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外国法人が日本に商品を輸入する場合のACP(税関事務管理人)とは

外国法人が日本に商品を輸入する場合のACP(税関事務管理人)とは

会計・税務
2026年3月18日

外国法人が日本市場に商品を供給する場合、日本に法人や支店などの拠点(PE:Permanent Establishment)を設けずにビジネスを行うケースもあります。例えば、海外メーカーが自ら日本へ商品を輸入し、日本企業へ販売するようなケースです。

しかし、日本に住所や事務所を持たない外国法人が日本の税関手続を行う場合には、「税関事務管理人(ACP:Attorney for Customs Procedures)を選任する必要があります。

本記事では、外国法人が日本へ商品を輸入する際に必要となるACP(税関事務管理人)制度の概要について解説します。なお、外国法人が日本に拠点を設けずに商品を輸入・販売する場合の全体像については、以下の記事をご参照ください。

外国法人(日本にPEを有しない会社)が日本で商品を輸入・販売する場合の実務整理

税関事務管理人(ACP)とは、日本に住所または事務所を有する者であり、外国法人に代わって税関手続に関する連絡や書類対応を行う代理人を指します。

日本に住所や事務所を持たない外国法人が輸入手続を行う場合、日本の税関は外国法人と直接やり取りすることが難しいため、国内の代理人を通じて手続を行う制度が設けられています。

この代理人が「税関事務管理人(ACP)」です。

ACPは、外国法人の輸入手続に関する窓口として機能し、日本の税関との連絡・書類管理などを担います。

日本の関税制度では、輸入手続に関して税関とのやり取りを行う主体が国内に存在することが求められます。

外国法人が日本に拠点を持たない場合、次のような問題が生じます。

  • 税関からの問い合わせに対応できない
  • 書類の提出や保管が困難
  • 税関との連絡体制が確保できない

そのため、日本の制度では、外国法人が輸入手続を行う場合には、日本国内の代理人として税関事務管理人を選任する必要があります。

ACPは、日本の税関に対して届け出ることで正式に指定されます。

税関事務管理人の役割は、主に次のとおりです。
 

税関から輸入に関する問い合わせや確認があった場合、ACPが窓口となり対応します。
 

輸入手続に関する書類は、一定期間保管する必要があります。
ACPはこれらの書類管理にも関与します。
 

税関から追加資料の提出を求められる場合や、確認事項がある場合など、ACPが対応します。
 

実際の輸入申告は通関業者が行うことが多く、ACPは通関業者と連携して手続を進めます。

ACPと通関業者は混同されることがありますが、それぞれ役割が異なります。

役割内容
ACP(税関事務管理人)外国法人の代理人として税関との連絡を担当
通関業者輸入申告など通関手続を代行


実務では、外国法人が日本に商品を輸入する場合、

  • 通関業者
  • 税関事務管理人(ACP)

が連携して手続を進めることが一般的です。

ACPが必要になる代表的なケースとしては、次のようなものがあります。
 

外国法人が自ら輸入者(Importer of Record)となり、日本に商品を輸入する場合です。

外国法人→日本へ輸入(外国法人が輸入者)→日本企業または日本顧客へ販売

この場合、外国法人は日本に拠点を持たないため、税関事務管理人の選任が必要になります。
 

外国法人が日本の倉庫に商品を保管し、日本国内の顧客へ販売する場合にも、輸入者が外国法人であればACPの選任が必要となります。

ACPを選任する場合、税関に対して税関事務管理人の届出を行う必要があります。

届出の際には、例えば次のような情報が必要となります。

  • 外国法人の名称および所在地
  • 税関事務管理人の名称および所在地
  • 輸入者情報

この届出が受理されることで、ACPが正式に税関手続の窓口として認められます。

ACPは、日本に住所または事務所を有する者であれば選任することが可能ですが、実務では次のような会社がサービスとして提供しているケースが多くあります。

  • 通関会社
  • 物流会社
  • 貿易コンサルティング会社

外国法人が日本市場に進出する際には、これらの専門会社と連携して輸入体制を整えることが一般的です。

外国法人が日本に商品を輸入して販売する場合、次のような複数の専門分野が関係します。

  • 関税および通関
  • EPA・FTA
  • 消費税
  • 税関事務管理人(ACP)

そのため、実務では次のような専門家が連携して対応するケースが多く見られます。

  • 関税コンサルタント
  • 通関業者
  • 税理士・税務アドバイザー

こうした専門家と連携することで、日本の制度に適合した形でビジネスを進めることが可能になります。

なお、ACPの選任において最も注意すべきは自社のビジネスリスクに対応できるパートナー選びです。単なる手続きの代行費用のみを基準に選定した場合、後々以下のような重大なコンプライアンス上の課題に直面するケースが見受けられます。
 

ACPは一度税関に届け出ると、輸入者の関税や消費税について「連帯納付責任を負う」という重い役割を担います。税務や通関の専門知識を十分に有していないと、適切な税務対応やアドバイスを受けることが困難になります。
 

実務上の大きなハードルとなるのが、薬機法(医薬品医療機器等法)や電気用品安全法(PSE)、食品衛生法などの他法令への対応です。ACPは国内における責任者として見られる側面があり、万が一の健康被害や発火事故等において法的責任を問われるリスクがあるため、コンプライアンス体制の厳しい大手物流会社などはACP業務の受任を慎重に判断する傾向にあります。
 

ACPの解任には原則として双方の意思表示が必要であり、一方的な変更は困難です。万が一、他法令の確認等で税関対応が滞った際に、スムーズに別の専門家へ切り替えることができず、ビジネスがストップしてしまうという事態も想定されます。

そのため、初期段階から、税務だけでなく他法令の知見も有する、実績とコンプライアンス体制の整った専門業者をパートナーとして選定することが、日本市場でのビジネスを成功させる鍵となります。

外国法人が日本に拠点を持たずに商品を輸入する場合、日本の税関制度に基づき「税関事務管理人(ACP)」を選任する必要があります。

ACPの主なポイントは次のとおりです。

  • 日本に拠点のない外国法人が輸入する場合に必要
  • 税関との連絡窓口として機能
  • 通関業者と連携して輸入手続を進める

外国法人が日本で商品を輸入・販売する場合には、税関制度だけでなく、消費税や関税など複数の制度を理解することが重要です。

外国法人が日本で商品を輸入・販売する場合の全体像については、以下の記事をご参照ください。

→外国法人(日本にPEを有しない会社)が日本で商品を輸入・販売する場合の実務整理

また、消費税や関税については、以下の記事で詳しく解説しています。

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