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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

2名いる代表取締役のうち1名が代表取締役の地位のみを辞任する場合の登記手続き

代表取締役1名の辞任

株式会社において、定時株主総会における役員の改選ではなく、事業年度の末日である12月31日や3月31日に役員の交代が生じることがあります。

このページでは、代表取締役が2名いる株式会社において、そのうち1名が代表取締役の地位のみを辞任するケースを記載しています。

代表取締役の変更登記には、その選定機関、選定を証する書面に押す印鑑、辞任届に押す印鑑、住所非表示措置の申出、会社実印登録者、定款で定められた代表取締役の員数といった確認事項が多くありますが、代表取締役の辞任のみの場合は、選定行為がない分検討事項がやや少なくはなります。
≫【2024年(令和6年)10月1日】登記簿への代表取締役等住所非表示措置の申出

ここでは取締役会設置の有無、辞任代表取締役の会社実印登録の有無によってパターン分けをします。

辞任代表取締役が会社実印登録をしている
辞任代表取締役が会社実印登録をしていない
取締役会設置会社
株式会社X
株式会社Y
取締役会非設置会社
株式会社Z
株式会社W

なお、それぞれ任期中の取締役ABC・代表取締役ABである株式会社において、Aが代表取締役の地位のみを辞任し、取締役ABC・代表取締役Bとなるケースを想定しています。また、電子署名を用いることを前提としておりません。

1. 取締役会設置会社(辞任する代表取締役が会社実印登録をしている)

株式会社Xのように取締役会設置会社で、代表取締役の地位のみを辞任するAが会社実印を登録している場合の登記の添付書類は次のとおりです。

  • Aの辞任届(Aの会社実印を押印)
  • 登記委任状(Bの会社実印を押印)※代理人に委任する場合

Bが会社実印登録をしていない場合は、Aの辞任登記と併せてBの印鑑届書+印鑑証明書(発行後3か月以内のもの)を提出し実印登録をします。

このBが新たに登録する会社実印はAが使用していた印鑑を用いることも可能であり、登記簿に記載されたBの住所と印鑑証明書記載の住所が異なるときは住所変更登記も必要となります、また、Bが住所変更登記をするときは代表取締役住所非表示措置の申出を行うことも可能です。

なお、Bが既に会社実印登録をしている場合も、登記簿に記載されたBの住所と現在の住所が異なるときは住所変更登記が必要です。

2. 取締役会設置会社(辞任する代表取締役が会社実印登録をしていない)

株式会社Yのように取締役会設置会社で、代表取締役の地位のみを辞任するAが会社実印を登録していない場合の登記の添付書類は次のとおりです。

  • Aの辞任届(登記手続き上の押印義務なし、押印する場合は印鑑の指定なし)
  • 登記委任状(Bの会社実印を押印)※代理人に委任する場合

この場合、会社法上及び登記手続き上はAの辞任届に押印義務はありませんが、Aの辞任の意思を確認し記録として残しておくためにも、署名又は記名押印をすることが一般的かと思います。

Bが会社実印を登録していない場合の対応は、第1項に記載のとおりです。

3. 取締役会非設置会社(辞任する代表取締役が会社実印登録をしている)

数式会社Zのような取締役会非設置会社において代表取締役がその地位のみを辞任するときは、まず最初に定款に記載された代表取締役の選定方法を確認します。

代表取締役の選定方法は、主に①株主総会の決議による方法と、②定款の定めに基づく取締役の互選による方法に分かれます。

代表取締役の選定方法が①株主総会の決議である株式会社における、Aの代表取締役辞任の登記の添付書類は次のとおりです。

  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 辞任届(Aの会社実印を押印)
  • 登記委任状(Bの会社実印を押印)※代理人に委任する場合

次に、代表取締役の選定方法が②定款の定めに基づく取締役の互選である株式会社における、Aの代表取締役辞任の登記の添付書類は次のとおりです。

  • 辞任届(Aの会社実印を押印)
  • 定款
  • 登記委任状(Bの会社実印を押印)※代理人に委任する場合

Bが会社実印を登録していない場合の対応は、第1項に記載のとおりです。

4. 取締役会非設置会社(辞任する代表取締役が会社実印登録をしていない)

株式会社Wのような取締役会非設置会社(Aが会社実印登録をしていない)においても、前項同様に定款に記載された代表取締役の選定方法を確認します。

代表取締役の選定方法が①株主総会の決議である株式会社における、Aの代表取締役辞任の登記の添付書類は次のとおりです。

  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 辞任届(押印義務なし、押印する場合は印鑑の指定なし)
  • 登記委任状(Bの会社実印を押印)※代理人に委任する場合

前述のとおり、この場合、会社法上及び登記手続き上はAの辞任届に押印義務はありませんが、Aの辞任の意思を確認し記録として残しておくためにも、署名又は記名押印をすることが一般的かと思います。

次に、代表取締役の選定方法が②定款の定めに基づく取締役の互選である株式会社における、Aの代表取締役辞任の登記の添付書類は次のとおりです。

  • 辞任届(押印義務なし、押印する場合は印鑑の指定なし)
  • 定款
  • 登記委任状(Bの会社実印を押印)※代理人に委任する場合

Bが会社実印を登録していない場合の対応は、第1項に記載のとおりです。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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