AI活用の進展とガバナンスの重要性

Claudeの活用によって、これまで多くの時間と手間を要していた業務工数は劇的に削減されます。文書作成や情報整理、アイデア出し、定型業務の補助など、さまざまな場面で生産性向上が期待できることから、こうしたポジティブな側面に注目が集まるのは当然の流れといえるでしょう。一方で、その利便性や効率性に目を向けるだけでなく、その裏側にあるリスクについても冷静に捉えていかなければいけません。

AI活用においては、データ漏洩のリスクが現実のものとして報告されており、サイバーセキュリティ上の脅威や脆弱性の影響も無視できません。加えて、悪意ある操作や誤作動によって不正確な情報が生成される懸念もあります。AIは非常に強力なツールである一方で、その出力を無条件に信頼するのではなく、適切に管理しながら活用していく姿勢が求められます。

そのため、従来のISO 27001(ISMS)に加え、2023年に発行されたAIマネジメントシステム規格「ISO/IEC 42001」への対応・認証の重要性が高まっています。AI特有のリスク、すなわちデータ利用の適切性、モデル挙動の妥当性、ガバナンス体制の整備といった論点を体系的に管理できているかが、今後の信頼性確保のポイントとなるでしょう。単にAIを導入しているかではなく、それをどのような管理体制のもとで運用しているかが、企業や組織の評価を左右する時代になりつつあります。

本来であれば、こうした「守り」を固めてから導入すべきかもしれませんが、会計業界ではまず、個人事業主や中小法人といった領域から活用が進むと思われます。先行する領域では、試行錯誤とトラブルが繰り返され、その都度ルールや技術がアップデートされていきます。いわば、いたちごっこのような進化プロセスを経ながら、実務に適した活用の在り方が少しずつ形づくられていくことになるでしょう。

誰かが一歩踏み出すことで流れが生まれ、その後に続くプレイヤーが現れます。重要なのは、単にその流れに乗るだけでなく、各ファームが想定されるリスクを織り込んだ意思決定を行えているかどうかではないでしょうか。効率化や競争力強化といったメリットだけでなく、その裏側にある責任や管理負担まで見据えたうえで導入を進めることが、結果として持続的な活用につながっていくはずです。

絶え間ないアップデートを受け入れ、変化を恐れず、かつ慎重に歩みを進める先に、AIとの健全な共生が待っています。利便性とリスクの両方を正しく理解しながら、適切な統制のもとで活用を進めていくことこそが、これからの時代に求められる姿勢ではないでしょうか。

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「どこに住むか」に左右されない社会へ

東京は、多くの人にとって、以前ほど住みやすい街ではなくなってきたと感じています。こんなことを言うと怒られるかもしれないですが、いまの東京で無理なく暮らせるのは、しっかり稼げる高所得者か、実家が太く支援が得られる人、あるいはすでに家を持っている人に限られつつあるのが現実ではないでしょうか。

普通に働き、普通に家庭を持ち、普通に暮らしたいだけなのに、その「普通」を維持するためのハードルがあまりにも上がってしまいました。家賃も住宅価格も教育費も高騰の一途をたどっています。少しでも生活にゆとりや広さを求めようとすれば、住まいは都心からどんどん離れ、毎日の通勤時間は長くなるばかりです。それでもなお、「東京という場所を離れてしまえば、大切な機会や情報から取り残されてしまうのではないか」という空気感があります。

確かに、大きな案件を獲得し、最新のトレンドを肌で知り、人と出会う上で、東京が今も極めて重要な拠点であることは揺らぎません。私自身、東京にいたからこそ得られた多くの機会やご縁があり、その恩恵を大いに受けてきました。だからこそ、東京が持つ集積の価値もよく理解しているつもりです。

しかし、だからといって仕事や成長の機会までが、「東京という高コストな街に住み続けられる人」だけのものになってよいとは到底思えません。全国どこに住んでいても、確かな能力と挑戦する意欲さえあれば、価値ある仕事に挑める環境や選択肢があって然るべきです。「東京に出なければ成長できない」「東京に住み続けなければ取り残される」、このような社会構造は、そろそろ変わってよい時期に来ているのではないでしょうか。

日本には、豊かな自然に囲まれ、食事がおいしく、伸びやかな住環境に恵まれた素敵な街がたくさんあります。東京に人や機能を集中させ続けることだけが、この国の成長や発展だとは思いません。むしろ、全国どこにいても自分の力を発揮し、正当な機会を得られる国にしていくことの方こそが、これからの日本にとって重要で、持続可能な豊かさにつながるのではないかと最近よく考えています。

