成年後見関係 成年後見制度に関する概況(平成27年)
成年後見制度
今後高齢者が増えていくことにともない、成年後見という制度の重要性は増してきております。平成27年の1月から同年12月までの1年間における、成年後見に関する概況が家庭裁判所より発表されております。
こちらの記事もご参照ください。
(⇒成年後見制度に関する概況(平成26年))
成年後見関係事件の申立件数(平成27年)
平成27年における成年後見関係事件の申立件数は次のとおりです(上位5まで)。成年後見関係事件とは、後見開始、保佐開始、補助開始、任意後見監督人選任事件のことをいいます。
- 平成22年 30,079件
- 平成23年 31,402件
- 平成24年 34,689件
- 平成25年 34,548件
- 平成26年 34,373件
- 平成27年 34,872件
平成27年の成年後見関係事件の申立件数は34,872件となり、平成26年に比べて500件程度増加しました。成年後見関係事件のうち、最も多いのは後見開始であり、27,521件(平成27年)となっております。
本人と成年後見人等との関係
平成27年に選任された成年後見人等(成年後見人、保佐人、補助人)の資格や本人との関係は次のとおりです。
- 司法書士 9,442件
- 弁護士 8,000件
- 子 5,515件
- 社会福祉士 3,725件
- その他親族 1,765件
※その他親族とは、配偶者・親・子・兄弟姉妹以外の親族のことです。
特徴として、親族以外の第三者が成年後見人等に選任される割合が増えてきています。親族が後見人となるケースは、平成26年が全体の約35%であったのに対し平成27年は約30%と減少し、第三者が成年後見人等に選任されたケースは、平成26年が全体の約65%であったのに対し平成27年は約70%と増加しました。
後見申立ての動機
成年後見関係事件の申立てをする動機としては次のような動機が挙げられています(上位5まで)。
- 預貯金等の管理・解約 28,874件
- 施設入所等のための介護保険契約 11,588件
- 身上監護 8,951件
- 不動産の処分 6,494件
- 相続手続き 5,958件
認知症の方の預貯金等財産が本人や特定の親族の方に使い込まれないように、あるいは定期預金等を解約する等のときに成年後見が利用されるケースが多いようです。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。