【Q&A】外国人の雇用と就労ビザ申請手続きや留意点について
2023年1月19日
外国人雇用や在留資格、日本での会社設立などに関し、お困りの方も多いと思います。本記事では、これらに関するよくある質問を、Q&A形式でまとめました。日本でビジネスを行う際にはぜひ参考にしてみてください。
外国人雇用について
【Q.1-1】日系人は就労に制限がないと聞いたのですが、本当ですか?
【A.1-1】日系人だからといって、必ずしも就労に制限がないわけではありません。日系2世及び3世については、「日本人の配偶者等」または「定住者」により入国が認められることになっています。このいずれかの在留資格を持っている日系人は、その他の在留資格同様に、在留期間は定められていますが、就労の制限はありません。
従って、「日本人の配偶者等」または「定住者」の資格を持っている日系人であれば、単純労働分野でも就労が可能です。しかし、この2つ以外の在留資格を持ち、日本に滞在している日系人ついては、所持する在留資格の範囲内でしか活動はできません。
【Q.1-2】「資格外活動の許可」とは、具体的にはどのようなものですか?
【A.1-2】資格外活動許可とは、在留資格で許可されている以外の活動について、外国人が行うことを入国在留管理局(入管)が認めることです。例えば、「留学」や「家族滞在」の在留資格では就労は認められていません。
しかし、「資格外活動許可」を得ていれば、一定の条件の下でアルバイトが認められます。このように、本来の在留資格では認められていない活動に対して入管が特別に認めることを「資格外活動許可」と言います。
【Q.1-3】外国人留学生をアルバイトとして雇うことはできるのでしょうか?
【A.1-3】外国人の留学生を雇う場合は、日本で正規に「資格外活動許可」を受けた場合に限られます。雇用主は雇用の際に、外国人留学生が「資格外活動許可」を受けているかどうか、所持している「在留カード」で確認する必要があります。
尚、「資格外活動許可」を受けている場合であっても、無制限にアルバイトをさせられる訳ではありません。仕事の制限については、以下を合わせてご確認下さい。
【Q.1-4】外国人留学生をアルバイトとして雇う場合の仕事の制限はありますか?
【A.1-4】外国人留学生の従事可能な業務と時間には制限があります。まず、仕事内容についてですが、「資格外活動許可」では風俗営業等の従事は認められていません。また、就労可能な時間については、原則週28時間以内のアルバイトのみ認められています。長期休暇中は例外として1日8時間以内での就労が可能です。
【Q.1-5】外国人を初めて採用することになりましたが、その外国人が日本で働くことができるか否か確認する方法はありますか?
【A.1-5】まずは外国人が持っている在留資格を「在留カード」で確認します。「在留カード」には在留資格の他に、就労制限の有無を確認することができます。雇用予定の外国人が持っている在留資格が「留学」や「家族滞在」など就労不可の在留資格の場合には、「在留カード」の裏面に、資格外活動許可の印字があるかを確認します。もし印字されていれば、一定の条件下でアルバイトとして雇用が可能です。
在留カードの見方は、法務省のサイトで確認が可能です。
また、在留カードが失効していないかについても、法務省のサイトにて在留カード番号と在留期限を基に確認が可能です。
【Q.1-6】短期間勤務するスタッフを採用したいのですが、「短期滞在」の在留資格を持っている外国人を採用しても問題ないですか?
【A.1-6】「短期滞在」の在留資格での就労は認められません。そのため、雇用したい期間中に日本に滞在できる外国人であっても、在留資格が「短期滞在」の場合は採用はできません。
【Q.1-7】特定活動(ワーキングホリデー)の在留資格で、日本で働くことは可能ですか?
【A.1-7】ワーキングホリデー制度とは、日本と諸国・地域間の取り決め等に基づき、各々が相手国・地域の青少年に対し、休暇目的の入国及び滞在期間中における旅行・滞在資金を補うことを目的とした付随的就労を認める制度です。従って、一定の条件の下では、付随的な就労を行うことは可能です。
【Q.1-8】私は特定活動(ワーキングホリデー)の在留資格で滞在中ですが、就労ビザに変更できますか?
【A.1-8】協定国によって変更申請が認められていない場合もありますが、基本的に特定活動(ワーキングホリデー)で日本滞在中に日本の企業への就職が決まった場合は、在留資格の変更申請が可能です。
【Q.1-9】外国人を雇用したのですが、在留資格変更申請が不許可になりました。再申請は可能ですか?
【A.1-9】まず、不許可の理由を必ず確認する必要があります。不許可の理由についてクリアすることができれば、再申請を行うことで許可を得ることができます。
【Q.1-10】海外にいる外国人を採用するためには、「在留資格認定証明書」を取得しないと日本で就労できないとの話を聞きましたが、どのようなものですか?