「どこに住むか」によって人生の可能性が狭まらない、そんな選択肢に満ちた社会の実現こそが、これからの私たちが目指すべきところなのかもしれません。

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独自の道を歩むことの価値

独立を果たした2008年当時、私は士業向けのコンサルティングを展開している会社様に頼るべきかどうか、正直悩見ました。迷った末に一度だけセミナーの見学に足を運んだのですが、そこで語られていたのは、売上高10億円を誇る歴史ある会計事務所のこれまでの成功事例についてでした。セミナー終了後には、もちろん非常に熱心なお声がけをいただきました(笑)。

しかし結果として、私はすべてを自分たちだけでやる道を選びました。理由はシンプルで、一般的には大成功とされるお話を聞いても、私の中にどうしても違和感が拭えなかったからです。「それは本当に成功なのだろうか?」「自分が心から成し遂げたいことなのか?」「大好きだった監査法人をわざわざ離れてまでやりたかったことなのか?」そんな疑問が次々と湧き上がってきたためです。当時の27歳の私は、今よりも直感と理想で動いていたのかもしれません。

当然、その選択によって軌道に乗るまで時間はかかりました。それでも、クライアントや役職員を何よりも大切にする、高品質なサービスを提供するという原点を常に忘れずに歩んできました。そして、自分たちの力で事務所の独自性や差別化ポイントをしっかりと打ち出すことができたので、今ではあの時の判断に少しの後悔もありません。誰かの成功事例を聞きすぎると、どうしても自分たちのオリジナリティは薄れてしまいます。既存の型にはまり、そこから新しい独創的な発想が生まれなくなってしまうのです。

たしかに世間には「そこそこ成功するため」の効率的な近道やマニュアルはあるのかもしれません。しかし私は、自分たちで悩み、独自で進めることの真の価値というものを信じたいと思います。

経営においては、一見すると非効率に思える「遠回り」こそが、実は目的地への「最短ルート」なのかもしれません。これからも、誰もやっていなそうな面白いことを考えていきたいと思います。

他人の真似ではない、私たちにしか描けない未来を、これからも一歩一歩愚直に形にしてまいります。

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AI時代に求められるプロフェッショナルの価値

最近強く思うのは、人間にしか生み出せない価値、例えば信頼関係、仕事を楽しむ姿勢、家族や仲間を大切にする文化と、自己研鑽をどう両立させていくかが、これからのプロフェッショナルにとって重要になるということです。単に成果を出すだけではなく、どのような関係性の中で価値を生み出していくのか、どのような姿勢で日々の仕事に向き合うのかといった点が、これまで以上に問われる時代になっていくのではないかと感じています。

AIの得意領域は確実に広がっていますが、だからこそ人が価値を発揮できる領域はより鮮明になっていくでしょう。情報処理の速さや正確性、一定のパターン化された業務においては、今後さらにAIの優位性が高まっていくはずです。逆に、AIと競合する能力で勝負しようとすることは、危険だとも感じています。人が無理にAIの土俵に上がるのではなく、人にしか担えない価値を磨いていくことの重要性は、これから一段と高まっていくのではないでしょうか。

抽象的な表現になりますが、相手と信頼を築く力、意図を汲み取る力、チームを前に進める力といった「ソフトスキル」の重要性は、今後ますます高まっていくはずです。加えて、目の前の相手が何を求め、何に悩み、何を期待しているのかを丁寧に感じ取りながら、適切な形で応えていく力も、より一層求められていくように思います。採用においても、学歴や職歴だけで判断するのではなく、決して妥協せずにその本質を見極めたいと考えています。

効率を追い求めるだけでなく、「誰と働くか」「どういう気持ちで仕事をするか」という人間的な側面を大切にしながら、AI時代のプロフェッショナル像を模索していきたい。それこそ「この人と一緒に飯を食いたいか」という、人柄を重視する視点も大切にしたいです。どれだけ能力が高くても、信頼できない相手とは長く良い仕事はできませんし、逆に人としての温かさや誠実さを備えた人とは、困難な局面も前向きに乗り越えていけるものだと思います。だからこそ、能力だけでは測れない人間的な魅力や、一緒に働く意味のようなものを、これからも大切にしていきたいです。

世界中の超優秀な層が様々な工夫をしながら、大幅リストラなどに踏み切っている現状を見ると、やはり「資格」が「信頼」を支える土台になると強く実感します。もちろん資格が全てではありませんが、それでも一定の専門性や覚悟を社会に対して示すものとして、大きな意味を持ち続けるはずです。

