相続関係 遺言関係 遺言でできること、記載例(認知)
法定遺言事項
遺言には、(基本的には)何でも記載をすることはできますが、遺言によって法的効力を持たせることができる事項は法律で定められています。この法的効力を持たせることができる事項を法定遺言事項といいます。
法定遺言事項は次のとおりです。
●認知
・未成年後見人の指定、未成年後見監督人の指定
・推定相続人の廃除及び取消
・相続分の指定及び指定の委託
・遺産分割方法の指定及び指定の委託
・特別受益の持戻しの免除
・相続人相互の担保責任の指定
・遺留分減殺方法の指定
・遺贈
・一般財団法人設立のための定款作成
・信託法上の信託の設定
●遺言執行者の指定及び指定の委託
・祭祀主催者の指定
・生命保険金受取人の変更(保険契約締結の時期によっては不可)
こちらの記事もご参照ください。 ⇒ 遺言事項について
認知
認知とは、婚姻関係にない男女間に生まれた子ども(非嫡出子といいます)につき、父または母が、自分の子であることを認めることをいいます。
母が子を認知するケースは多くはありません。なぜなら、出産の事実があれば当然に母子関係が成立すると考えられているからです。
認知をすることにより、子どもの戸籍の父親の欄に認知をした者の名前が記載され、父子間に扶養義務が生じたり、父子間に相続権が発生するようになります。
認知は遺言によっても行うことができます
父親もしくは子の本籍地、又は父の所在地のいずれかの市区町村役場に認知届を提出することによりできます。
認知は、遺言によってもすることができます(民法781条2項)。
遺言による認知には遺言執行者が必須
遺言によって認知をする場合は、遺言執行者の選任が必須とされています。遺言において遺言執行者が選任されているときはその者が、就職の日から10日以内に認知の届出をする必要があります。
遺言において遺言執行者の指定がされていないときは、利害関係人の請求により家庭裁判所が遺言執行者を選任することになります。
遺言によって子を認知する場合の遺言記載例
遺言によって子を認知する場合の遺言記載例は次のとおりです。
子を認知する場合
第1条 遺言者は(本籍地を記載)(本籍)鈴木太郎(生年月日を記載)を認知する。
胎児を認知する場合
第1条 遺言者は(本籍地を記載)(本籍)鈴木花子(生年月日を記載)が現に懐胎している子を認知する。
親族を遺言施行者として指定する場合
第5条 遺言者は本遺言の遺言執行者として、長女 鈴木幸子 を指定する。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。