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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

期間の計算の仕方

期間の計算と起算日、応当日、満了日

期間は多くの場面で出てきますので、その計算方法は必ず押さえておかなければなりません。

期間を検討しなければならない場面とは、例えば次のようなときです。

  • 減資手続きにおける債権者保護手続きは1ヶ月を下ることができない(会社法第449条2項)
  • 印鑑届書に添付する印鑑証明書は作成後3ヶ月以内のもの(商業登記規則第9条)
  • 会社の登記事項に変更が生じたときは2週間以内に変更登記をしなければならない(会社法第915条1項)
  • 吸収合併の消滅会社は効力発生日の20日前までに一定事項の通知が必要(会社法第785条3項)
  • 特定の株主から会社が株式を取得するときに、他の株主が自分の株式も対象とすることの請求は株主総会の5日前まで(会社法第160条3項、会社法施行規則第29条
期間の起算日

期間とは、いつからいつまでの一定期間のことですので、「いつから」という期間の開始を把握することは非常に重要です。

期間の開始日を起算日といいます。

日・週・月・年による期間を定めたときの期間の起算日を確認するときは、初日不算入の原則を理解しておく必要があります(民法第140条)。

民法第140条
日、週、月又は年によって期限を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

債権者保護手続きに係る官報公告をしたときは、その起算日は公告掲載日の翌日となります。

10月7日に官報に掲載されたときは、10月7日が初日となり期間に参入されず、10月8日から期間の計算がスタートします。

期間の応当日、満了日

期間の終わりはいつになるでしょうか。

期間は、その末日の終了をもって終わりとなります(民法第141条)。

(期間の満了)
民法第141条
前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。

週・月・年の初めから期間を起算しないときは、起算日に応当する日の前日が期間の満了日となります(民法第143条2項)。

(暦による期間の計算)
民法第143条
1 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

先ほどの官報公告において、その公告の1ヶ月の応当日は11月8日となり、期間満了日はその前日の11月7日となります。

知れたる債権者がいない会社が、減資等の手続きにおいて、債権者保護手続きに係る官報公告が10月7日に掲載されたときは、最短で効力発生日を11月8日とすることができます。

  1. 初 日 → 10月7日
  2. 起算日 → 10月8日
  3. 応当日 → 11月8日
  4. 満了日 → 11月7日
応当日がない場合

月・年によって期間を定めたときに、その応当日がない場合は、その月の末日に満了します(民法第143条2項)。

1月29日に債権者保護手続きに係る官報公告が掲載されたときは、起算日は1月30日となり、期間の満了日は2月29日となります。

しかし、その年がうるう年でなかったときは2月は28日までしかないため応当する日がありません。

応当がない場合は、その月の末日に期間が満了しますので、期間の満了日は2月28日となります。

  1. 初 日 → 1月29日
  2. 起算日 → 1月30日
  3. 応当日 → ない(2月30日が存在しないため)
  4. 満了日 → 2月28日(うるう年の場合は2月29日)
満了日が日曜日、祝日である場合

期間の満了日が日曜日あるいは祝日であるときは、満了日が翌日となります(民法第142条)。

民法第142条
期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。

例えば2月21日に債権者保護手続きに係る官報が掲載されたときの満了日は、次のとおり3月22日となります。

  1. 初 日 → 2月21日
  2. 起算日 → 2月22日
  3. 応当日 → 3月22日
  4. 満了日 → 3月21日(春分の日)※祝日であるため満了日とならない
  5. 満了日 → 3月22日
株主総会の招集通知と発信主義

相手への意思表示は、原則として相手へ到達したときに効力が発生します(到達主義)(民法第97条)。

(隔地者に対する意思表示)
民法第97条1項
隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。

書類に1ヶ月後に効力が生じる旨が記載されているときは、書類が到達した日が初日となり、その翌日が起算日となります。

株主総会の招集通知においては、到達主義ではなく発信主義が採用されています。

招集通知を発送した日が初日となります。

≫株主総会の招集通知はいつまでに発送しなければならないか

期間計算と会社のスケジュール

会社法や商業登記規則、商業登記法等には期間が定められている条文が多くあり、資本金額の減少、合併等の組織再編行為、株主総会の招集通知の発送や自己株式の取得等、会社が当該行為を行うときはスケジュールを組み、その手続きに法的瑕疵が無いように進めていくことが大切です。

スケジュールを組むときは、期間の計算を間違わないように注意が必要です。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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