人にしか生み出せない価値がますます重要になる時代だからこそ、高い専門性と豊かな人間性を兼ね備えたプロフェッショナルが活躍する我々の業界には、大きな魅力と可能性があると感じています。これからも、難関資格への挑戦を通じて未来を切り拓こうとする人たちを、心から応援していきたいと思います。

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「パートナー=出資者」を超える組織づくり

私は公認会計士として、資本主義経済の中で生きている人間の一人です。しかし、日々の実務を通じて多様な組織のあり方に触れるうち、どんなビジネスにおいても株式という仕組みが常に美しくフィットするわけではないのではないか、と感じる機会があります。

例えば、プロフェッショナルサービスファームのような業態は、製造業のように大規模な初期設備投資を必要としません。このような領域で、創業期に少額の資金を出資した人間が有限責任のまま、その後も永続的にリターンを受け取り続ける構造には、少し違和感があります。

さらに、近年の税理士法人は急激に大規模化・グループ化が進んでおり、かつての「数人の先生が集まる事務所」という規模を遥かに超越しています。この変化に対し、出資者を資格者のみに限定する仕組みも、無限責任も、現代の多様な働き方や人員構成を考えると、法律が当初想定していたものを大きく越えてしまっているように感じます。抜本的な見直しが必要な時期に差し掛かっているのではないでしょうか。

実際、私たちのようにワンストップサービスを提供する組織では、公認会計士・税理士・社労士・行政書士・司法書士などの士業だけでなく、ITや人事、マーケティング、管理部門のプロもたくさん活躍しています。

そうした環境において、旧来の「パートナー=出資者」という構造は、組織の実態にフィットしない場合があると思っています。実際に価値を創造しているのは、日々の現場で自らの専門性を発揮し、貴重なリソースを投じてくれているメンバーでもあります。

こうした課題を解決する糸口として、欧米で普及している ESOP(Employee Stock Ownership Plan)のように、働く人々が自らオーナーシップを持てる仕組みに可能性を感じています。日本でも従業員持株会活用型ESOPといった形で取り入れられているようです。

法的な規制や制度の壁など、乗り越えるべきハードルは多く、私の単なる妄想で終わってしまう可能性も大いにあります。それでも、人生における最も尊い「時間」という最大の資本を投じてくれているメンバーに対し、その貢献にまっすぐ報いることができる、これからの時代にふさわしい新たな還元の仕組みを、模索し創り上げていきたいと思っています。

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リモートワーク時代における主体的な働き方とプロフェッショナルとしての成長

プロフェッショナルファームにおいて、リモートワーク下で期待を超える成果を出し続けるためには、対面勤務以上に主体的・能動的な姿勢が不可欠である。最近、その思いをますます強くしています。物理的に同じ空間にいないからこそ、一人ひとりの姿勢や働きかけの差が、これまで以上に成果へ直結するようになっていると感じます。

自ら必要な情報を貪欲に獲得し、疑問点については適宜適切に質問を投げること。そして、部下や後輩に対しては状況を察し、自ら積極的に声をかけること。こうした姿勢こそが重要です。リモート環境では、黙っていても自然に情報が入ってくる場面が少ない分、自分から動く力と、周囲に働きかける力の両方がより強く求められるのだと思います。

「与えられた業務を正確に遂行する」という点では、リモート環境でも十分に対応可能でしょう。しかし、その先のステージへ進み、プロとしての付加価値を高め、組織を牽引する存在となるためには、より一層の意識改革と努力が求められます。単に業務をこなすだけでなく、周囲にどのような影響を与えられるか、組織全体にどう貢献できるかという視点が、これまで以上に重要になっているように思います。

具体的には、マネージャーのように組織を支える側として主体的に動くのか、あるいは指示を待つ側にとどまるのか。もちろん、全員が管理職を目指す必要はありませんが、意欲ある人がその目標を実現できる環境は、しっかり整えていきたいと考えています。役職の有無にかかわらず、自分なりに一歩前へ出て組織を良くしようとする人が報われる環境であることが大切だと感じています。

リモートワークは、コロナ禍を経て社会に定着した新しい仕組みであり、私たちにとっても挑戦の連続です。距離の制約を超えて学び合い、成長できる仕組みをつくることは、これからのプロフェッショナルファームにとってますます重要になっていくはずです。

夏を迎えた今、あの驚くほど涼しい釧路の事務所で、再びワーケーションをしたいものです。信じられないかもしれませんが、7月末でもジャケットや長袖を着ることがあります。故郷・釧路からリモートで仕事ができる未来が来るとは、創業当時には想像もしていませんでした。働く場所の選択肢が広がったことは、個人にとっても組織にとっても、大きな可能性をもたらしていると感じます。

