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RSM汐留パートナーズ・ニュースレター 2026年2月号

RSM汐留パートナーズ・ニュースレター 2026年2月号

ニュースレター
2026年2月2日

令和8年度税制改正のポイント②、女性活躍推進法の改正、減資公告時の実務対応

日頃よりお世話になっております。RSM汐留パートナーズです。 今月のニュースレターでは、税理士法人より「令和8年度税制改正のポイント②」、社会保険労務士法人より「女性活躍推進法の改正」、司法書士法人より「減資公告時の実務対応」についてお届けいたします。

税理士法人では、令和8年度税制改正大綱における個人所得課税・資産課税・相続課税の注目論点について、社会保険労務士法人では、2026年4月から適用される女性活躍推進法の改正について、企業実務に影響の大きいポイントを整理し、司法書士法人では、官報公告の申込み時点において、減少する資本金の額を確定できない場合の対処法について、それぞれ解説しています。

今月のニュースレターも、日々の実務にぜひお役立てください。
 

はじめに

今回は2026年度税制改正大綱のうち、主に個人の所得税、資産形成、相続に関わる改正点を確認します。物価上昇への対応とともに、長期的な資産形成や税負担の公平性を意識した改正が盛り込まれています。

所得税における課税最低限の引上げ

所得税では、物価上昇による実質的な税負担増への対応として、基礎控除および給与所得控除の最低保障額が引き上げられます。これにより、給与所得者の課税最低限は、従来の約103万円から約178万円へと大幅に引き上げられます。本改正は2026年分の所得税から適用され、2026年分については年末調整で反映される予定です。いわゆる「年収の壁」への影響も大きく、就業調整の緩和や可処分所得の下支えが期待されます。

通勤手当・食事支給に係る非課税限度額の見直し

長年据え置かれてきた税制上の基準額についても、物価上昇を踏まえた見直しが行われます。通勤手当では距離区分が細分化され、例えば片道65km超75km未満の場合、月額非課税限度額は45,700円(現行:55km超は一律31,600円)となります。

また、役職員に対する食事支給については、非課税限度額が月額7,500円(現行:3,500円)に引き上げられ、現金支給の場合の基準も1食650円以下(現行:350円以下)へと見直されます。

相続税における不動産評価の見直し

相続税では、不動産評価の適正化が図られます。相続開始前5年以内に取得した一定の貸付用不動産等については、原則として取得価額を基礎とした評価が行われます。不動産小口化商品も対象とされ、評価額と時価の乖離を利用した相続対策には明確な歯止めがかけられます。従来型の節税スキームについては、慎重な再検討が求められます。

NISAのつみたて投資枠の拡充

資産形成支援の観点から、未成年者を対象とするNISAのつみたて投資枠が創設されます。年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円とされ、早期からの長期・積立投資を後押しする制度設計となっています。

暗号資産の申告分離課税化

暗号資産の譲渡益については、現行の総合課税から、20%(所得税15%、住民税5%)の申告分離課税へ移行する方針が示されました。損失の3年間繰越控除も認められ、株式等との課税上の不均衡是正が図られます。ETFやデリバティブ取引も対象とされ、適用は関連法令整備後となる見込みです。

おわりに

2026年度税制改正大綱では、所得税の負担調整、資産形成の促進、相続税の公平性確保といった観点から、個人を取り巻く税制が幅広く見直されています。今後の法令化の動向を注視しつつ、早めの情報整理と対応が重要となります。ご不明点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせ下さい。
 

女性活躍推進法改正のポイント

女性活躍推進法について、情報公表の必須項目の拡大等を内容とする改正法が成立し、2026年4月1日から施行されます。今回の改正では、男女間賃金差異や女性管理職比率の公表義務の拡大に加え、女性の健康上の特性への配慮が法律上明確に位置づけられた点が大きな特徴です。数値の公表を通じて企業の取組状況を可視化し、女性活躍を一層促進することが目的とされています。本ニュースレターでは、企業実務に影響の大きい改正ポイントを整理します。

改正の概要

今回の改正により、従業員数101人以上の企業における情報公表義務が拡大されます。これまで301人以上の企業に義務付けられていた男女間賃金差異に加え、女性管理職比率が新たに必須の公表項目となります。さらに、「職業生活に関する機会の提供」または「仕事と家庭の両立に資する雇用環境の整備」に関する実績について、一定数の項目を選択して公表することが求められます。これらの情報は、原則として年1回以上、最新の数値を公表する必要があり、公表方法としては「女性の活躍推進企業データベース」の活用が想定されています。自社ホームページ等での公表も可能ですが、継続的な更新体制の整備が重要です。

