商業登記関係 有限責任事業組合(LLP)の組合員の脱退
有限責任事業組合の組合員が脱退するとき
有限責任事業組合(以下「LLP」といいます)の組合員は脱退することがあり、組合員はLLPの登記事項とされていますので、組合員が脱退したときは効力発生日から2週間以内にその変更登記をしなければなりません(有限責任事業組合契約に関する法律(以下「LLP法」といいます)第57条)。
組合員の脱退については、法定脱退と任意脱退の2つがあります。
法定脱退事由
LLPの組合員は、次の事由により脱退します(LLP法第26条)。
- 死亡
- 破産手続開始の決定を受けたこと。
- 後見開始の審判を受けたこと。
- 除名
除名の方法
組合員の除名は、正当な事由(組合員の職務怠慢等)があるときに限り、他の組合員全員の一致によってすることができます(LLP法第27条1項)。
組合契約書に定めることにより、他の組合員全員の一致を要しない(例えば他の組合位の過半数の一致等)としている場合は、全員の一致までは求められません。
組合員を除名したときは、除名した組合員へその旨を通知します。
任意脱退
LLPの組合員は、自由に脱退することが制限されています。
LLPの組合員は、やむを得ない場合あるいは組合契約書に定められた場合を除いて、組合を脱退することができないとされています(LLP法第25条)。
組合員の脱退と払戻し
組合員が脱退したときは、当該組合員に対して組合財産から払戻しが行われます(民法第681条1項)。
出資が金銭ではなく不動産や株式等の現物でされていたときも、金銭によって払戻しをすることが可能です(民法第681条2項)。
LLPの負債が資産を上回っているときは、払戻しをすることができません。
組合員の脱退と解散事由
組合員が一人になることは、LLPの解散事由とされています(LLP法第37条2号)。
組合員が2名のLLPにおいては、組合員が脱退することにより組合員が1名となってしまうような場合は、解散についても検討することになります。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。