商業登記関係 相談事例 【相談事例】会社設立後に変更(修正)のご相談をいただいた事例
会社設立登記とその後の変更(修正)
会社設立の登記をした後に、やはりここをこうしておけば良かった、知っていればこうはしなかったのにということでその変更(修正)のご相談をいただくことがあります。
そのようなご相談のうち、2017年8月にご相談をいただいた事例をご紹介します。
(当社で会社設立の登記のお手伝いをしていない会社様からのご相談です。)
会社の登記簿の変更
会社設立後は、簡単には会社登記簿の変更をすることはできません。
簡単には、とは法務局に設立登記申請の内容を間違えてましたと口頭で伝えたり、単に法務局へ行ってその場で会社登記簿を修正することはできないことになっています。
会社設立時の登記申請内容が間違っていたのであれば「更正登記」、会社設立後に登記事項の変更が生じたときは「変更登記」を申請します。
前者の場合は登録免許税が2万円、後者の場合は変更内容によって数万円~数十万円以上の登録免許税がかかります。
また、どちらの登記を申請するときも、その事実を証する書面を提出しなければならないため慣れていない方が行うには大変です。
許認可を得るために会社目的の変更をしたい
特定の事業を行うときは、行政の許認可が必要なケースがあります。
行政の許認可を得る際に、多くのケースにおいて行政に会社の登記簿謄本を提出する必要があり、その事業目的が適正かどうかをチェックされます。
許認可の必要な事業を行うことは会社設立時に決まっていたのに、その記載が漏れていたことにより設立後に目的変更登記をするのはもったいないことです。
目的変更登記は、登録免許税という実費が3万円かかります。
不動産の宅地建物取引業の免許を取る予定であったのに、会社目的が「不動産取引業」や「不動産コンサルティング」だけでは、後で目的変更登記が必要になってしまうかもしれません。
消費税の免税事業者となるために減資をしたい
新しく設立された会社で、資本金1,000万円未満で他の要件を満たしたときは、第1事業年度と第2事業年度については原則として消費税の免税事業者になります。
新しく設立された会社が資本金1,000万円以上であれば、消費税の免税事業者となることはできず、設立後すぐに減資をしたとしても第1期については消費税の課税事業者となってしまいます。
理由があって資本金を1,000万円としているのであればいいのですが、他に理由がなく、何となくキリがいいので資本金を1,000万円にしたというのであればどうでしょうか。
なお、減資手続きには2ヶ月程度の期間と、7万円程度の実費がかかります。
VISAや許認可のために増資をしたい
経営・管理ビザを取得するため、有料職業紹介事業を行うために会社を設立するのであれば、資本金を500万円以上にしておいた方がいいでしょう。
とりあえず資本金は100万円で設立したけれど、設立後に資本金を400万円増やして500万円とするには増資分の登録免許税が3万円かかります。
これは、設立時に資本金を500万円としておけば発生しなかった費用です。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。