実務上のポイント

男女間賃金差異は、「全労働者」「正規雇用労働者」「非正規雇用労働者」の区分ごとに算出・公表する必要があり、算定対象や賃金の範囲を事前に整理しておくことが重要です。また、女性管理職比率については、「課長級以上(役員を除く)」が管理職に該当する点に留意が必要です。
さらに今回の改正では、女性の健康上の特性に配慮した取組の重要性が明確化され、一般事業主行動計画の策定においても、健康支援や相談体制、柔軟な働き方に関する施策を盛り込むことが望ましいとされています。生理休暇や通院への配慮、柔軟な勤務制度の整備など、既存制度の見直しも重要な検討事項となります。単に数値を公表するだけでなく、その背景にある要因や課題、改善に向けた取組内容を補足説明として示すことが、企業姿勢の発信という観点からも有効です。

おわりに

女性活躍推進法の改正は、単なる情報公表義務の拡大にとどまらず、企業の人事制度や働き方を見直す重要な契機となります。特に従業員数101人以上の企業では、早期に対象項目や算定方法を整理し、行動計画や社内データ管理の見直しを進めることが重要です。制度対応を通じて、採用力や定着率の向上につながる可能性も意識しておくとよいでしょう。当法人では、情報公表対応や一般事業主行動計画の見直し、社内周知資料の作成など、実務に即した支援を行っております。ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
 

はじめに

株式会社が税務的な理由、会社法上の大会社となることを避ける、繰越欠損金を解消すること等を目的として、資本金の額を減少することがあります。資本金の額を減少する手続きには原則として大きく「債権者保護手続き」と「株主総会の決議」があり、「債権者保護手続き」の期間は一箇月を下ることができませんので、効力発生日の約2ヶ月前にはそのスケジュールを検討することになります。今期中に資本金の額を減少させたいという時間の制限が加わることも少なくありません。ここでは、官報公告の申込み時点において減少する資本金の額を確定できない場合の対処法について見ていきます。

官報公告の申込みと内容

資本金の額を減少するときは債権者保護手続きが必須であり、債権者保護手続きにおいては必ず官報公告をしなければなりません。官報公告を掲載するときの申込期間につき、減資公告は申込みから掲載まで5営業日程度かかり、決算公告を同時に掲載するときは申込みから掲載まで10営業日程度かかります。

減資公告には「当該資本金の額の減少の内容」を記載しますので、当該公告の申込時点において当該内容が決まっている必要があります。現在の資本金の額が3億円である株式会社X(事業年度末は3月31日)において、減少後の資本金の額を1億円としたい場合、公告する「当該資本金の額の減少の内容」とは資本金の額を2億円減少することにした旨であり、減少後の資本金の額を1億円とする旨だけでは足りません。減少する資本金の額を2億円又は2億5000万円と選択的な表現にすることもできません。

ところで、株式会社Xにおいて、3月中に投資家から出資を受ける予定ではあるけれども2月下旬に減資公告を官報に申込む時点ではその出資額が確定しないという状況もあり得ます。株式会社Xが減少する資本金の額を2億円として公告を行い、3月に6億円の出資を受けて資本金の額が3億円増加したときは、減資後の資本金の額が4億円となってしまいます(3億円+3億円-2億円=4億円)。

減少する資本金の額の記載の工夫

そのような場合、一例として「当該資本金の額の減少の内容」につき、「資本金の額を2億円減少することにした旨」及び「令和8年3月1日から令和8年3月20日までの日を払込期日又は払込期間とする株式の発行があった場合には、資本金の額を当該株式発行により増加する資本金の額と同額分減少することにした旨」等を記載することが考えられます。

新株予約権の行使についても同様

株式会社Xが新株予約権を発行しており、減資公告の申込みをした後、効力発生日までの間に新株予約権の行使により資本金の額が増加する可能性があるときは、前項同様に新株予約権の行使があった場合にはそれにより増加する資本金の額と同額分資本金の額を減少することにした旨を記載しておくのが良いでしょう。

なお、このような「当該資本金の額の減少の内容」を採用する事例も増えてきている印象ではありますが、資本金の額の減少は失敗することができない手続きですので、まだしばらくの間は念のため事前に法務局へ確認をしておくことが無難であると考えます。