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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

合同会社と相続

株式の相続と持分の相続

株式会社の株主が亡くなると、その株式は相続人へ相続されることになります。

同様に、合同会社の社員(=出資者)が亡くなると、、、必ずしもその持分は相続人が相続するわけではありません。 

持分が相続されるかどうかは、合同会社において非常に重要な事項です。

なぜなら、持分が相続されないと、亡くなった社員の相続人が社員となることができず、1名社員の合同会社は解散してしまうためです。

これから合同会社の相続対策についてご検討されている方は、こちらの記事もご確認ください。

≫資産管理会社として合同会社を利用するときに検討すべき点(法務面)

合同会社の相続等に関する特則

合同会社の社員の相続人が、当該社員の持分を相続することができるかどうかは定款の記載次第です。

合同会社の持分の相続については、会社法第608条1項は次のように定めています。

(相続及び合併の場合の特則)
会社法第608条1項

持分会社は、その社員が死亡した場合又は合併により消滅した場合における当該社員の相続人その他の一般承継人が当該社員の持分を承継する旨を定款で定めることができる。

持分の払戻請求権

社員が亡くなったときにその持分を相続人が承継できるかどうかは、合同会社の定款に相続人持分承継規定があるかどうかということになります。

ところで、持分を相続人が承継できる旨の規定が定款に無い場合はどうなるでしょうか。

社員の相続人は持分を承継することはできないことになりますが、退社した社員はその持分の払戻しを受けることができますので(会社法第611条1項)、被相続人に代わり合同会社から持分の払戻しを受けることになるでしょう。

この持分の払戻しは、出資の払戻しと異なり、100万円出資をしたから100万円戻ってくるというものではありません(偶然そうなることもあります)。

具体的には、社員の相続人が持分を承継することができず、持分の払戻請求権のみを相続した場合は次のような対応を取ることになります。

社員が2名以上の場合(相続人が持分を承継する場合)

ABと社員が2名いる合同会社においてAが亡くなった場合、相続人が持分を承継できる旨の規定があれば、Aの相続人がAの持分を承継します。

遺言があれば原則としてその内容に従い、遺言で指定された相続人が持分を承継し、合同会社の社員となります。

遺言がない場合、一般的に事業会社においては遺産分割協議によって特定の相続人が持分を承継することになるでしょうし、資産管理会社等においては相続人全員が持分を承継して社員となることもあるでしょう。

持分を承継する相続人が確定したら、定款の社員に関する条文を変更し、必要に応じて業務執行社員・代表社員の変更手続きを行います。

社員自体は登記事項ではありませんが、業務執行社員・代表社員は登記事項となっていますので、業務執行社員・代表社員が変更した場合はその登記申請を行うことになります。

社員が2名以上の場合(相続人が持分を承継しない場合)

ABと社員が2名いる合同会社においてAが亡くなった場合、相続人が持分を承継できる旨の規定がなければ、Aの相続人は社員となることができませんので、A死亡後はBのみが社員となります。

Aの相続人は合同会社に対して持分払戻請求権を行使することができるようになりますので、当該権利を誰が相続するのか遺産分割協議によって決めることになるでしょう。

ところで、Aが100万円の持分を有していたとしても、それが100万円の価値があるのかどうかは分かりません。

債務超過の合同会社であればその持分に価値は無いのかもしれませんし、純資産の額が大きければ100万円以上の価値があるかもしれません。

「出資の払戻し」と「持分の払戻し」は異なりますのでご注意ください。

社員が1名の場合(相続人が持分を承継する場合)

社員がCのみである合同会社においてCが亡くなった場合、相続人が持分を承継できる旨の規定があれば、Cの相続人がCの持分を承継することは社員が2名の場合と同様です。

また、Cの持分につき遺産分割協議等によって承継する相続人を定める点についても同様です。

社員がCのみであれば、Cが業務執行社員兼代表社員として登記されていますので、これを相続人のうち業務執行社員・代表社員になった人へ変更する登記申請を行います。

社員が1名の場合(相続人が持分を承継しない場合)

社員がCのみである合同会社においてCが亡くなった場合、相続人が持分を承継できる旨の規定がなければ、その合同会社は解散します。

会社法第641条に合同会社の解散事由が列挙されていて、同条第4号には「社員が欠けたこと」というものがあります。

社員が欠けたこととは、社員が3名→2名あるいは2名→1名となるようなケースでなく、社員が0名になったケースを指しており、社員が0名となった合同会社はその時点で解散してしまいます。

社員がCのみの合同会社において、定款に相続人持分承継規定がない場合、Cが亡くなると(相続人は持分は承継できず)社員が0名となるので、その合同会社は解散してしまうということになります。

(解散の事由)
会社法第641条

持分会社は、次に掲げる事由によって解散する。
四  社員が欠けたこと。

合同会社で事業を運営されている方

合同会社を利用して、例えば商店をご家族で営んでいる方は、相続人持分承継規定の規定を定款に定めておくと良いかもしれません。

相続対策として、ご家族を社員に加えておくという方法もあります。

もし父のみが社員となってはいるが、従業員として家族も入り事業を手伝っているようなケースでは、ある日突然父が亡くなると会社自体が無くなってしまうことになります。

合同会社の特徴として、出資金が1円の社員も出資金が100万円の社員と同じ1票を持つことになりますので、社員を追加する際は必要に応じて議決権や剰余金の配当割合についても定款を変更しておいた方がいいかもしれません。

合同会社は定款自治が広く認められていますので、目的に応じて定款で様々な取り決めを行うことが可能となっています。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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