その他 【書籍紹介】なぜ、「すぐに決めない」リーダーが結果を出し続けるのか?
これからのチームの作り方
日本の人口は今後、減少していくことが示されていて、ビジネスの世界においても労働力人口の減少は懸念事項の一つです。
既に人を採用することが難しくなりつつあり、人手不足により会社が倒産するというニュースもあります。
加えて、残業規制が厳しくなった影響で全体の業務時間が短くなり、また、単純作業に比べて創造性の重要度も増しています。
これらの組織に忍び寄る危機に、「今いる人と組織のパフォーマンスを上げることによる解決」を著者である中村さんは提案をしています。
それでは人と組織のパフォーマンスを上げるにはどうすれば良いのでしょうか。
本書籍を読んで私が感じたその答えは、「人が本来持っているエネルギーの開放」です。
すぐに決めない
現代のビジネスではスピードの重要性が叫ばれています。しかし、本書籍ではすぐに決めないことの重要性を説いています。
パラドックスのように見えますが、どういうことでしょうか。
本書籍によると、特に「人や組織、関係性」を構築するときは反射や反応、即決で行うのではなく、じっくりと時間をかけて行うことが大事だということです。
スピードを出し過ぎることにより見過ごしてしまうこと、そこに大切なものがあると。じっくりと構築した強いチームなら、昨今のような変化の激しい環境にも対応することできます。
本書籍を読んでの気付き
私が本書籍を読んで気付いたこと、再確認をしたことを何点か挙げてみます。
ここでは内容について一部しか挙げられないので、気になる方は書店で手に取ってみてくださいね。
何をしたいのか
本書籍に登場する「will・can・must」という考え方はとても参考になります。Googleで検索すると、その考え方を知ることができます。
- will(したいこと)
- can(できること)
- must(すべきこと)
特に司法書士の方はビジネスを考える際に、canに注目しがちではないでしょうか。法律を知っている、登記ができる。
そうではなくて、まずwillを考える。そして、mustとの接点を見つけ出し、canを明確にする。この順序が大切だということが分かりました。
さらに、本書籍では自分でそれらを考えるだけではなく、チームメンバーから「will・can・must」を引出す方法についても触れていて参考になりました。
メンバーのパフォーマンスを向上させる
やる作業を一方的に押し付けているだけでは、チームメンバーのパフォーマンスは向上しないかもしれません。
メンバーのパフォーマンスが向上しないことは、リーダーにとってもマイナスであり、メンバー自身にとってもマイナスであり、ひいては会社・組織全体にとってもマイナスとなります。
メンバーのパフォーマンスを向上させるステップは、ざっくりとですが、次のとおりです。詳細は本書籍でご確認ください。
- メンバーを知る
- メンバーのこれからを描く
- メンバーのこれからを共につくる
メンバーの目標を、会社や組織を通じて一緒に達成する、あるいはその目標に近づくことができるのであれば、お互いにとって良いことしかありません。
チームのパフォーマンスを向上させる
チームのパフォーマンスを向上させるとは、単に作業効率を向上させることだけを意味しません。
リーダーを含めたメンバー同士がそれぞれをよく知り、チームで「will・can・must」の洗い出し、目標設定を行うことが大切だということを再確認しました。
そして、メンバーが声を出しあえる場づくりの重要性。私は心理的安全性という言葉で捉えていますが、その環境を作ることの大切さを理解しており、当事務所でもその場が作れることを理想としています。
自分の軸を持つ
リーダーは自分の軸を持つことが大切です。なぜリーダーが自分の軸を持つことが大切かというと、本書籍によれば、「自分の状態や置かれた環境に左右されずに決断でき、前へ進むことができる」ためです。
そして、リーダーの軸はチームの軸ともなります。
本書籍には軸の定め方のヒントにも触れていますので、自分の軸を見直す良い機会となりました。
今後のチームの在り方
リーダーが全てを決めて、メンバーは言われたことだけをやる。一昔前であれば、そのようなチームでも一定の成果を上げられていたかもしれません。
これからの時代はどうでしょうか。
メンバー同士がよく知り、お互いの価値観を尊重して認め合い、何でも声を出しあえる環境で「したいこと・できること・すべきこと」を話し合い、メンバー全員が当事者意識を持って、メンバー全員が腹落ちした大きな目標を設定する。
このようなチームこそ、まさしく本当のチームと言えるのかもしれません。
但し、それには多くの時間を費やすことになるでしょう。
それでも結果として、遠回りなようで、長期的に見るとその方法が最短で最大限にチームがパフォーマンスを上げる最善の方法なのではないでしょうか。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。