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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

資本金の額、資本準備金、利益準備金の額の減少手続きに関するよくあるご質問

資本金、資本準備金、利益準備金の減少手続き

次のようなニーズから、資本金等を減少させることがあります。

  1. 繰越欠損金の解消
  2. 配当金の原資の確保
  3. 資本金を1億円以下とすることによる税務的メリット
  4. 大会社となることの回避

資本金、資本準備金、利益準備金を減少させる具体的な手続きにつきましては、次の記事をご確認ください。

≫株式会社の資本金の額の減少(減資)手続きと登記
≫合同会社の資本金の額の減少(減資)とその登記手続き
≫株式会社の資本準備金、利益準備金の額を減少する手続き

よくいただくご質問

資本金、資本準備金、利益準備金の減少手続きにおいて、よくいただくご質問は次のとおりです。

以下、ここでは資本金の額の減少を「減資」といい、資本準備金と利益準備金を合わせて単に「準備金」といいます。
 

Q. 増資と減資を同時に行うことはできますか?

A. 可能です。

年度末に増資を控えていて、年度末時点の資本金の額を一定の額以下にしたい場合に、増資と減資を同時あるいは増資の数日後に減資をしたいというニーズは少なくありません。
 

Q. 年度末の1週間前に増資をするのですが、増資をしてから減資手続きを始めると年度末までに減資が間に合わない気がするのですが…。

A. そのような場合、増資の効力が生じる前に減資の手続きをスタートさせるしかありません。
 

Q. 減資できる資本金の額はいくらまでですか?

A. 減資の効力発生時点における資本金の額まで減資することができます(会社法第447条2項)。

つまり、減資後の資本金の額のミニマムは0円です。前述のとおり、減資の効力発生の直前に増資した場合、増資した額を含めて減資することも可能です。
 

Q. 減少させる資本金の額につき、一部を資本準備金へ、一部を資本剰余金へ振り替えることはできますか?

A. 可能です(会社法第447条1項2号)。
 

Q. 減少させる資本金の額を、利益準備金や利益剰余金に振り替えることはできますか?

A. 直接振り替えることはできません。

減少させる資本金の額は、資本準備金及び/又は資本剰余金に振り替えるしかありません。
 

Q. 資本金を減少させて利益剰余金のマイナスを消すことはできますか?

A. 資本金を資本剰余金に振り替えた後、その資本剰余金を利益剰余金に振り替えることで可能となります。

ただし、資本剰余金から利益剰余金に振り替えることができる額には限度があります。
 

Q. 減少させる資本金の額を、資本準備金に振り替える場合と資本剰余金に振り替える場合で手続きに違いは生じますか?

A. 資本準備金に振り替える場合は、株主総会でその旨を決議内容に追加します(会社法第447条1項2号)。

また、減少する資本金の額の全部又は一部を資本準備金とするときは、その旨及び準備金とする額も公告内容及び各債権者への催告内容となります。
 

Q. 減資を行うには、必ず株主総会の特別決議が必要ですか?

A. 次に当てはまる場合は株主総会の普通決議で減資を行うことができます。

  1. 定時株主総会において減資の決議すること
  2. 減少する資本金の額が欠損の額を超えないこと

なお、次のQもご確認ください。
 

Q. 取締役会の決議で減資をすることはできますか?

A. 株式会社が株式の発行と同時に資本金の額を減少する場合において、当該資本金の額の減少の効力が生ずる日後の資本金の額が当該日前の資本金の額を下回らないときは、取締役の決定(取締役会設置会社は、取締役会の決議)で減資の決議をすることができます(会社法第447条3項)。
 

Q.種類株式発行会社が資本金の額を減少させる際に注意すべき事項はありますか?

A. 種類株式につき、減資に関して拒否権条項が付いている場合は、原則として当該種類株式に係る株主総会の決議も必要となります。
 

Q. 減資をするときは、発行済株式数も減少させる必要がありますか?

A. 必要はありません。

減資をして分配可能額を作り、その範囲内で株主から発行会社が株式を取得し、発行会社が自己株式を消却したときは発行済株式数は減少しますが、これは減資の手続きとは別の話です。
 

Q. 当社には知れたる債権者がいません。官報公告は必要ですか?

A. 必要です。

会社法第449条2項は、官報公告をすることにつき債権者の有無を条件としていません。なお、知れたる債権者はいない場合は、債権者への個別催告は不要です(できません)。
 

Q. 当社の公告方法は日刊工業新聞です。官報公告は必要ですか?

A. 必要です。

減資手続きにおいては、債権者の有無や定款の公告方法の定めに関わらず、官報公告は必要です。なお、準備金を減少させる場合につき、次のQもご確認ください。
 

Q. 債権者保護手続きをせずに減資をすることはできますか?

A. 減資をする場合、債権者保護手続きは必須です。
 

Q. 債権者保護手続きをせずに準備金を減少させることはできますか?

A. 原則として、準備金を減少させるときは債権者保護手続きは必要となります(会社法第449条2項)。

ただし、次の条件をいずれも満たす場合は、債権者保護手続きを省略することができます(会社法第449条1項)。

  1. 定時株主総会において資本金準備金・利益準備金の減少を決議すること
  2. 減少する資本準備金・利益準備金の額が欠損の額を超えないこと

 

Q. 年度の途中に増資をしますが、年度末にも再度増資をする予定です。増資の都度、減資をした方がいいですか?

A. 資本金の額を減少する目的にもよりますが、年度末時点の資本金の額を1億円以下、5億円以下にしたいのであれば、増資の都度でなはなく、年度末までに1回減資をすれば良いのではないでしょうか。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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