相続関係 「おもいやりが循環する社会へ」一般社団法人日本承継寄付協会
遺贈寄付、ご存知ですか?
遺贈寄付という言葉をご存知でしょうか。
遺贈とは、遺言によって遺言者の財産の一部又は全部を相続人以外の人(法人)に無償で承継させることをいいます。つまり、「遺」言による「贈」与です。
寄付とは、金銭その他財産を第三者(主には公益的な団体)に無償で提供することをいいます。
遺贈寄付とは、遺言による寄付のことをいいます。遺言によって遺言者の財産の一分又は全部を、第三者に無償で承継させることをいいます。
遺贈寄付に関する実態調査
一般社団法人日本承継寄付協会が行った遺贈寄付に関する実態調査があります。
≫「遺贈寄付は少額でも遺贈できることが良い」と48.5%が回答『遺贈寄付に関する実態調査』結果発表
遺贈寄付に関して、上記記事に記載されている内容を以下抜粋します。
遺贈寄付に対する印象
全体として、「お金持ちが行うことだと思う」(45.7%)といった印象が強い傾向があり、興味がある層は、「実践にあたりサポートが必要」という回答が最も多く、「情報が少なくて手続きが進まない」「手続きが面倒」というイメージがあるようです。また、(相続財産)からの「寄付」の意向を示さない層から強く印象を抱かれている様子が伺えます(57.0%)。
遺贈寄付は「お金持ちが行うことだと思う」という印象があるようです。
確かに被災地に対して、あるいは最近だとコロナウィルスのワクチン開発に対して著名人が多額の寄付を行ったニュースが度々取り上げられますので、そのような印象があるのかもしれません。
しかし、遺贈寄付はそれこそ1円から行うことができますし、遺言作成後も遺贈寄付する分の財産を残さないというわけではありません。
私は遺贈寄付に関して、「お金に余裕があるから遺贈寄付を行う」のではなく、生前に使い切らずに余ったお金の一部を寄付するという捉え方をしています。
もし生前に不動産以外に1000万円のお金が残りそうな場合、50万円を自分が支持するペット保護団体へ、残りを相続人に相続してもらうという遺産の分け方も素晴らしいと思います。
遺贈寄付に関する不安点
「遺贈寄付」に興味を持つ層においては、「遺贈に関する知識不足」(50.3%)が最も高い不安内容として挙がりました。また、「家族の反対」以外のすべての内容について、他層よりもスコアが高く、不安を多く抱いていることが伺えます。
遺贈寄付を行う方法は、端的に言ってしまえば遺言を書くことです。そして、1円からでも遺贈寄付を行うことができ、決してお金に余裕のある人だけが行うものではありません。
遺言を書くことは一見難しそうに思えますが、ルールさえ覚えてしまえばそこまで難しいものでもありません。
この辺りが浸透すれば、遺贈寄付も一気に広がりそうな気もします。
一方で、遺言は要件を満たさないと無効になってしまうリスクがあり、遺言者の死後には遺言を修正することができないため、有効な遺言をのこすことは非常に重要です。
不安な人、遺言を自分で書く時間のない人は、専門家に任せてしまっても良いかもしません。
遺贈に関する相談機関の重視点
全体では、「支援機関の信頼性」(53.8%)が突出しており、重視点として過半数を超える結果となりました。また、女性は男性よりもスコアが高い項目が目立ち、多岐にわたって重視していることが伺えます。
遺言寄付を誰かに依頼する場合、支援機関の信頼性はとても重要だと考えます。
自分が、あるいは夫婦で築いてきた財産を遺贈寄付するのだから、信頼できる人・機関に任せたいのは当然といえます。
自分が亡くなった後、お金がちゃんと寄付先へ渡ったのかどうかは、亡くなった後に確認をすることができませんので、本当に信頼できる人に任せたいと思うでしょう。
また、支援機関の中には、紹介者に対して紹介料を支払うところもあるかもしれませんね。仮に1000万円遺贈寄付して、200万円が寄付先から紹介者に戻ってくるのであれば、800万円しか寄付先に渡りません。
紹介がなければ800万円が寄付されなかったのだから、寄付が0円であるより良いという考え方もあるかもしれません。
しかし、これは遺贈寄付する人が望んでいる結果でしょうか。
その点、司法書士は国家資格者であるため知識・倫理が担保されていますため、遺贈寄付を任せる先として適任です。
一般社団法人日本承継寄付協会
私が仲良くさせていただいている司法書士の三浦美樹先生(司法書士法人 東京さくら)が運営する「一般社団法人日本承継寄付協会」が遺贈寄付を支援しています。
その理念は、
です。とても素晴らしい理念だと思います。
顔の見えない困っている誰かを想い、支援することで社会がより良いものとなっていく。
これからは、より個々人の想いや生き方が大切にされる社会となっていくものと考えます。
おもいやりが循環する社会の実現へ、当事務所は積極的に関与していきます。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。