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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

2026年3月31日までに資本金の額の減少をするときの最も遅いスケジュール例

事業年度末までに資本金の額を減少する

資本金の額を事業年度末日までに減少させたい一定のニーズはあります。

主に、会社法上の大会社に該当することを避けたい、法人税の優遇措置を受けたい(税務の話は顧問税理士の先生にご相談ください)、欠損填補をしたい、分配可能額を確保したい等が主な理由でしょうか。

特に、期中に募集株式の発行をして大きく資本金が増加したような株式会社であれば減資を検討するケースも多いかもしれません。

2026年3月に増資するかも…。

事業年度末にかけて資金調達をしたいというニーズもあるところ、資本金の額の減少(以下、「減資」といいます。)手続きは効力発生日の約1ヶ月前から債権者保護手続きをしなければならず、この点が減資スケジュールに制約を課すことになります。

3月中に募集株式の発行(又は新株予約権の行使)により資本金が増えるかもしれないという場合においても、事前にその可能性を把握しているときは3月中に減資をすることができるかもしれません。

≫これから増資をするが、増加する資本金の額が確定していないことを前提とする資本金の額の減少(減資)

現在の公告方法が官報である株式会社の減資に係るスケジュール例

現在の公告方法が官報である株式会社(大会社以外)の、最も遅く手続きに着手した場合の減資に係るスケジュール例は次のとおりです。このスケジュール例は投資契約又は株主間契約等において特定の株主に対して事前通知する又は事前承諾を得ることを想定していません。

減資に係る株主総会の決議は、減資の効力発生日までに行うことで間に合います(ここでは会社法第447条3項の場合を想定しておりません)。拒否権条項等により種類株主総会が不要であることを前提としておらず、各会社によって手続きが変わる可能性がありますのでお近くの司法書士に相談することをお勧めします。

また、あくまで専門家に依頼した場合のギリギリのスケジュール【例】であり、必ず減資手続きが事業年度内に生じることを保証するものではありません。自社で手続きをされる場合又は司法書士に依頼する場合も余裕をもったスケジュールで手続きをしてください。

現在の公告方法が官報であり、決算公告が済んでいる

2025年3月までの事業年度に係る決算公告を既に官報にて行っている場合のスケジュール例です。次項と比較すると、1週間程度着手を後ろにすることができますので、減資をされる場合は先に決算公告をしておくとスムーズです。

日程
株式会社の手続き
2月19日(木)
取締役会の決議(株主への提案事項)
株主へ株主総会の決議事項(減資)の提案
2月19日(木)
官報へ減資公告の申込み
2月20日(金)
株主全員の同意(株主総会決議成立)
2月27日(金)
官報公告の掲載日
債権者へ個別催告のメール(郵送の場合は27日着)
3月27日(金)
債権者保護手続きの期間満了(23:59)
3月28日(土)
減資の効力発生(3月28日以降の日でも可)
4月10日(金)まで
登記申請(減資、効力発生日から2週間以内)

現在の公告方法であり官報、決算公告が未了

日程
株式会社の手続き
2月12日(木)
取締役会の決議(株主への提案事項)
株主へ株主総会の決議事項(減資)の提案
2月12日(木)
官報へ決算公告、減資公告の同時公告の申込み
2月13日(金)
株主全員の同意(株主総会決議成立)
2月27日(金)
官報公告の掲載日
債権者へ個別催告のメール(郵送の場合は27日着※)
3月27日(金)
債権者保護手続きの期間満了(23:59)
3月28日(土)
減資の効力発生(3月28日以降の日でも可)
4月10日(金)まで
登記申請(減資、効力発生日から2週間以内)

※郵送の場合、決算公告の掲載頁を催告書に記載することが原則としてできないため、貸借対照表の要旨(当期純損益金額を付記したもの)を記載することになります。

現在の公告方法であり官報、決算公告が未了(決算公告のみ電磁的方法とする)

決算公告のみ電磁的方法にするとは会社法第440条3項の方法を採用することを指しています。

日程
株式会社の手続き
2月19日(木)
取締役会の決議(株主への提案事項)
株主へ株主総会の決議事項(減資)の提案
2月19日(木)
代表取締役の決定(会社法第440条3項の採用、掲載URL)
決算公告を上記URLに掲載
2月19日(木)
官報へ減資公告の申込み
2月20日(金)
株主全員の同意(株主総会決議成立)
2月26日(木)まで
登記申請(貸借対照表の電磁的開示のためのURL設定)
2月27日(金)
官報公告の掲載日
債権者へ個別催告のメール(郵送の場合は27日着※)
3月27日(金)
債権者保護手続きの期間満了(23:59)
3月28日(土)
減資の効力発生(3月28日以降の日でも可)
4月10日(金)まで
登記申請(減資、効力発生日から2週間以内)

