香港の税務調査について
2023年4月27日
本日は、香港の税務調査についてご紹介します。
香港の税務調査の特徴とは?
香港の税務調査の特徴として、まずは税務調査そのものが、大変簡略化されているということがあげられます。日本では、税務調査は実地調査含め徹底して行われており、大きい企業であれば毎年または2~3年に一回、中小企業の場合には、利益を計上している場合には3~5年ごとに税務調査が入ることが一般的です。香港と比較すると日本の税務調査はとても多く、香港の場合は税務調査がシンプルで実地調査は比較的少ないというのが実態です。
実地調査が少なく質問状による調査が大半
香港の税務調査においては、税務当局の調査官などが実地調査を行うことは比較的少ないため、日本と比べると税務調査そのものが大変簡略化されているということが特徴ですが、ではどのように税務調査を行っているのでしょうか。
まず香港では、税務当局より発行される「税務質問状」というものがあります。こちらの税務質問状で何か不明な点について質問を都度行っておりまして、税務質問状による税務調査というのが香港では一般的です。
香港で税務調査が簡略化されている理由
香港で税務調査が簡略化されている理由ですが、まず、香港法人は香港の公認会計士により会計監査を受けるということが義務付けられているということが理由としてあげられます。
日本では中小企業では一般的には会計監査は義務付けられていませんので、税務当局による税務調査が必要となるケースが多いと思います。香港の場合にはこのような会計監査が実施されているため、税務調査が簡略化されています。ただし、会計監査といっても日本や欧米の会計監査の法定監査ほど大掛かりなものではありません。
なお、香港では税務調査がこのように簡略化されているからといって、申告漏れがあってはいけません。もし香港において税務調査で仮に申告漏れなどが指摘されてしまった場合には厳しい追及を受けることとなります。法人のみならず個人の確定申告においても同様です。たとえば香港駐在員であった日本人が香港での申告所得額が過小でであった場合、当該駐在員は帰国後も一定期間に遡及しての未納税額を支払うことになります。
香港では、税務当局はもし不正行為や悪質な所得隠しなどを発見した場合には、通常6年間とされている遡及上限を超え、課税年度の終了より10年間についても税務調査を行うことが可能と定められています。また、香港ではペナルティが大きく、税務当局は未納税額の最高3倍までの罰則金を課すことが可能となっています。