独立した立場の重責。社外役員は「時間の切り売り」ではない
- 2026.03.15
- ビジネスの話
昨今、公認会計士や弁護士の間で「社外役員」は人気のポジションとなっているようです。しかし、その重責をしっかり果たせる人材はいまだ不足しているのが実情です。一方で、税理士やその他の士業にとっては、門戸が十分に開かれているとは言い難い現状もあります。
背景には、会社法や金融商品取引法への対応、ガバナンスやリスク管理、国際ビジネスといった高度な専門性への需要があります。取締役会の機能強化が求められる中で、監査・法務のプロが重宝されるのは必然と言えるでしょう。
もっとも、たとえ打診があったとしても、安易に引き受けるべきではないと私は考えています。軽々しく引き受けてしまうことは、会社にとっても個人にとっても望ましい結果にはつながりません。
一方、非常勤という立場では、得られる情報に限りがあります。しかし、負うべき法的責任がそれに比例して軽くなるわけではありません。「報酬が低いから投下時間も少なめに」という理屈は通じても、リスクは時間に比例してはくれないのです。
何より、「時給が良いから」といった発想は論外です。社外役員の本質は時間の切り売りではなく、独立した立場から経営判断に関与する重い責任にあります。極論を言えば、24時間その会社のことを考え抜く覚悟が必要な職責なのです。
私自身、これまで上場企業3社で社外役員を務め、うち2社では社外監査役としてIPOも経験しました。現在は1社で社外取締役を拝命していますが、経験を重ねるほどに、この役割の重みと、引き受ける際の慎重さの重要性を強く感じています。
もちろん、社外役員を専業として数社を掛け持ちする道もあります。それは一定の経験を積んだ上で、プロの社外役員として「全力で振り切る」という立派なキャリアの形であり、今後さらに注目される生き方になるのではないでしょうか。
