相談事例 【相談事例】離婚した夫の借金について、未成年の子の相続放棄をしたい。
ご相談内容
※ご相談内容については、実際のものと内容を一部変更しております。
神奈川県にお住いのAさんは、10年前に夫と離婚し、夫との間に生まれた未成年の子ども2名と一緒に暮らしていました。
ある日、夫が亡くなったことを警察から聞いたAさんは、ご自身で夫の財産について調べたところ、預貯金や不動産は所有しておらず借金は多額であることを知りました。
そこで、未成年の子ども2名について相続放棄をするために当事務所にご相談をいただきました。
未成年の子と相続放棄
未成年の子も相続人となるのでしょうか。
また、未成年の子が相続人のなるときは、その相続放棄手続きは誰がするのでしょうか。
未成年の子は夫の相続人となるか
本件においては、Aさんの子2名は夫との婚姻中に生まれていましたので、Aさんの子2名は夫の相続人となります。
婚姻外で生まれて認知をしていないケースや、他の夫婦と特別養子縁組をしているケースでは、子は夫の相続人となりません。
離婚した妻は相続人となるか
夫と離婚している妻は、夫の相続人とはなりません。
そのため、Aさんは夫の財産を相続することはありませんので、相続放棄についても検討をする必要はありません。
実際に相続放棄の手続きをする人は誰か
未成年の子は、自身で相続放棄をすることができません。
これは、幼児であれば物理的にできない、ということではなく、法律上できないことになっています。
実際には、未成年者の相続放棄は法定相続人(本ケースではAさん)が行うことになります。
相続放棄手続きと利益相反
利益相反に該当するときは、法定相続人は未成年の子の相続放棄手続きをすることができません。
そしてそのような場合は、特別代理人の選任を家庭裁判所に申立てなければなりません。
本ケースでは利益相反に該当はしませんでしたので、特別代理人については考慮する必要がありませんでした。
当事務所でお手伝いしたこと
当事務所ではAさんから状況のヒアリングをした後、Aさんの子2名の相続放棄の申述手続きに必要となる書類の準備・作成をして、郵送にて相続放棄の申述に必要となる書類を家庭裁判所に送っていただきました。
また、家庭裁判所から家庭裁判所から照会書が届いた後に、回答書の書き方に関してアドバイスをさせていただきました。
本ケースでは、無事にAさんの子2名の相続放棄の申述が家庭裁判所に受理されました。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。