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外国法人が日本に商品を輸入する場合の関税とEPA・FTAの基本

外国法人が日本に商品を輸入する場合の関税とEPA・FTAの基本

会計・税務
2026年3月17日

外国法人が日本市場に商品を供給する場合、日本に子会社や支店などの拠点(PE:Permanent Establishment)を設けずにビジネスを行うケースも少なくありません。例えば、海外メーカーが自ら日本へ商品を輸入し、日本企業へ販売するようなケースです。

このような場合、日本に商品を輸入する際には、日本の税関制度に基づき関税および輸入消費税が課されます。また、一定の条件を満たす場合には、EPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)を利用することで関税負担を軽減できる可能性があります。

本記事では、外国法人が日本に商品を輸入する場合に理解しておきたい関税の基本とEPA・FTAの仕組みについて整理します。

なお、外国法人が日本に拠点を持たずに商品を輸入・販売する場合の全体像については、以下の記事をご参照ください。

→外国法人(日本にPEを有しない会社)が日本で商品を輸入・販売する場合の実務整理

外国から日本へ商品を輸入する場合、原則として次の税金が課されます。

  • 関税
  • 輸入消費税

関税は、日本に輸入される商品に対して課される税金であり、その税率は商品の種類によって異なります。

輸入手続では、日本の税関に対して輸入申告を行い、関税および輸入消費税を納付する必要があります。

ここで重要なのが、誰が輸入者(Importer of Record)になるのかという点です。輸入者とは、日本の税関に対して輸入申告を行い、関税および輸入消費税を納付する主体を指します。

外国法人が自ら輸入者として日本に商品を輸入する場合、その外国法人が輸入手続を行い、関税および輸入消費税を納付することになります。

関税率を決定する際に最も重要な要素が、「HSコード(Harmonized System Code)」です。

HSコードとは、国際的に統一された商品分類番号であり、世界各国の税関で使用されています。商品はその性質や用途に応じて分類され、それぞれに関税率が設定されています。

例えば、次のような分類があります。

  • 食品
  • 衣料品
  • 電子機器
  • 化学製品

同じ商品であっても分類の仕方によって関税率が異なる場合があるため、HSコードの判断は輸入実務において非常に重要なポイントになります。

HSコードの誤りは、税関からの指摘や追徴課税につながる可能性があるため、専門家と相談しながら慎重に判断することが一般的です。

EPA(Economic Partnership Agreement)やFTA(Free Trade Agreement)は、特定の国・地域間で関税を削減または撤廃することを目的とした国際協定です。

日本は多くの国・地域とEPA・FTAを締結しており、一定の条件を満たす場合には、輸入時の関税が軽減または免除される可能性があります。

例えば、日本は次のような国・地域とEPA・FTAを締結しています。

  • 欧州連合(EU)
  • オーストラリア
  • ASEAN
  • イギリス
  • カナダ

これらの協定を適用できる場合、通常の関税率よりも低い税率が適用されることがあります。

EPA・FTAを利用して関税の減免を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。主なポイントは次のとおりです。
 

商品がEPA・FTAの対象となるためには、その商品が協定対象国で生産されたものであることを証明する必要があります。これを原産地規則と呼びます。
 

EPA・FTAを適用する場合、商品の原産地を証明する書類を提出する必要があります。 これを原産地証明書といいます。
 

EPA・FTAの適用可否はHSコードとも密接に関係しています。そのため、HSコードの判断が適切であることが前提となります。

EPA・FTAは関税を削減できるメリットがありますが、実務ではいくつか注意すべき点があります。
 

商品の製造工程や部品の調達国などによって、原産地の判定が複雑になる場合があります。
 

EPA・FTAを利用する場合、原産地証明などの書類を適切に管理する必要があります。
 

EPA・FTAの適用について税関から確認を求められる場合があり、適用の根拠を説明できる体制が求められます。
 

また、物流ルートにも注意が必要です。EPA・FTAの適用を受けるには、原則として原産国から日本へ直接輸送される必要があります(直接積送規則)。物流の都合で第三国のハブ倉庫などを経由して日本へ輸入される場合、第三国で加工等が行われていないことを証明する書類(非加工証明書など)を用意する必要があります。

このような理由から、EPA・FTAの適用については関税実務の専門家と連携して検討することが一般的です。

外国法人が日本に商品を輸入する場合、関税実務には次のような専門的判断が必要になることがあります。

  • HSコードの分類
  • 原産地規則の判断
  • EPA・FTAの適用可否
  • 関税評価

これらの論点は専門性が高く、税関実務の経験が必要となるため、関税コンサルタントや通関業者と連携して対応するケースが一般的です。

外国法人が日本に商品を輸入する場合、関税およびEPA・FTAに関して次のようなポイントを理解しておくことが重要です。

  • 日本に商品を輸入する場合、関税および輸入消費税が課される
  • 関税率はHSコードによって決定される
  • EPA・FTAを利用することで関税負担を軽減できる可能性がある
  • 原産地規則や原産地証明などの条件を満たす必要がある

外国法人が日本市場に商品を供給する場合、関税・税務・通関など複数の制度が関係するため、事前に制度を理解しておくことが重要です。

外国法人が日本で商品を輸入・販売する場合の全体像については、以下の記事をご参照ください。

外国法人(日本にPEを有しない会社)が日本で商品を輸入・販売する場合の実務整理

また、消費税および税関事務管理人(ACP)については、以下の記事で詳しく解説しています。

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