【A.1-10】在留資格認定証明書とは、出入国在留管理局に対して新規で在留資格を取得するための申請(認定申請)を行い、許可された際に発行される証明書のことです。
海外居住の外国人が日本で働くためには、適切な在留資格を得る必要があります。外国人が在留資格を得るには、基本的に来日時に入国審査官へ認定証明書を提示し、在留カードを受け取る必要があるためです。この際に、「在留資格認定証明書」が必要となります。
尚、この証明書は、来日前に海外の日本大使館や領事館で行うビザ発給手続きにおいても、使用することとなります。
【Q.1-11】留学生を雇用することになりました。日本の大学を中退して就労ビザに変更することは可能ですか?
【A.1-11】「留学(在留資格)」から就労資格への変更申請は可能です。しかし、本来、日本で勉強することを目的とし来日しているため、退学し就労資格へ変更する場合は、審査が特に厳格に行われます。従って、申請を行っても、在留資格の変更が許可されない可能性がありますので、この点は十分認識しておく必要があります。
外国人雇用について(労務編)
【Q.2-1】外国人労働者と締結する雇用契約書について、注意点を教えてください。
【A.2-1】外国人従業員との雇用契約書では、契約内容を細かく明確に決めておく必要があります。例えば、雇用契約書に雑務や掃除等に関する記載がなければ、仕事でそのような仕事を依頼しても、契約で定められている業務ではないとして、拒まれるケースがあります。
日本人同士では暗黙の了解となっている事柄であっても、外国人との場合には、契約書で明確に記載しておく必要があるでしょう。特に就業時間や休暇、残業については、明確に記すことが大切です。契約内容が曖昧な場合、トラブルに発展する可能性があります。
【Q.2-2】外国人を雇用した場合、何か必要な届出はありますか?
【A.2-2】特別永住者及び「外交」、「公用」以外の在留資格を持つ外国人労働者の雇用または離職の場合、事業主は、雇用保険の被保険者資格の取得/喪失届、あるいは外国人雇用状況の届出をしなければなりません。
どちらの届出が必要かは、雇用する外国人が雇用保険の対象であるかによって、異なります。尚、届出を怠った場合や虚偽の届出をした場合には、30万円以下の罰金が科されることがあります。
【Q.2-3】日本の会社に就職しましたが、雇用保険料は何のために支払うのですか?
【A.2-3】雇用保険制度は労働者が失業した場合等に失業保険の給付を行い、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、再就職の援助を行うことなどを目的とした雇用に関する総合的な機能を持つものです。国籍を問わず、外国人にも日本人と等しく適用されます。
【Q.2-4】外国人を雇用した場合、社会保険や労働保険に加入させなくてもいいですか?
【A.2-4】原則として、外国人労働者も日本人と同様の適用となりますが、社会保険については、例外的に加入しなくて良い場合があります。
【Q.2-5】短期間のアルバイトとして入社した外国人が、外国人雇用状況報告制度の届出期限前に離職した場合、雇用と離職の届出をまとめて行うことはできますか?
【A.2-5】雇用と離職の届出をまとめて行うことは可能です。その場合、雇い入れと離職両方の日にちを記載して、届け出ることとなります。
【Q.2-6】外国人雇用状況届出の際に、外国人従業員のパスポート(写し)や在留カード(写し)を一緒に提出する必要はありますか?
【A.2-6】外国人雇用状況届出制度において、事業主は雇用する外国人の氏名等の身分事項を確認して届け出なければなりませんが、該当外国人のパスポートや在留カードの写しを同封する必要はありません。しかし、内容に誤りがないように、在留カード等を十分に確認の上、作成することはもちろん大切です。
就労ビザ申請手続きについて
【Q.3-1】就労ビザとは何ですか?
