その他 「家族信託の基本と活用例」のセミナーを行いました。
家族信託セミナー
埼玉県のさいたま市大宮区にて、家族信託に関するセミナーをさせていただきました。
相続という場面において、家族信託は注目されており、遺言や成年後見制度では対応できない問題に、家族信託であれば対応できる可能性があります。
成年後見制度には無い機能の一例
法定後見は、財産を保有している本人が認知症等により意思能力が不十分になった後でないと、本人に代わってその財産を売ることや管理することはできません。
また、法定後見人は「本人のために」必要があるとき以外は、本人の財産を動かすことはできません。
任意後見においても、財産を保有している本人が認知症等により意思能力が不十分になった後でないと、本人に代わってその財産を売ることや管理することはできません。
しかし、本人が元気なうちに、本人が家族に財産を任せたいという想いがあったときは、成年後見制度では対応しにくい部分があります。
これを、家族信託を用いると本人及びそのご家族の想いを実現できるかもしれません。
遺言には無い機能の一例
遺言では、遺言者の財産を受け取る人を指定することができます。遺言者の財産を受け取る人が、遺言者よりも先に亡くなったときに財産を受け取る人を、遺言により指定することは可能です。これを予備的遺言といいます。
しかし、最初に受け取る人(1次)、その人が受け取った後に亡くなったときに受け取る人(2次)、2番目に受け取った人が亡くなったときに受け取る人(3次)というように、受け取る人を順次指定することはできません。
この受け取る人を順次指定することと似たようなことを家族信託では実現できる可能性があります。
本人が所有している不動産を、最初は本人と同居している長男、長男が亡くなったら長男の妻が利用し、子どものいない長男夫婦が亡くなったら次男の子どもに承継させるようなケースです。
長男の妻の相続人は、妻の親族(妻の両親や兄弟姉妹)であるため、長男の妻には不動産を利用して欲しいけれども妻側の親族に不動産を渡したくない、自分の子や孫に最終的には持っていて欲しいという想いがあるときは、家族信託を用いるとその想いを実現できるかもしれません。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。