商業登記関係 有限責任事業組合を無限責任組合員とする投資事業有限責任組合契約の効力発生登記
投資事業有限責任組合契約の効力発生
投資事業有限責任組合(LPS/Limited Partnership)制度は、事業者の多様な資金調達方法の確保や信用創造機能の強化のために創設された制度です。
LPSは、(1)法人格を持たない組織であること、(2)組合の業務を執行する無限責任組合員(GP/General Partner)と投資家である有限責任組合員(LP/Limited Partner)により構成されること、(3)構成員課税の適用を受けることをその特徴としています。
投資事業有限責任組合契約は、各当事者が出資を行い、共同で投資事業有限責任組合契約に関する法律(以下、「LPS法」という)第3条1項に掲げる事業の全部又は一部を営むことを約することにより、その効力を生じます(LPS法第3条1項)。
組合契約の契約書(以下「組合契約書」という。)には、次の事項を記載し、各組合員はこれに署名し、又は記名押印しなければなりません(LPS法第3条3項)。登記手続き上の要請から、無限責任組合員は実印(法人等の場合は法務局届出印)を押印します。
- 組合の事業
- 組合の名称
- 組合の事務所の所在地
- 組合員の氏名又は名称及び住所並びに無限責任組合員と有限責任組合員との別
- 出資一口の金額
- 組合契約の効力が発生する年月日
- 組合の存続期間
無限責任組合員を有限責任組合とする
投資事業有限責任組合の無限責任組合員を有限責任事業組合とすることにつき、令和5年5月以前はその登記ができないものとされていたところ、令和5年6月12日の下記通達により、投資事業有限責任組合の無限責任組合員として有限責任事業組合を登記することができるようになっています。
≫令和5年6月12日法務省民商第113号 商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(通達)
組合契約の効力登記
投資事業有限責任組合契約が効力を生じたときは、2週間以内に、組合の主たる事務所の所在地において次の事項を登記します(LPS法第17条)。
登記すべき事項
投資事業有限責任組合契約の効力発生に係る登記すべき事項は次のとおりです。(LPS法第17条)
- 組合の名称
- 組合の事務所の所在場所
- 組合契約の効力が発生する年月日
- 組合の事業
- 無限責任組合員の氏名又は名称及び住所
- 組合の存続期間
- 組合契約でLPS法第13条1号から3号までに掲げる事由以外の解散の事由を定めたときは、その事由
(一例です。投資事業有限責任組合契約の内容に沿った内容としてください。)
「組合の主たる事務所」東京都港区新橋十丁目10番10号
「組合契約の効力が発生する年月日」令和8年4月1日
「組合の事業」
(1)株式会社の設立に際して発行する株式の取得及び保有並びに合同会社又は企業組合の設立に際しての持分の取得及び当該取得に係る持分の保有
(2)株式会社の発行する株式若しくは新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。以下本項において同じ。)又は合同会社若しくは企業組合の持分の取得及び保有
(3)指定有価証券の取得及び保有
(以下略)
「無限責任組合員・清算人に関する事項」
「資格」無限責任組合員
「住所」東京都港区新橋十丁目10番10号
「名称」ABC1号有限責任事業組合
「組合の存続期間」令和18年3月31日までとする。但し、無限責任組合員は、総有限責任組合員の出資口数の合計の(以下略)。
「解散の事由」全ての有限責任組合員が適格機関投資家でなくなることその他の事由により、本組合を適法に運営することが困難であると無限責任組合員が合理的に判断した場合
「登記記録に関する事項」組合契約の効力発生
登記の添付書類
この登記の添付書類の一例は次のとおりです。
- 組合契約書(無限責任組合員たる有限責任事業組合は、その法務局届出印を押印)
- 有限責任事業組合の会社法人等番号
- 委任状(代理人に委任する場合)
登記の直接の添付書類ではありませんが、無限責任組合員は投資事業有限責任組合の印鑑を届け出ることが一般的です(印鑑届書を登記申請と同時に提出する)。
投資事業有限責任組合の印鑑証明書の記載事項
組合の名称 ABC1号投資事業有限責任組合
組合の主たる事務 東京都港区新橋十丁目10番10号
所
無限責任組合員 東京都港区新橋十丁目10番10号
ABC1号有限責任事業組合
東京都港区新橋十丁目10番10号
組合員 株式会社ABC1号
職務執行者 汐留太郎
●●●●年●●月●●日生
登録免許税
この登記の登録免許税は30,000円です。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。





