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在留資格「企業内転勤」の取得及び維持に必要な海外法人と日本法人との関係性~同一会社内の移動、系列企業内の出向等及び駐在員事務所~

在留資格「企業内転勤」の取得及び維持に必要な海外法人と日本法人との関係性~同一会社内の移動、系列企業内の出向等及び駐在員事務所~

外国人雇用・イミグレーション
2026年2月12日

在留資格「企業内転勤」は、外国に拠点を置く企業などが、その社員を日本にある拠点へ期間を定めて転勤させる場合に付与される在留資格です。

この在留資格の審査においては、転勤する社員本人の経歴もさることながら、「送り出し側の外国法人(派遣元)」と「受け入れ側の日本法人(拠点)」との間に、特定の資本関係や組織上の結合関係が存在していることが絶対的な要件となります。単に「業務提携をしている」「取引がある」というだけでは、この要件を満たすことはできません。

本記事では、入管法令および実務上の運用において認められる「転勤の範囲」と、具体的な企業間の関係性について解説します。

入管法上の「企業内転勤」における「転勤」とは、同一会社内の異動に限らず、資本関係等がある系列企業内の出向なども広く含まれます。

具体的には、以下のいずれかの関係にある事業所間での異動が対象となります。

  1. 同一会社内の異動(本店・支店間の異動)
    最も基本的な形態です。法人格が同一である事業所間での異動を指します。
    外国の本店⇔日本の支店、外国の支店⇔日本の本店、外国の支店 ⇔日本の本店
  2. 親会社・子会社間の異動
    法人格が異なっていても、経営権を通じて強い結びつきがある場合です。一般的に「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」における定義が参照されます。

    親会社 ⇔ 子会社
    親会社が子会社の議決権の過半数を所有している場合などが該当します。
  3. 孫会社等の系列企業内の異動
    親会社・子会社の関係が連鎖している場合も対象となり得ます。

    親会社 ⇔ 孫会社
    親会社が子会社を通じて、孫会社の経営を支配している場合。

    子会社 ⇔ 孫会社

    子会社 ⇔ 子会社(兄弟会社)
    同一の親会社を持つ子会社同士の間での異動も認められます。
  4. 関連会社への異動
    「子会社」の定義には当てはまらないものの、重要な影響力を与えることができる「関連会社」への異動も、対象となる場合があります。

    親会社 ⇔ 関連会社
    一般的に、議決権の20%以上を所有している場合などが該当します。

    子会社 ⇔ 関連会社
    これらは、いわゆる「出向」の辞令に基づいて行われるケースが多く見られますが、在留資格審査においては、これらの資本関係・出資比率を立証する資料(株主名簿、決算書、閉鎖事項全部証明書など)の提出が求められます

これから日本に進出しようとする外国企業が、本格的な法人設立の前段階として「駐在員事務所」を設置するケースがあります。

駐在員事務所は、日本での登記(支店登記)がなされていないケースも多く、独立した法人格を持たないことが一般的ですが、このような拠点への転勤であっても「企業内転勤」の対象となり得ます。

活動内容の制限

駐在員事務所の主な活動は、国際税務上のPE認定の関係上、市場調査、情報収集、物品の購入、広告宣伝などの準備行為・補助的行為に限られます。

直接的な営業活動を行い、収益を上げる活動を行う場合は、支店や現地法人としての実態が必要となり、場合によっては在留資格「経営・管理」の検討が必要になることもあります。

駐在員事務所への転勤申請では、日本に法人格がないため、賃貸借契約書や事務所の概要説明書などを用いて、物理的な事業所が存在していることを丁寧に立証する必要があります。

「企業内転勤」の許可を持って在留している間は、送り出し機関と受け入れ機関の関係性が維持されている必要があります。

以下のような事態が発生した場合、在留資格の該当性に影響を及ぼす可能性があります。

  • 資本関係の解消
    M&Aや株式譲渡により、日本法人がグループから外れ、他社の傘下に入ったり独立系企業になったりした場合、「企業内転勤」の前提となる関係性が消滅することになります。
    この場合、次回の更新が認められない可能性があり、速やかに「技術・人文知識・国際業務」など、他の就労資格への変更を検討する必要があります。
  • 転勤期間の終了と完全移籍
    当初は「転勤(出向)」として来日していたものの、途中で外国法人を退職し、日本法人に「転籍(完全移籍)」することになった場合です。
    「企業内転勤」は将来的に外国の事業所に戻ることが予定されている、あるいは外国法人に籍が残っていることが前提の資格となります。そのため、完全移籍等の場合は、契約形態の変更に合わせて在留資格変更許可申請が必要となるケースがあります。

在留資格「企業内転勤」における企業間の関係性は、単なるグループ会社という認識だけでなく、法的な定義に基づいた資本関係や支配関係の有無が厳格に審査されます。

特に、複雑な資本構成を持つグローバル企業や、これから日本拠点を立ち上げる段階の企業においては、「どの会社からどの会社への異動として申請するか」というスキーム作りが非常に重要です。申請にあたっては、最新の会社四季報や企業の年次報告書、株主総会議事録などを確認し、関係性を客観的に証明できる準備を整えることが推奨されます。

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