【A.3-1】就労ビザとは、日本で仕事をして給料を得ることが認められているビザ(在留資格)の呼称のことです。就労ビザというビザは、厳密に言えばありません。後述しますが、就労ビザには19種類あります。
【Q.3-2】就労ビザの種類について教えてください。
【A.3-2】就労活動を目的とする在留資格としては以下の19種類があります。
①外交、②公用、③教授、④芸術、⑤宗教、⑥報道、⑦高度専門職、⑧経営・管理、⑨法律・会計業務、⑩医療、⑪研究、⑫教育、⑬技術・人文知識・国際業務、⑭企業内転筋、⑮介護、⑯興行、⑰技能、⑱特定技能、⑲技能実習
詳しくは、「外国人が日本に滞在するためのビザの種類について」もご覧ください。
【Q.3-3】経営・管理ビザと就労ビザの関係について、教えてください。
【A.3-3】経営・管理ビザは、広い意味で就労ビザの1つの在留資格です。経営・管理ビザは、「経営」と「管理」に分けられます。
「経営」は事業経営の場合です。このビザは、①年間500万円以上の投資がされていること、②事業を営むための事業所・店舗・施設の確保がされていること、③経営者以外に日本に居住する者の常勤社員2名以上を雇用することなど、が取得の要件となっています。
一方で「管理」は外国人経営者に代わって経営管理業務をする場合です。このビザは、①事業の経営または管理について3年以上の経験を有すること(大学院において経営または管理に係る科目を専攻した期間を含む)、②日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることなど、が取得の要件となっています。
詳しくは、「経営管理ビザ(在留資格)の新規取得手続」もご覧ください。
不法就労について
【Q.4-1】不法就労とは、どのような場合を言うのでしょうか?
【A.4-1】不法就労とは、例えば次のような場合です。
①日本に不法に入国や上陸したり、定められている在留期間を超えて違法に日本国内に残留したりするなどして、正規の在留資格を持っていない外国人が行う収入を伴う活動
②正規の在留資格を持っている外国人でも、入国管理局から必要な許可を受けずに、与えられている在留資格以外の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動
詳しくは、「外国人雇用の注意点【詳細解説】在留資格・雇用契約書・届出等」もご覧ください。
【Q.4-2】不法就労助長罪とは、何でしょうか?
【A.4-2】不法就労助長罪は、出入国管理及び難民認定法(入管法)に定められています。具体的には、①事業活動に関し、外国人を雇用するなどして不法就労活動をさせる行為、②外国人に不法就労活動をさせるために自己の支配下に置く行為、③業として外国人に不法就労活動をさせる行為又は②の行為に関して、あっ旋する行為です。これらの行為は、処罰の対象となります。
詳しくは、「外国人雇用の注意点【詳細解説】在留資格・雇用契約書・届出等」もご覧ください。
【Q.4-3】不法就労をしている外国人とは知らずに雇用してしまったのですが、罪になりますか?罰則はありますか?
【A.4-3】もし知らずに不法就労者を雇っていれば、基本的には厳しく処罰されることはないようです。しかし、会社側が不法就労であると明確に認識していなくても、総合的な状況から考えて、不法就労の可能性があるにもかかわらず、積極的に確認をしないままで、外国人を雇用しているような場合等については、不法就労であることを知らないことについて過失があったとされ、処罰を免れないことになります。
詳しくは、「外国人雇用の注意点【詳細解説】在留資格・雇用契約書・届出等」もご覧ください。
その他のよくある質問
【Q.5-1】ビザなしで入国した外国人が日本で活動することについて、どのような制限がありますか?
【A.5-1】外国人が日本に入国して活動できる内容は、入管法で定められています。この法律には、就労ビザ以外の「短期滞在」で入国する外国人が働いて報酬を得ることは原則できないとされています。また「短期滞在」で入国する外国人は、決められた滞在期間が切れる前に出国することが、前提となっています。
【Q.5-2】大学の研究室で研究生として勤務する予定です。「文化活動」に該当する場合もあるようですが、「留学」の在留資格との違いは何でしょうか?
【A.5-2】日本の大学等で、決められた期間に在籍して教育を受ける活動は「留学」の在留資格に該当します。しかし、これ以外で、大学で何らかのテーマについて「収入を伴わない学術上の活動」、例えば、自ら調査・研究を行う場合は、「文化活動」に該当する場合があります。
【Q.5-3】留学生の家族を日本に呼び寄せて同居することはできますか?
【A.5-3】大学や専修専門学校等に在籍する留学生は、配偶者や子どもを呼び寄せて一緒に生活することができます。しかし、高等学校や各種学校等に在籍する留学生は、配偶者や子どもを呼び寄せることは原則としてできません。
【Q.5-4】留学生がアルバイトをする場合の「在留資格活動許可」の申請方法と、必要書類について教えて下さい。
【A.5-4】留学生がアルバイトを行うには、「資格外活動」の申請を行い、事前に許可を受ける必要があります。必要書類は、①資格外活動許可申請書、②該当申請に係る活動の内容を明らかにする書類です。
【Q.5-5】留学生のアルバイトで「資格外活動」を取得しなくても良い場合があるようですが、どのようなケースですか?
【A.5-5】「留学」の在留資格を持って在留する場合で、大学又は高等専門学校(第4学年、第5学年及び専攻科に限りる)において教育を受ける人が、該当大学または高等専門学校との契約により、報酬を受けて行う教育または研究を補助する活動については「資格外活動」の許可を受ける必要はありません。
【Q.5-6】「家族滞在」の在留資格で、滞在する配偶者や子どもが学校に入学して、学生として学ぶことは可能ですか。それとも、「留学」に変更するべきでしょうか?