「国家資格だけでは食べていけない時代」とも言われますが、テクノロジーの進化は、プロフェッショナルファームにとってむしろ追い風ではないでしょうか。だからこそ、資格や専門性に加えて、主体性や発信力、周囲を巻き込む力がこれまで以上に価値を持つのだと思います。

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円安時代こそ問われる、自分への「先行投資」という考え方

長引く円安や物価高の中、「所得が増えたら海外へ」と考える方が多数派でしょう。しかし、実はその順序を逆に捉える視点も必要なのかもしれません。つまり、余裕ができてから海外に行くのではなく、あえて先に海外へ出ることが、その後の人生における余裕や選択肢を生み出すきっかけになる、という考え方です。

未知の文化に触れて視野を広げることは、英語学習の動機付けやスキルの習得を加速させ、結果としてキャリアの選択肢を広げます。つまり海外旅行は消費ではなく、将来の所得を高めるための「人的資本への投資」なのです。目先の出費だけを見れば贅沢に映るかもしれませんが、長い目で見れば、自分自身の可能性を広げるための前向きな支出とも言えるのではないでしょうか。

たとえば、短い旅であっても、現地での戸惑いや発見は、日常の延長線上では得られない刺激をもたらします。限られた予算の中で計画を立て、言葉の壁を越えて人と関わり、自分の常識が揺さぶられる経験は、それ自体が小さな訓練です。そうした積み重ねは、変化への適応力や挑戦への耐性となって、仕事や人生のさまざまな局面で静かに効いてきます。すぐに目に見える成果にならなくても、そうした経験は確実に自分の中に蓄積され、後になって思わぬかたちで活きてくるものだと思います。

多くの人は余裕ができてから動こうとしますが、現実は「先に投資をした人」にこそ、後から余裕が訪れます。鶏が先か卵が先か。結局のところ、自分の世界を広げる行動を先に取った人のほうが、将来的に得られる選択肢も大きくなっていくのではないでしょうか。

リターンは常に、先に投じた時間とお金から生まれます。「いつか」を待つのではなく、先行して動くこと。これは資格取得など、あらゆる自己研鑽に通じる真理です。準備が万全になるのを待っているだけでは、なかなか景色は変わりません。少し背伸びをしてでも先に動くことで、初めて得られる学びや成長があります。

現実的には厳しい側面もありますが、常に自分をアップデートし続けるための「先行投資」の姿勢を忘れないでいたいものです。最高の配当は、常に「今、ここ」ではない場所へ踏み出した先に待っているものだと信じています。そして、その一歩は必ずしも大きなものである必要はなく、小さくても、自分の未来に向けて踏み出した一歩であることに意味があるのだと思います。

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国際ビジネスにおけるマインドセットの転換と日本人の強み

これまで多くの欧米人と時間を共にする中で、改めて確信したことがあります。それは、体が大きく、声や態度も堂々とした外国人を前にしても、過度に身構える必要はないということです。

彼らは見た目に貫禄があり、英語で強く主張されると圧倒されがちですが、実際には私たちとそれほど違いはありません。日本人の感覚では50代に見える相手が、実は30代だった、ということもよくあります。過度に緊張する必要はなく、いい意味で肩の力を抜いて接していいのだと実感しています。

一方で、日本人の強みである「謙虚さ」「完璧主義」「空気を読む力」は、国際ビジネスの場では必ずしもプラスに働くとは限りません。むしろ、相手に合わせすぎたり、自分を必要以上に小さく見せてしまったりする原因にもなり得ます。だからこそ、英語でやり取りをする際には、意識的なマインドの切り替えが必要です。

例えば日本では、相手の立場に関わらず誰に対しても対等かつ丁寧に接するのが美徳です。しかし海外では、相手のポジションによってトーンや距離感を明確に変える場面が多々あります。

私自身、相手がパートナークラスであれば丁重に対応しますが、ディレクターやマネージャー以下であれば、戦略的にそれ相応のトーンで接することもあります。本音を言えばあまり気が進まない手法ではありますが、これまでの経験上、その方がスムーズに事が運ぶことが多いのです。

つまり、相手のオーラや英語に気後れせず、かといって日本的な感覚に縛られすぎず、自分の立場と相手の立場を冷静に見極めて向き合うことが肝要なのだと思います。

取り留めのない話になりましたが、世界を見渡しても日本人は本当に優秀です。過度に臆することなく、場面に応じてマインドを切り替え、自信を持って向き合えば、私たちは十分に世界で戦っていけるはずだと確信しています。

