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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

監査役の監査権限の変更

監査役の監査の範囲

監査役は株主総会において選任され、取締役の職務執行を監査することがその役割とされています。

監査役の監査権限として、次の2パターンがあります。

  1. 業務監査権限(+会計監査権限)
  2. 会計監査権限のみ

原則は、1.業務監査権限(+会計監査権限)ですが、定款で定めることにより2.会計監査権限のみに監査役の権限を限定することが可能です。

監査役の監査権限を2.会計監査権限のみに限定している会社

監査役の監査権限を上記2.会計監査権限のみに限定している会社は次のとおりです。

  • 平成18年5月1日以降に設立された株式会社で、定款に監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めを置いた株式会社
  • 平成18年5月1日以降に定款変更によって、定款に監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めを置いた株式会社
  • 平成18年5月1日より前に設立された譲渡制限会社(非公開会社)であり、平成18年5月1日時点で資本金の額が1億円以下で、かつ負債が200億円未満であった株式会社

2.会計監査権限しか有しない監査役の権限を、1.業務監査+会計監査権限に拡大する方法

定款変更にかかる株主総会決議

監査役の監査権限が会計監査に限定されている株式会社は、その旨の規定が定款に定められています。

株主総会の特別決議により、その旨の規定を削除する定款変更が承認をされることにより、監査役の監査権限が業務監査権限にまで拡大されます。

監査役の任期が満了し、退任します

会計監査権限のみから業務監査権限まで監査役の権限を拡大した場合、監査役はその任期が満了し退任することになります。

会計監査のみをすることを前提に選任した監査役が、監査権限拡大後も引き続きその任務にあたることは想定されていないため、新しく業務監査及び会計監査のできる監査役を選任する必要があります。

退任した監査役を再選することは可能

例えどんなに監査のスキルが高い監査役だとしても、上記定款変更が決議されれば一度監査役は退任しなければなりません。

しかし、当該退任した監査役を再び業務監査+会計監査権限のある監査役として選任することはできます。

この場合、当該監査役の重任登記を申請する必要があります。監査役に全く変動がないとしても、この重任登記を省略することはできません。

1.業務監査+会計監査権限を有する監査役の権限を、2.会計監査権限のみに縮小する方法

定款変更にかかる株主総会決議

株主総会の特別決議により、監査役の監査権限を会計監査に限定する旨の定めを定款に追加する定款変更が承認をされることにより、監査役の監査権限が会計監査のみに縮小されます。

監査権限を縮小した場合、監査役は退任しない

業務監査権限+会計監査権限を持っていた監査役の権限を、会計監査権限のみに変更しても監査役は退任することはありません。会計監査もできる監査役として選任されているからです。

会計監査限定の定めの登記

監査役の業務権限を拡大するにしても縮小するにしても、会計監査限定の定めの登記も申請する必要がありますので忘れないようにしましょう。

※当該登記につき経過措置期間中の会社で一定の場合を除きます。

会計監査限定の定めの登記については、こちらの記事をご参照ください。
≫監査役の監査の範囲に関する登記


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

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