企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中、会計業界に身を置く私たちもまた、ITコンサルティングの最前線でクライアント様の経営課題と向き合っております。「会計」と「セキュリティ」。一見すると異なる領域に見えますが、どちらも企業の「資産」を守り、事業継続性を担保するという根幹において、その使命は一致しています。
こうした背景から、近年は「どのようなセキュリティ対策を選択すべきか」が、経営判断の一つとして問われるようになっています。本稿では、世界的に利用が広がるセキュリティプラットフォーム「CrowdStrike(クラウドストライク)」を題材に、同社が示す最新の脅威動向を踏まえながら、現代企業に求められるセキュリティの考え方を整理していきます。
1. CrowdStrikeとは何か、なぜ世界が熱狂的に支持するのか
CrowdStrikeは、現代のサイバーセキュリティにおける世界的な標準といえる存在です。単なるウイルス対策ソフトのメーカーではなく、クラウド環境を前提に設計されたエンドポイントセキュリティプラットフォーム「Falcon(ファルコン)」を提供する市場のリーダーとして知られています。
IT業界で最も権威あるリサーチ企業の評価において、CrowdStrikは常にトップリーダーの位置を確立しています(1)。
Gartner:実行力の評価において最高スコアを獲得し、5年連続で「リーダー」に選出。
Forrester:統合型クラウドセキュリティプラットフォームとして、エンドポイントセキュリティ分野で最高評価を獲得。
IDC:エンドポイントセキュリティ市場において、トップクラスの市場シェアを維持。
「技術力の高さ」も含め、「Fortune 100」企業の多くや、各国の政府機関、金融機関がCrowdStrikeを採用しているという事実が、その信頼性を裏付けています(1)。
そしてCrowdStrikeにおける最大の特徴は、「クラウドネイティブ」です。世界中の数百万台以上のデバイスから収集される脅威データをクラウド上でリアルタイムに解析し、ある一か所で新たな攻撃手法が見つかれば、即座に世界中の全ユーザーの防御に反映されます。「集団(Crowd)の力で、攻撃(Strike)を防ぐ」。その名の通り、世界規模の集合知によって守られているのが、CrowdStrikeの強みです。
2. 2025年に向けて――現代企業と社会が直面するセキュリティの課題
そもそも、なぜ今これほど高度なセキュリティ対策が求められているのでしょうか。CrowdStrikeが公開している年度脅威レポートを読み解くと、サイバー攻撃を取り巻く環境が、質・速度・規模のすべてにおいて従来とは明らかに異なる段階に入ったことが示されています(2)(3)。もはや一部の高度な組織だけが直面する特殊な脅威ではなく、あらゆる企業活動の前提条件として捉えるべき状況に変化しています。
現代のサイバー脅威における本質的な変化は、攻撃手法が高度化したこと以上に、「人間の対応速度を前提としない攻撃設計」へ完全に移行した点にあります。その象徴が、侵入から横展開までに要する「ブレイクアウトタイム」における急激な短縮です。近年の攻撃は、侵入後から平均して1時間を切るスピードで被害が拡大し、極端なケースでは1分未満で複数のシステムに影響が及びます(2)。これは、侵入を検知してから人が判断し、対策を講じるという従来の運用モデルが限界に達している事を意味します。
さらに攻撃者は、技術的な攻撃要素の他に、ソーシャルエンジニアリングによる攻撃も巧妙になっており、音声によるなりすましや正規アカウントの悪用といった、一見すると不審に見えない手段を巧妙に組み合わせ、初期侵入の成功率を高めています(2)。生成AIの活用により、こうした攻撃は低コストかつ大量に実行可能となり、特別な技術力を持たない攻撃者であっても攻撃が容易に再現できるようになりました。もはや重要なのは「侵入を完全に防げるかどうか」ではなく、「侵入後の挙動をいかに早く検知し、封じ込められるか」という点に移っています。
従来のセキュリティ対策は、ウイルスやマルウェアを検知し、駆除することを前提に設計されてきました。しかし現在、多くの攻撃はその前提そのものをすり抜けて進行します。攻撃者は正規のユーザーIDやパスワードを窃取し、正規の社員になりすましてシステムにログインします。その後、OSに標準搭載された正規ツールなどを用いて活動を進めるため、従来型のアンチウイルスでは異常として検知されません。こうした「Living off the Land(環境寄生型)」攻撃は、正規の操作と不正行為の境界を意図的に曖昧にしています。加えて近年は、生成AIを組み込んだ攻撃活動も現実の脅威となっています。CrowdStrikeは、過去12か月間で生成AIを活用した攻撃に関連する320件以上のインシデントを調査したと報告しています(3)。これらのケースでは、攻撃者が生成AIを用いて情報収集や作業を効率化し、採用プロセスや業務フローそのものに巧妙に入り込むことで、長期間にわたり正規ユーザーとして活動していた実態が確認されています。サイバー攻撃はすでに「不正なプログラムを見つける」段階を超え、「正規の人間・正規の権限・正規の操作」を見抜けるかどうかという次元へ移行していると言えるでしょう。