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AI時代に問われる専門職の在り方

AIに数兆ドルが投じられ、今やどの企業もAI戦略を語る時代になりました。ちょうど先日、イギリスのコンサルティング業界で、今改めて「人間」に焦点が戻っているという記事を読みました。テクノロジーへの期待がかつてなく高まる一方で、そのテクノロジーを使いこなし、価値に変える主体としての「人」の重要性が、むしろ再認識されているのだと感じます。

BCGによれば、AIによる価値創出の内訳は「アルゴリズムが10%、データとテクノロジーが20%、そして残りの70%は人間の貢献」だそうです。結局のところ、価値の大部分は「人」に依存するということなのでしょう。 AIがどれだけ進化しても、それをどう使い、どう意思決定につなげ、どう現場で実装するかは、人間に委ねられているということだと思います。

また、EYは「AIリテラシーとは単にChatGPTを時々使うことではない」と述べ、BCGも入社時にAIの知識が乏しくても採用を継続しているそうです。その理由は、AIスキル以上に「深い好奇心」があるかどうかが重要だから。新しい技術や変化に対して自ら関心を持ち、学び、問いを立てられる人こそが、これからの時代に価値を発揮していくのだと思います。

クライアントが見ているのは、AIに詳しいかどうか以上に「AIのアウトプットに自分の名前を載せる覚悟があるか」なのだと感じます。つまり、判断力、共感力、そして責任感。技術が進歩するほど、こうした資質の重みは増していくでしょう。便利な道具が増えるほど、最後に問われるのは、それを使う人間の姿勢や覚悟なのだと思います。

確かに、私がどれほどAIを駆使して成果物を作成したとしても、それを「AIが作りました」とは言いません。「私が、弊社が責任を持って作りました」と伝えますし、クライアントもそれを期待しているはずです。AIは強力な補助線にはなっても、責任の主体そのものにはなりません。その意味でも、最後はやはり人が前に立つ世界なのだと感じます。

日本の士業の世界でも、AIや自動化が進む中で、知識や処理能力はやがて標準化されていくでしょう。知っていること、速く処理できることだけでは、差別化が難しくなっていく未来は十分にあり得ると思います。そのとき、最後に選ばれる理由は何か。

それは専門知識の量だけではなく、「この人に任せたい」と思っていただける人格や姿勢ではないか。――「人柄採用」は時代遅れになるどころか、これからの経営戦略における中核になりそうです。むしろ、AI時代だからこそ、人として信頼できるか、誠実に向き合えるか、責任を持てるかといった要素の価値は、これまで以上に高まっていくのではないでしょうか。

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多角化のススメ

先日、あるYouTuberの方が突然BANされ、一瞬にしてこれまでの収益源が断たれてしまったというニュースを目にしました。停止に至る事情は人それぞれでしょうが、「特定の顧客、特定のプラットフォーム、特定の収益源」にのみ依存して働くスタイルは、非常に脆く、不安定であることは間違いありません。

これは、プラットフォーム上で活動するクリエイターに限った話ではありません。一人の力で切り盛りする士業の方やフリーランスにとっても、極めて切実な問題ではないでしょうか。

一般的に、事業の多角化と聞くと、多くの従業員を雇い、大きな資本を投じて未開の市場へ打って出るような「攻めの戦略」をイメージしがちです。しかし、変化の激しい現代においては「守りの戦略」としての側面もあると感じます。

私自身、これまで数え切れないほどの挑戦をしてきました。そして、その裏には話せばきりがないほどの失敗談が積み上がっています(笑)。当時は「これはいける!」と確信して始めた事業が、鳴かず飛ばずで終わることも珍しくありませんでした。

しかし、そうした試行錯誤のひとつだった国際ビジネスが、思わぬ形で道を開いてくれました。何が当たるか分からないからこそ、種をまき続けることの大切さを身をもって実感しています。

多角化を始めるにあたって、大きな投資は必ずしも必要ではありません。個人事業主やフリーランスだからこそできる身軽な多角化があります。

  • 現在の仕事に関連する「一歩隣」の業務に少しだけ踏み込んでみる。
  • 信頼できるパートナーや他社と、まずは小さなプロジェクトで協力してみる。

これくらいのスモールスタートで十分です。もし上手くいかなくても、失うのは多少の時間だけです。しかし、その過程で得た知見や人脈は、必ず未来のどこかで自分を助けてくれる財産になります。

不安定な時代だからこそ、一つの場所に留まらず、しなやかに枝葉を広げていく。私のこの経験が、一歩踏み出そうとしている誰かのヒントや、安心材料になればこれほど嬉しいことはありません。

変化を恐れるのではなく、変化を味方につけるための「しなやかな備え」を、積み重ねていきましょう。

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