相続関係 養親・養子のどちらか一方の死亡後に離縁したい
養子縁組の解消
(普通養子縁組のお話です)
養子縁組はしたけれども、何らかの理由により養子縁組を解消したいときは、養親と養子の協議に基づき合意の上で養子離縁届を市区町村に提出・受理をされれば養子縁組を解消することができます。
養親または養子の一方が協議に応じなかったり、離縁に同意をしないときは調停や裁判を利用することになります。
協議離縁においては離縁の理由は求められませんが、裁判で離縁の手続きを進める場合は、
「他の一方から悪意で遺棄されたとき」
「他の一方の生死が3年以上明らかでないとき」
「その他縁組を継続しがたい重大な事由があるとき 」
といった理由が必要となります。
死後離縁には家庭裁判所の許可が必要
養親または養子のどちらか一方が亡くなったとしても、その死亡をもって養子縁組は自然と解消するわけではありません。
もし養親または養子のどちらか一方が亡くなった後に養子縁組を解消するのであれば、家庭裁判所の許可が必要です。
一方の死後に離縁をするこの行為を「死後離縁」といいます。
死後離縁をしても相続人としての地位はそのまま
例えば養親または養子のどちらか一方が亡くなったときに、生存している一方が他方の相続人であった場合は、死後離縁をしたとしても相続人としての地位は変動がなく、死後離縁によって相続権を失うということはありません。
死後離縁後の相続
死後離縁をしても養親または養子の相続人であることは変わりませんが、死後離縁後は相手方の親族との法定血族関係は終わってしまうので、相手方の親族が亡くなったときはその相続人となることはありません。
死後離縁の手続き
死後離縁は家庭裁判所の許可が必要となるため、許可の申立てを家庭裁判所にしなくてはなりません。
申立先
申立人の住所地の家庭裁判所です。
申立てに必要な費用
- 収入印紙800円分
- 郵便切手(申立先の家庭裁判所へ要確認。東京家庭裁判所の場合は1,600円~1,700円程度)
必要書類
申立書、養親・養子の戸籍謄本(全部事項証明書)、死亡している当事者の戸籍は、死亡の記載のあるもの
家庭裁判所の許可が得られた後
家庭裁判所から確定証明書を取り寄せ、市区町村役場に離縁届と併せて提出します。届出をする際は、事前に何が必要か届出をする当該役場に確認をしてください。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。