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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

新設分割手続きにかかる最短期間

新設分割と期間

新設分割とは、一又は二以上の株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社に承継させることをいいます。

新設分割の手続きについては、こちらの記事をご参照ください。
≫新設分割の手続き

新設分割に必要な期間

新設分割には、一般的には2ヶ月+程度の期間を要します。

この2ヶ月+の中で時間のかかるものは、新設分割の内容の決定や、債権者の確認、労働者との協議、債権者保護手続き、反対株主への通知などが挙げられます。

新設分割の内容の決定や、債権者の確認、労働者との協議などは会社によってスピード・期間が異なるため、ここでは新設分割にかかる法律上の最短期間を見ていきます。

新設分割に必要な最短期間は約2週間

一定の条件を満たした新設分割における最短期間は、約2週間程度となります。

満たす必要のある条件は、新設分割を行うことについて株主全員の合意が得られていてすぐに決議を行えること、新設会社へ承継する債務がないことまたは重畳的に分割会社も債務を引き受けることなどがあります。

以下、短縮できる手続きは次のとおりです。

株主総会の決議

株主総会を開催するときは、招集通知を株主総会日の1週間前(会社によって異なります)に株主に送付しなければなりません。

≫株主総会の招集通知はいつまでに発送しなければならないか

しかし、一定の場合の株主総会は、株主の全員の同意があるときは招集の手続を経ることなく開催することができます(会社法第300条)。

その他に、株主全員の同意が得られるのであれば、株主総会を実際に開催することなく書面で決議をすることも可能です(会社法第319条1項)。株主が、少数であったり、100%親会社であったり、代表者やその家族のみであるような会社では、書面決議(みなし決議)で株主総会決議が行われるケースの方が多いかもしれません。

≫みなし株主総会(決議)-会社法第319条

簡易新設分割の要件を満たすのであれば、株主総会手続きは省略することができます。

株主への通知、株式買取請求手続き

新設分割に反対する株主は、分割会社に対してその所有する株式を買い取ることを請求することができます。

分割会社は、株主総会決議の日から2週間以内に株主に対して新設する会社の商号・住所を通知(または公告)をしなければならず、反対株主はこの通知をした日から20日以内に株式買取請求をしなければなりません。

この株式買取請求権にかかる期間は、株式買取請求権を行使できる株主全員の同意があれば、省略あるいは短縮することも可能とされているようです。

なお、新設分割の登記申請の添付書類として、株式買取請求に係る通知(または公告)をしたことを証する書面は不要とされていますが、登記官から見て形式的に当該期間を満たしていないことが明らかであるときは、株主全員の同意書等の添付が必要となります。

債権者保護手続き

債権者保護手続きが不要とするには、前提として当該新設分割が分社型分割であることが必要です。分割型分割の場合、債権者保護手続きが必須となります。

分社型新設分割において、新設分割後も分割会社に対して権利行使をすることができる債権者には、債権者保護手続きが不要とされています。

これは、債務が分割会社に留まる場合に限られず、設立会社に債務が移転する場合でも、分割会社が連帯保証をするケースや重畳的(併存的)債務引受けをするケースも含まれます。

従いまして、例えば新設分割計画書に、分割会社が新設会社に承継される債務について重畳的(または併存的)に債務を引き受ける旨の記載があれば債権者保護手続きは省略することができます。しかし、大口の債権者には事前に話をしておいた方がいいかもしれませんね。

労働者保護手続き

新設分割計画承認に係る株主総会の2週間前までに一定の通知が必要です。そして、通知から異議申出期限日との間には少なくとも13日間置く必要があります。

この労働者保護手続きにかかる期間は約2週間かかるため、当該期間により新設分割に必要となる最短期間は約2週間となります。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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