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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

株式会社の設立後、定款の附則は削除しても問題ない?削除するにはどのような方法があるか。

株式会社設立と定款の附則

株式会社を設立するには定款の作成が必須であり、定款の絶対的記載事項ではありませんが、設立時の取締役等に関する事項を定款の附則に定めることが一般的です。

≫定款等記載例(日本公証人連合会)によると、設立時の資本金や設立時取締役等の記載がされていることが分かります。

なお、ここに設立時の本店を定めることにより、発起人の決定書の作成を省略することができたりもします。

第6章 附則
(設立に際して出資される財産の価額及び成立後の資本金の額)
第23条 当会社の設立に際して出資される財産の価額は、金100万円とする。
2 当会社の成立後の資本金の額は、金100万円とする。
(最初の事業年度)
第24条 当会社の最初の事業年度は、当会社成立の日から平成○○年3月末日までとする。
(設立時取締役)
第25条 当会社の設立時取締役は、次のとおりである。
設立時取締役 ○○○○
(発起人の氏名ほか)
第26条 発起人の氏名、住所及び設立に際して割当てを受ける株式数並びに株式と引換えに払い込む金銭の額は、次のとおりである。
東京都○○区○町○丁目○番○号
発起人 ○○○○ 10株、金100万円
(法令の準拠)
第27条 この定款に規定のない事項は、全て会社法その他の法令に従う。

定款の附則を変更する

附則も定款の一部ですので、会社法に則って追加や削除を行うことが可能です。

設立後に取締役に変更が生じるとしても、設立時の取締役が誰であるかは後から変わることはありませんので、設立時の取締役に関する事項は削除してしまっても問題がなさそうです。

なお、例えば設立後に取締役が追加されたとしても、上記の定款第25条を変更する必要はありません。

同様に、設立後に資本金の額が増えたとしても、上記の定款第23条を変更する必要はありません。

ただし、1期目に事業年度を変更した場合は、附則を残す限りは上記の定款第24条を変更した方がいいでしょう。

法令の準拠

附則の設立に関する事項は削除してしまっても問題ないものがほとんどです。

上記の定款第23条から第26条までがそれに該当します。

上記の定款第27条(法令の準拠)については残しておいてある会社が多いのではないでしょうか。

そのため附則を整理するのであれば、第23条から第26条を削除して、第27条を第23条にする(繰り上げる)定款変更を行うことになります。

附則の一部を削除する方法

定款の附則の設立に関する事項は定款の一部を構成していますので、設立後自動的に消えるわけではありません。

定款の一部である以上、他の定款の条文同様に変更、削除をしなければなりません。

定款を変更するには、原則として株主総会の特別決議で承認を得るか、または当初の定款の内容として条件付きで定款が自動的に変更するよう定めておく方法が考えられます。

株主総会の特別決議を経る

定款は、株主総会の特別決議によって変更することができます。

株主総会の特別決議は、定款に別段の定めがない限り、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行います(会社法第309条2項)。

設立後、自動的に消えるように設計する

定款に、条件を付けて条件が達成したときに特定の条文が削除する旨を設けることができます。

例えば、会社設立日から1週間(1年)を経過した日に第23条から第26条を削除され第27条を第23条にする(繰り上げる)旨の規定を第28条に設け、当該第28条自体も同じタイミングで削除されるように設定をしておきます。

このようにしておけば、株主総会を開催しなくとも時間が経過することによって特定の条文を削除することが可能です。

定款の設立に関する事項は、必ず削除しなければならない条項ではないためここまでしている会社は少なく、他の定款の条文を変更する際に一緒に変更、削除をする会社が多いのではないでしょうか。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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