商業登記関係 株式会社における資本金の額の減少(減資)の効力発生日の変更
減資の手続きと効力発生日
事業年度末までに資本金の額を1億円以下に減少したいというニーズは一定数あり、資本金の額の減少(減資)手続きは次のとおりです。
減資の効力発生日は株主総会の決議事項であり(会社法第447条1項)、債権者保護手続きが当該効力発生日までに完了している場合は、当該効力発生日に減資の効力が生じます。
事業年度末までの減資手続きに瑕疵があり減資できず、想定より税金が大幅に上がってしまったケースや、会計監査人を設置しなければならなくなったケースもあるようですので、(失敗OKな減資はありませんが)失敗できない減資は特に、専門家に依頼するのが確実かなと思います。
効力発生日の変更
株主総会で決議した減資の効力発生日も、債権者保護手続きの開始の遅れ等の事情から、変更したいというニーズが生じるときがあります。
減資の効力発生日は、当該効力発生日前であれば、いつでも変更することができます(会社法第449条7項)。この変更は、取締役会設置会社であれば取締役会の決議、取締役会非設置会社であれば取締役の決定によって行います。
当初の効力発生日後は、この効力発生日を変更することができませんのでご注意ください。
当然ながら、変更後の効力発生日までに債権者保護手続きが完了している必要はあります。なお、効力発生日に関する官報等の公告は不要とされています。
登記手続きの添付書類
減資の登記申請の通常の添付書類に加え、効力発生日を変更した取締役会議事録又は取締役決定書を添付します。
取締役会が書面又は電磁的記録によるみなし決議で行われた場合、定款も添付します。
東京法務局管内では、効力発生日を変更した旨の記載のある取締役決定書を添付することで、当初の効力発生日と異なる効力発生日に減資の効力が生じた減資の登記は問題なく通っています。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。