商業登記関係 【2026年2月2日以降】株式会社等の設立日として土日祝日・年末年始も選択可能となります。
株式会社等の設立
株式会社及び持分会社は、設立の登記をすることによって成立します。登記簿に記載される会社成立の年月日は、設立の登記の申請をした日(法務局が登記申請を受付した日)です。
株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。
持分会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。
設立の登記をすることによって成立する点は、一般社団法人及び一般財団法人においても同様です(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第22条、同法第163条)。
法務局は平日の午前8時30分から午後5時15分までを業務取扱時間としているため、今までは設立の登記をする日=会社設立の日は平日しか選択することができませんでしたが、商業登記規則が一部改正されることにともない、土日祝日・年末年始も会社設立の日として選択することができるようになります。
商業登記規則の改正
商業登記規則に次の条が加わる改正が行われます。
設立の登記(会社の組織変更又は持分会社の種類の変更による設立の登記を除く。)の申請をする者は、その申請の日の翌日が行政機関の休日(行政機関の休日に関する法律(昭和六十三年法律第九十一号)第一条第一項各号に掲げる日をいう。以下この条において同じ。)であるときは、当該行政機関の休日(当該行政機関の休日の翌日以降も引き続き行政機関の休日であるときは、そのうちいずれか一の日)をその登記の日とすることを求めることができる。この場合には、申請書にその旨及びその求める登記の日を記載しなければならない。
改正はいつから?
2026年(令和8年)2月2日からです。
本特例を利用する条件
法務局の休日を会社設立の登記の日(指定登記日)とする特例を利用するには、指定登記日が法務局の休日であること、指定登記日の直前の法務局の開庁日(かつ開庁時間)に設立の登記申請をし受付されること、対象が会社又は法人であること、登記申請書に本特例に関する記載をすることとなります。
登記申請書に記載する本特例に関する事項として、登記すべき事項に「会社(又は法人)成立の年月日」として指定登記日を記載し、加えて、その他の事項に登記の年月日は登記すべき事項の「会社(又は法人)成立の年月日」に記載した日付のとおりとすることを求める旨を記載します。
新設合併、新設分割、株式移転による設立の登記
新設合併、新設分割、株式移転による設立の登記は商業登記規則第35条の4の対象から除かれていないため、行政機関の休日をその登記の日として求めることが可能です。
このことにより、新設型の組織再編行為のスケジュールにおいて、10月1日や4月1日が土曜日又は日曜日であってもその日を新設分割等の効力発生日とするスケジュールが組めることになります。
ただし、下記のとおり債権者保護手続きのスケジュールや、新設分割会社等の変更登記も行う場合は一定の注意が必要です。
新設型組織再編行為と債権者保護手続き
新設合併、新設分割又は株式移転を行う場合で、債権者保護手続きが必要なケースにおいては、債権者保護手続きを登記申請日の前日までに終わらせておく必要があります。
2026年3月1日(日)を新設分割の設立登記の日(=指定登記日)とするのであれば2026年2月27日(金)の法務局開庁時間内に登記申請の受付がされる必要がありますが、この新設分割に係る債権者保護手続きは2026年2月26日(木)の23:59までに終了していなければなりません。
新設型組織再編に係る登記以外の登記
新設型組織再編による設立登記においても本特例が利用できるところ、例えば新設分割の場合、新設分割会社について新設分割による変更以外の登記については利用できません。
2026年3月1日(日)を新設分割の指定登記日とする場合、2026年2月27日(金)の法務局開庁時間内に新設分割による設立の登記及び新設分割による変更の登記を連件で管轄法務局へ申請することになりますが、新設分割会社において他の変更登記につき変更日を指定登記日として申請することはできないこととされています。
そのため、新設分割会社において2026年3月1日(日)を効力発生日とする商号変更、目的変更、本店移転、役員変更等がある場合は、2026年2月27日(金)に申請する新設分割による変更登記と同時にそれらの変更登記を行うことはできず、2026年3月2日(月)以降にその役員変更等の登記を行うことになります。
また、新設分割の効力発生日に、新設分割会社の商号を変更して新設分割設立会社の商号を新設分割会社の商号とするケースにおいては、同一商号・同一本店の禁止との関係から商号変更の効力発生日を2026年2月27日以前の日として、2026年2月27日までに商号変更の登記申請をすること等の工夫が必要となります。
行政機関の休日を登記の日することができない設立の登記
次の設立の登記は、行政機関の休日を登記の日することができません。なお、これらの登記は組織変更計画等で定めた効力発生日にその効力が生じますので、設立の登記申請が効力発生要件ではありません。
