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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

株主総会の決議によって取締役を退いてもらうには解任又は任期満了

取締役を辞めてもらいたい

唯一の株主Aが、唯一の取締役(=代表取締役)としてBに会社を任せているケースにおいて、AがBに取締役を辞めて欲しいと考えたとします。

コミュニケーションによってBに辞任してもらえるのであれば、それは一つの円満な解決といえるかもしれません。

一方でBが辞任することを拒んだり、Bと連絡が取れなくなってしまったような場合は、Bに辞任してもらうことはできないでしょう。

Bの取締役としての任期が満了していて、Bが現在権利義務取締役となっているのであれば、新しい取締役を選任することでBは退任します。

解任による退任

Aが全株式を保有しているのであれば、株主総会の決議を得やすい環境といえます。Bが自分に不利となる決議を行う株主総会を開催することは考えにくいですから、株主提案による書面(又は電磁的記録)によるみなし決議を行うことになるでしょう(会社法第319条1項)。

一般的には、取締役を辞めさせるには株主総会の決議によって解任することが考えられます(会社法第339条1項)。解任は、いつでも株主総会の決議によって行うことができます。

任期が満了して権利義務取締役となっている取締役は解任することができませんので、新たに取締役を選任する方法で退任させることになります。

任期満了による退任

任期中のBを取締役から退任させる方法としては、株主総会の決議によって取締役の任期に関する定款の規定を変更する方法もあります。

この会社の定款において取締役の任期が10年と定められていて、Bが取締役に就任してから3年経過している場合、取締役の任期を2年に短縮することでBは任期満了により退任します。

解任と同様にBを取締役から退任させられる効果が得られ、かつ、登記簿の記載につき、解任の場合は「年月日解任」と記録されるのに対し、任期満了の場合は「年月日退任」と記録されるという違いがあります。

会社法第339条2項の類推適用

解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができます(会社法第339条2項)。

取締役の任期を定款変更の方法によって短縮し、それによって取締役を任期満了により退任させ、当該取締役を再任しない場合は、会社法第339条2項の類推適用を認めている判例もあります。

定款変更によって任期を満了させ取締役を退任させる場合も、正当な理由がある場合を除き、損害賠償の請求をされるリスクは生じることになります。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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