた気がします。当時SNSがなくてよかったかもしれません(笑)。

2003年は、監査法人の就職氷河期でした。年齢が少し上、就職活動のスタートが少し遅い、ただそれだけで全体の約2割が大手監査法人に進めなかった、そんな時代です。そんな中で私は本当に幸運だったと思います。

履歴書を2枚書き、SとCの監査法人に持って行くつもりで朝一番で面接会場に向かいました。Sの面接会場に滑り込み、列に並び、面接までたどり着きました。最後に面接官のパートナーからこう聞かれました。

「他は受けるの?」

「このあとC監査法人に行きます」と、田舎から出てきた私が正直に答えた瞬間、返ってきた言葉は衝撃的でした。

「じゃあ、ここで内定を出すから、そっちは行かなくていいかな?」

私は「はい、もちろんです!」と、反射的に答えていました。

記憶の片隅にあるのは、やけに仰々しいぶ厚い紙の内定通知書です。そこに書かれていた月額給与は305,000円(大都市手当込)。社会に出る前の自分には、現実味のない数字でしたが、ただただ幸せの絶頂でした。

そんな経験があるからでしょうか。私は今でも「内定は、できるだけ早く出してあげたい」と思ってしまいます。あのときの安堵や高揚感は、22年経った今もどこかに残っているのかもしれません。

あまりにも内定を急いで出すと、「この事務所は大丈夫なのか?」「深く検討していないのではないか?」「相当人手不足なのか?」と思われるかもしれないので、最近は弊社もしっかり対応しているようです(笑)。

だからこそ、候補者の安心と納得を何より大切にしつつ、「早く伝えるべきことは早く伝える」採用で、出会ったご縁を丁寧につないでいきたいと思います。

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前川研吾 X(旧Twitter) RSM汐留パートナーズ 採用X(旧Twitter)
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