ホーム/コラム/外国人雇用・イミグレーション/日本における駐在員による在留資格「企業内転勤」の取得に必要な要件~出向元在籍歴、業務内容及び報酬~ 
日本における駐在員による在留資格「企業内転勤」の取得に必要な要件~出向元在籍歴、業務内容及び報酬~ 

日本における駐在員による在留資格「企業内転勤」の取得に必要な要件~出向元在籍歴、業務内容及び報酬~ 

外国人雇用・イミグレーション
2026年1月27日

海外に拠点を持つ企業が、日本国内の事業所へ外国人社員を転勤させる場合、一般的に検討される在留資格(ビザ)が「企業内転勤」です。

この在留資格は、学歴要件が緩和されるなどのメリットがある一方で、転勤前の勤務実態や転勤後の待遇について厳格な審査基準が設けられています。

本記事では、入管法(出入国管理及び難民認定法)および最新の実務運用に基づき、在留資格「企業内転勤」の取得において特に重要となる「出向元の在籍歴」「業務内容」そして「報酬」の要件について解説します。

「企業内転勤」とは、日本に本店、支店、その他の事業所がある公私の機関の外国にある事業所の職員が、期間を定めて日本の事業所に転勤し、特定の業務に従事する場合に付与される在留資格です。

いわゆる「駐在員」のための在留資格ですが、すべての転勤者が該当するわけではなく、以下の2点が大前提となります。

  • 転勤の定義:同一企業内の異動だけでなく、親会社・子会社・関連会社間の出向なども対象となり得ます。資本関係等の結びつきが求められます。(また、先述の「日本の事業所」には法人格を伴わないが物理的なオフィススペースを有したいわゆる「駐在員事務所」も含まれます。)
  • 期間の定め:あくまで一時的な転勤であるため、勤務期間が決まっていることが前提となります。

「企業内転勤」の申請において、最も基本的かつ重要な要件の一つが、転勤前の在籍期間です。

申請人は、日本への転勤の直前に、外国にある本店、支店、その他の事業所において「継続して1年以上」勤務している必要があります。

この「1年以上」には、直近の勤務先だけでなく、資本関係のある関連会社間での異動を含めた期間を通算できる場合があります。しかし、以下の点には注意が必要です。

  • 直前であること:日本へ転勤する直前の期間が対象となります。過去に1年働いていたとしても、直近で退職し、期間が空いている場合は要件を満たさない可能性があります。
  • 業務内容の関連性:この1年間の勤務は、後述する「技術・人文知識・国際業務」に相当する業務に従事していた期間であることが求められます。単なるアルバイトや単純労働としての期間は、原則として算入されません。

「企業内転勤」で認められる活動は、どのような業務でも良いわけではありません。日本において従事する業務は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」に該当するものである必要があります。

具体的には、以下のいずれかに分類される業務であることが求められます。

自然科学または人文科学の分野に属する技術・知識を要する業務いわゆるホワイトカラーとしての専門業務です。 

  • 技術系:システムエンジニア、機械設計、品質管理など
  • 人文知識系:企画、営業、経理、人事、法務、マーケティングなど 

外国文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務 

  • 国際業務:通訳・翻訳、語学の指導、広報、海外取引業務など

工場でのライン作業、建設現場での作業、清掃業務などのいわゆる「単純労働」は、「企業内転勤」の活動としては認められません。現場研修として一時的に従事する場合を除き、主たる業務が単純労働であると判断された場合、許可が下りない可能性が高くなります。

外国人材を安価な労働力として利用することを防ぐため、報酬額についても明確な基準があります。

転勤者が日本で従事する業務と同等の業務に、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受ける必要があります。

  • 報酬の支払い元:報酬は、日本の事業所から支払われる場合だけでなく、外国の事業所から支払われる場合、あるいはその両方から支払われる場合も含まれます。合計額が基準を満たしているかが審査されます。
  • 手当の扱い:通勤手当や住宅手当などの実費弁償的な性格を持つ手当は、原則として報酬額には含まれない傾向にあります。基本給や賞与などで判断されることが一般的です。 

社内の賃金規程や、同等の地位にある日本人社員の給与水準と比較し、不当に低い金額設定となっていないかを確認することが重要です。

在留資格「企業内転勤」は、学歴要件が問われない点で、実務経験豊富な社員を日本へ呼び寄せる際に有用な選択肢となり得ます。

しかし、その許可を得るためには、「転勤直前の1年以上の専門業務経験」「日本での業務の専門性(単純労働不可)」「日本人と同等以上の報酬水準」という要件をクリアし、それらを立証資料によって客観的に説明することが求められます。

企業ごとの資本関係や個別の契約形態によって、準備すべき書類や立証のポイントが異なる場合がありますので、最新の法令に基づいた慎重な準備が推奨されます。

お問い合わせフォーム