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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

合同会社の相続による社員変更登記

合同会社の社員は死亡により退社する

合同会社の退社事由として、社員の死亡があります(会社法第607条第1項)。つまり、合同会社の社員が個人であった場合、当該個人は死亡したときに退社することになります。

死亡した社員の相続人は、合同会社の社員としての地位を相続することはできず、持分を相続する代わりに持分の払戻請求権を相続することになります。

従って、1人しか社員のいない合同会社においては当該社員が死亡することにより社員が不在となってしまい、その合同会社は解散することになってしまいます。

こちらの記事もご参照ください。
合同会社と相続

定款に定めることにより持分の相続も可能に

合同会社は、その社員が死亡した場合における当該社員の相続人が、当該社員の持分を承継する旨を定款で定めることができるとされています(会社法第608条第1項)。

上記定めが定款にある合同会社は、その社員が死亡したときは当該社員の相続人が合同会社の社員として加入することになります(相続人が既に社員であるときを除きます)。

死亡により退社した社員や新しく加入した社員が、業務執行社員・代表社員であったときは、業務執行社員・代表社員は合同会社の登記事項ですので、その変更登記の申請が必要となります。

相続による社員変更の登記

相続により業務執行社員・代表社員が退社したとき、新しく業務執行社員・代表社員が加入したときは業務執行社員・代表社員の変更登記が必要となり、社員の退社にともない持分を払い戻したときは資本金の額の変更登記も必要となるときがあります。

法定相続人が1名の場合

相続人が新しく業務執行社員・代表社員に加入になるときは、次の書類(一例)を添付することになります。

  • 定款
  • 死亡した社員の出生から死亡までの戸籍一式
  • 相続人の現在戸籍
  • 業務執行社員の互選書(必要に応じて)
  • 代表社員の就任承諾書(必要に応じて)

この他に、必要に応じて印鑑届書や印鑑証明書を併せて提出します。

法定相続人が2名以上で、相続人の一部のみが社員となる場合

相続人が2名以上いるときに、遺産分割協議によって1名のみが新しく業務執行社員・代表社員に加入になるときは、次の書類(一例)を添付することになります。

  • 定款
  • 死亡した社員の出生から死亡までの戸籍一式
  • 相続人全員の現在戸籍
  • 遺産分割協議書
  • 印鑑証明書?
  • 業務執行社員の互選書(必要に応じて)
  • 代表社員の就任承諾書(必要に応じて)

この他に、必要に応じて印鑑届書や印鑑証明書を併せて提出します。

上記の例で最終的に相続人のうちの1名のみが社員となる場合、登記手続き上、一旦共同相続人全員の社員加入を経由するべきかどうか、つまり共同相続人全員が社員として加入した上で相続人間で持分譲渡の登記をしなくてはならないのかどうかについては、どうなんでしょうか。

上記のとおり持分譲渡の登記をしなければならないという先例はありますが、それは合名会社・合資会社のものであり、商業登記ハンドブック第3版では、私見ではありますが合同会社においては妥当しないように思われるという記載があり、また「合同会社のモデル定款―利用目的別8類型―(商事法務)」においても同趣旨の記載があります。

一度このような案件の登記申請をしてみたいと思っておりますので、合同会社の相続による社員の変更登記を当事務所に是非ご依頼ください。

相続人が社員としての地位を承継しない場合

社員の相続人が社員としての地位を承継せずに、当該相続人に持分の払い戻しをするときは、死亡による社員の退社の登記と必要に応じて資本金の額の減少登記の申請をします。

持分を払い戻したときは、払い戻しを受ける社員が出資した際に、当該出資につき資本金・資本剰余金の額に計上されていた額がそれぞれ減少するとされています。

合同会社が資本金の額を減少するときは、債権者保護手続きを行わなければなりません。また、払い戻す財産の額が剰余金の額を超える場合についても債権者保護手続きが必要となります。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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