- 会社の組織変更による設立の登記
- 持分会社の種類の変更による設立の登記
- 会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第87号)第46条の設立の登記
一般社団法人、一般財団法人にも適用があるか
一般社団法人等登記規則第3条では商業登記規則につき「~~第27条から第45条まで、~~」の規定を一般社団法人等の登記について準用しており、今回、一般社団法人等登記規則の改正は予定されていません。
そのため、一般社団法人、一般財団法人の設立の登記も行政機関の休日をその登記の日とすることができます。
なお一例として、商業登記規則を準用する投資事業有限責任組合契約及び有限責任事業組合契約登記規則第8条は、「~~第32条から第36条まで~~」が「~~第32条から第35条の3まで、第36条~~」と改正後の商業登記規則第35条の4を準用しないようにする改正がなされます。
行政機関の休日とは
商業登記規則第35条の4にある行政機関の休日は次のとおりです(行政機関の休日に関する法律第1条項)。
- 日曜日及び土曜日
- 国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日
- 12月29日から翌年の1月3日までの日(前号に掲げる日を除く。)
2026年(令和8年)2月2日以降は、2026年3月1日(日曜日、上記1)、1月1日(元日、上記2)、5月5日(こどもの日、上記2)を会社成立の年月日とすることができるようになります。
行政機関の休日の直前の平日に登記申請をする
行政機関の休日を設立の登記の日とする場合、次の2点が求められます。
- 当該行政機関の直前の平日に登記の申請をする。
- 申請書に令和●年●月●日を登記の日とすることを求める旨を記載する。
2027年(令和9年)1月1日を設立の登記の日としたい場合は、2026年(令和8年)12月28日の午前8時30分から午後5時15分までの間に、令和9年1月1日を登記の日とすることを求める旨を記載して設立の登記申請をします。行政機関の休日が続く場合は、当該連休の直前の平日に登記の申請をすることが求められますので、2026(令和8年)年12月25日以前にその登記を申請しておくことはできません。
2026年(令和8年)12月28日に設立の登記申請をした場合、令和9年1月1日を登記の日とすることを求める旨を申請書に記載しておかないと、会社成立の年月日は2026年(令和8年)12月28日となります。事業年度末を12月末とする株式会社の会社成立の年月日が12月25日や12月28日となると、1期目がすぐに終わってしまいます。
同様に、2026年(令和8年)12月28日の午後5時15分を過ぎてから登記申請をした場合は、令和9年1月1日を登記の日とすることを求める旨を申請書に記載していても、会社成立の年月日は2027年(令和9年)1月4日となります。(登記事項証明書は取れませんが)1月1日に株式会社が成立したものとして同日から法人として活動していたところ、会社成立の年月日が1月4日となってしまうのであれば当初の想定とズレが生じてしまいます。
登記申請の添付書面は申請日基準
登記申請の添付書類は指定登記日ではなく登記申請日(まで)を基準に作成します。
払込みを証する書面、委任状、印鑑届書等の添付書面は登記申請日(まで)に作成されていることが求められ、印鑑届書に添付する印鑑証明書は(指定登記日ではなく)登記申請日から3ヶ月以内に作成されたものが求められます。
バックデートは不可
行政機関の休日を設立の日としたいときはその直前の平日(午前8時30分から午後5時15分まで)に設立の登記申請をすることが求められるため、2026年(令和8年)2月14日土曜日を設立の日としたい場合は、同年2月13日に(令和8年2月14日を登記の日とすることを求める旨を申請書に記載して)登記申請をすることになります。
2026年(令和8年)2月16日になってから、令和8年2月14日を登記の日とすることを求める旨を申請書に記載して登記申請をしても設立の登記の日(会社成立の年月日)は同年2月16日です。
土日に登記申請書が法務局へ届くように郵送した場合
登記申請は郵送によって行うこともできますが、土日(を含む行政機関の休日)に申請書が届いても受付は翌平日に行われますので、当該翌平日に設立の登記申請がされたことになります。上記のとおり、設立の登記の日をバックデートすることはできません。
また、書類不備や手続きの不備により登記申請が却下された場合又は取り下げた場合は、(必要であれば)再度の登記申請を行うことになりますので、当初予定していた日を会社設立日とすることが難しくなるでしょう。
設立登記の審査が完了した後は、会社成立の年月日の更正登記をすることもできません。
特定の日を設立の日としたい場合は、お近くの司法書士に設立の登記手続きを依頼されるのが無難です。
≫しほサーチ(日本司法書士会連合会)
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。