こうした状況の中で、とりわけ深刻なのが中小企業を取り巻く現実です。「自社は大企業ではないから狙われない」という考えは、現在ではもっとも危険な誤解の一つと考えられます。攻撃者はセキュリティの堅牢な大企業を正面から狙うのではなく、その取引先である中小企業やサプライチェーンの弱点を踏み台として利用します。中小企業は専任のセキュリティ担当者が不在であることも多く、攻撃者にとっては低リスクかつ高い成果が見込める標的となりやすいのが実情です。ランサムウェアによって会計データや顧客情報が暗号化されれば、金銭的被害にとどまらず、信用の失墜によって事業継続そのものが危機にさらされる可能性も否定できません。
3. CrowdStrikeは、この危機的状況をどう解決するのか
前述した「超高速な攻撃」など複数の要素に対し、CrowdStrikeのプラットフォーム「Falcon」は「NGAV(次世代アンチウイルス)」と「EDR(エンドポイントでの検知と対応)」など複数のプロダクトを用いて融合的に脅威を見つけることが、メリットとして挙がられます。
侵入を防ぐだけでなく「動き」を検知する(EDRの真価)
CrowdStrikeは、ファイルそのもののマルウェア判定(NGAV)に加え、パソコンやサーバー内での「挙動」を監視します(EDR)。たとえ正規のIDでログインされ、正規のツールが使われたとしても、「普段とは異なるコマンドが実行された」「不審な通信が発生した」という”振る舞い”を検知します。これにより、従来型のソフトでは見抜けない「なりすまし攻撃」や「未知の脅威」をあぶり出すことができます。
「1-10-60ルール」の実現
セキュリティ運用には「1-10-60」というベンチマークがあります。
- 1分で検知する
- 10分で調査する
- 60分で封じ込める
CrowdStrikeのFalconプラットフォームは、この超高速対応を実現するために設計されています。AI(人工知能)による自動解析と、クラウド上の脅威インテリジェンスが連携し、侵入の兆候を瞬時に捉え、端末をネットワークから隔離するなどの初動対応を支援します。これにより、致命的なデータ漏洩が起こる前に攻撃の芽を摘むことが可能です。
エージェントの軽快さと運用の簡易化
高機能なセキュリティソフトは、パソコンの動作を重くしがちです。しかしCrowdStrikeは、極めて軽量な単一のエージェント(常駐プログラム)で動作します。導入時に再起動が不要なケースも多く、業務を止めることなく導入できます。また、クラウド管理型であるため、社内・社外・テレワーク環境を問わず、すべての端末を一元管理できます。これは、専任のIT担当者を置くことが難しい企業にとって、管理コストの大幅な削減という解決策をもたらします。
4. RSM汐留パートナーズが提供する付加価値
サイバー攻撃は、もはや「対岸の火事」ではありません。いつ、どこで、誰が被害に遭ってもおかしくない災害のようなものです。しかし、適切な備えさえあれば、被害を最小限に抑え、迅速に復旧することは十分に可能です。
RSM汐留パートナーズは、日々、お客様の「お金」という重要な経営資産、そしてその源泉となる「データ」を取り扱っています。財務データ、顧客情報、従業員のマイナンバーなど、企業にとって最も守るべき機密情報の重要性を、誰よりも肌感覚で理解しています。単にITベンダーとしてツールを売るのではなく、「経営資産を守るための内部統制の一環」としてセキュリティを捉えています。そのため、経営者の皆様に対して、技術用語ではなく「経営リスクと投資対効果」の視点から、納得感のある提案を提供いたします。
CrowdStrikeという世界最高峰の盾と、会計事務所としての誠実なサポート体制。 この二つを掛け合わせることで、お客様のビジネスを強固に守り抜くことをお約束いたします。自社のセキュリティ対策に少しでも不安をお持ちの方々は、ぜひ一度当社が提供している「サイバーセキュリティ支援」サービスをご確認していただけたら幸いです。
参考資料
(1)業界最高水準の検証結果とレビュー | クラウドストライク
(2)CrowdStrikeGlobalThreatReport2025.pdf
(3)CrowdStrike 2025 Threat Hunting Report