※債権者へ個別催告をする日の前日までに貸借対照表の電磁的開示のためのURL設定の登記申請をします。

公告方法が官報であり、決算公告が未了(公告方法を日刊工業新聞に変更する)

日程
株式会社の手続き
2月12日(木)
取締役会の決議(株主への提案事項)
株主へ株主総会の決議事項(公告方法変更、減資)の提案
2月12日(木)
官報、日刊工業新聞へ決算公告、減資公告の同時公告の申込み
2月13日(金)
株主全員の同意(株主総会決議成立)
2月26日(木)まで
登記申請(公告方法の変更)
2月27日(金)
官報公告、日刊工業新聞公告の掲載日
3月27日(金)
債権者保護手続きの期間満了(23:59)
3月28日(土)
減資の効力発生(3月28日以降の日でも可)
4月10日(金)まで
登記申請(減資、効力発生日から2週間以内)

決算公告を官報及び日刊工業新聞どちらにも掲載することを想定していますが、事前に調整(日刊工業新聞の公告掲載頁を事前に教えてもらう等)することで、手続きの着手日を2月16日(月)とすることができる可能性があります。これが可能であれば、官報公告掲載料が上記想定より低くなります。

また、スケジュールに余裕があれば公告方法変更前に官報で決算公告をしておくことにより、日刊工業新聞の掲載料を含めたトータルの公告掲載料は安くすることができます。

公告方法を日刊工業新聞にし、決算公告のみ電子公告とする方法を採用する場合は手続きの着手日を2月16日(月)とすることができます。

現在の公告方法が官報であり、決算公告が未了(公告方法を電子公告に変更する)

日程
株式会社の手続き
2月19日(木)
取締役会の決議(株主への提案事項)
株主へ株主総会の決議事項(公告方法変更、減資)の提案
2月19日(木)
官報へ減資公告の申込み
電子公告調査会社への調査依頼※
2月20日(金)
株主全員の同意(株主総会決議成立)
決算公告を電子URLへ掲載
2月26日(木)まで
登記申請(公告方法の変更)
2月27日(金)
官報公告、電子公告(減資)の掲載日
3月27日(金)
債権者保護手続きの期間満了(23:59)
3月28日(土)
減資の効力発生(3月28日以降の日でも可)
4月10日(金)まで
登記申請(減資、効力発生日から2週間以内)

※株式会社ファイブドライブ様のサイバーアイのサービスを利用することを想定しています(https://www.318eye.jp/)。

現在の公告方法が日刊工業新聞である株式会社の減資に係るスケジュール例

日程
株式会社の手続き
2月12日(木)
取締役会の決議(株主への提案事項)
株主へ株主総会の決議事項(減資)の提案
2月12日(木)
官報、日刊工業新聞へ決算公告、減資公告の同時公告の申込み
2月13日(金)
株主全員の同意(株主総会決議成立)
2月27日(金)
官報公告、日刊工業新聞公告の掲載日
3月27日(金)
債権者保護手続きの期間満了(23:59)
3月28日(土)
減資の効力発生(3月28日以降の日でも可)
4月10日(金)まで
登記申請(減資、効力発生日から2週間以内)

決算公告を官報及び日刊工業新聞どちらにも掲載することを想定していますが、事前に調整(日刊工業新聞の公告掲載頁を事前に教えてもらう等)することで、手続きの着手日を2月16日(月)とすることができる可能性があります。

現在の公告方法が電子公告である株式会社の減資に係るスケジュール例

日程
株式会社の手続き
2月19日(木)
取締役会の決議(株主への提案事項)
株主へ株主総会の決議事項(減資)の提案
2月19日(木)
官報へ減資公告の申込み
電子公告調査会社への調査依頼※
2月20日(金)
株主全員の同意(株主総会決議成立)
2月26日(木)まで
登記申請(公告方法の変更)
2月27日(金)
官報公告、電子公告(減資)の掲載日
3月27日(金)
債権者保護手続きの期間満了(23:59)
3月28日(土)
減資の効力発生(3月28日以降の日でも可)
4月10日(金)まで
登記申請(減資、効力発生日から2週間以内)

※株式会社ファイブドライブ様のサイバーアイのサービスを利用することを想定しています(https://www.318eye.jp/)。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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