【A.5-6】「家族滞在」の在留資格のまま大学に入学して、教育を受ける活動を行っても、就労活動を行わなければ、入管法違反にはなりません。しかし、原則的には、「留学」の在留資格に変更を行う必要があります。なお、「家族滞在」の在留資格をもって滞在する外国人は、扶養者が日本から出国した場合は、在留を認められなくなりますが、「留学」の在留資格に変更した場合には、扶養者が日本から出国しても引き続き在留することができます。
【Q.5-7】永住者の在留資格で、海外から入国することは可能ですか?
【A.5-7】入管法第7条第1項2号の規定により、外国人が初めから「永住者」の在留資格で入国することはできません
【Q.5-8】永住許可申請における「素行が善良」とは、具体的にはどのようなことでしょうか?
【A.5-8】「素行が善良」とは、法律を遵守し、日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいる状態を言います。犯罪に巻きこまれて刑事罰を受けた、あるいは飲酒運転や交通事故をおこして一定期間が過ぎていない場合等は、永住許可がおりない場合もあります。
【Q.5-9】外国人の子どもを養子として入籍し、日本に呼び寄せることは可能ですか?
【A.5-9】養子縁組は複雑な手続きであり、しかも色々な条件があります。養子縁組ができても、すべての外国人にビザが発給されるとは限りません。外国人の養子にビザが出る場合は、以下の「普通養子」「特別養子」に当てはまるケースです。
「普通養子」
日本人、永住者、特別永住者、定住者が扶養する6歳未満の外国人養子に対して「定住者」のビザが与えられます。
「特別養子」
日本人の親子と同等視されますので、「日本人の配偶者等」のビザが与えられますが、養子となる外国人が成人の場合、養子縁組により日本に住むための適法なビザが与えられるわけではありませんのでご注意ください。
【Q.5-10】私は日本人と再婚して「日本人の配偶者等」の在留資格を持っています。前の結婚 で授かった小学生の子どもを日本に呼んで一緒に生活したいですが、可能ですか?
【A.5-10】外国人養子が6歳以上で外国人配偶者の連れ子の場合は「定住者」のビザ申請が考えられます。詳しくはご相談下さい。
【Q.5-11】日本の専門学校を卒業しました。「経営管理」のビザに変更したいのですが、出席率があまり良くありません。このような場合、「経営管理」ビザの取得は難しいでしょうか。
【A.5-11】留学の在留資格から他の在留資格へ変更する場合、本人の在学時の出席率も審査の対象となるため、場合によっては変更許可が下りないケースもあります。もし出席率が低かった正当な理由があれば、その説明とともに、説明を裏付けできる資料などを添えて提出することになります。
【Q.5-12】外国人が入国管理局で手続きを行う際に、マイナンバーの情報を提出する必要がありますか?
【A.5-12】入国管理局の各申請手続きにおいてマイナンバーの情報を提出する必要がありません。
RSM汐留パートナーズのサポート内容について
【Q.6-1】RSM汐留パートナーズの外国人雇用と就労ビザ申請手続に関する無料相談について教えて下さい。
【A.6-1】弊事務所では、外国人雇用や就労ビザ申請の手続きサポートを行っています。初回無料相談を承っております(内容によってはお受けしていない業務もあります)。お客様と直接お話をして、お客様が直面されている外国人雇用や就労ビザ申請の疑問や不安、問題点に対して、どういうプロセスを経ればよいかを一緒に考え、最善の方法を提案いたします。
【Q.6-2】メールやSkypeでやり取りをしたいのですが、可能ですか?
【A.6-2】もちろん可能です。メールやSkypeに限らず、様々な形でご相談、ご連絡をいただくことが可能です。外国人雇用や就労ビザ申請の手続きに関する弊社のサービスについても、メール等を中心としてご提供させていただいております。
【Q.6-3】RSM汐留パートナーズの外国語対応サービスの内容について、教えてください。
【A.6-3】RSM汐留パートナーズには、英語・中国語が堪能なバイリンガルスタッフが多数在籍しております。外国人雇用や就労ビザ申請の手続きに関して、日本語以外の言語でもご対応は可能ですので、ご安心ください。
おわりに
本記事では、日本でビジネスをはじめたい、日本で外国人を雇用したいと考える方が頻繁にぶつかる疑問点について紹介いたしました。もしこの記事がみなさまの役に立つようでしたら幸いです。
もし日本進出や外国人雇用、外国人の在留資格(ビザ)などに関しお困りのことがございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。