ホーム/ニュース/ニュースレター/RSM汐留パートナーズ・ニュースレター 2026年5月号
RSM汐留パートナーズ・ニュースレター 2026年5月号

RSM汐留パートナーズ・ニュースレター 2026年5月号

ニュースレター
2026年5月12日

トランプ関税の影響と実務上の備え、労働基準法の改正論点①、出入国在留管理の法令改正

今月のニュースレターでは、税理士法人より 「トランプ関税の影響と実務上の備え」、社会保険労務士法人より 「労働基準法の改正論点①」、行政書士法人より 「出入国在留管理の法令改正」 についてお届けいたします。

税理士法人では、輸出の有無にかかわらず国内企業に波及するトランプ関税の影響を踏まえ、今のうちに考えておきたい実務上のポイントをお伝えします。社会保険労務士法人では、連続勤務日数の上限設定や勤務間インターバルの義務化など、改正に向けた検討が続く労働基準法の主要な改正論点を取り上げます。行政書士法人では、永住許可ガイドラインの変更、在留申請手数料の改定、言語能力証明の新要件など、目まぐるしく変化する出入国在留管理の法令・運用の改正動向を整理します。

今月のニュースレターも、日々の実務にぜひお役立てください。


 

はじめに

「最近、なんとなく受注が減っている」―その背景には、いわゆるトランプ関税の影響があるかもしれません。ニュースでは連日のように関税が取り上げられていますが、「自社は輸出していないし関係ない」と考える方も多いでしょう。しかし実際には影響はすでに始まっており、サプライチェーンを通じて国内企業にも広がっています。今回は、複雑な関税や法律の詳細ではなく、「自社にどう関係するのか」という視点に絞って整理します。

トランプ関税の現状

トランプ関税は2025年4月に開始され、その後の交渉や裁判を経てルールが変化しています。重要なポイントは次のとおりです。

第一に、関税は形を変えて継続している点です。「最高裁が違法と判断したので終わった」と受け止められがちですが、別の法的枠組みによる代替措置が導入され、関税負担は実質的に継続しています。

第二に、対象品目によって負担が異なる点です。自動車・鉄鋼・アルミは15~25%の高関税、それ以外にも一律10%の追加関税が課されています。

第三に、この状況は当面継続する前提で考える必要がある点です。現行の10%措置は7月に期限を迎えますが、政権は別の法律による継続を見込んでおり、「いずれ元に戻る」との楽観的な見通しは適切ではありません。

輸出していないのに影響がある理由

輸出していない企業にも影響が及ぶ主な経路は以下の2つです。

一つは、取引先を通じた需要減少です。大手メーカーが米国向け出荷を減らせば、その下請け企業の受注も減少します。サプライチェーンは多層的に連なっており、自動車関連に限らず、建設機械、電子部品、化学製品など幅広い分野で影響が波及します。実際、2025年後半以降、下請け企業の受注減の動きが見られています。

もう一つは、価格環境の変化です。米国向け輸出が難しくなった製品が他地域へ流入し、競争が激化することで価格が下押しされる一方、原材料高や為替変動によりコストが増加するケースもあり、価格の見通しが立てにくい状況が続いています。

今のうちに考えておくべきこと

関税の先行きを正確に予測することは困難ですが、自社への影響は事前に想定できます。

第一に、取引先の米国依存度の把握です。直接取引がなくても、間接的に米国市場とつながっているケースは少なくありません。

第二に、売上減少時の耐性確認です。例えば売上が1割減少した場合の資金繰りを試算するだけでも、対応の選択肢は変わります。

第三に、調達・販売体制の見直しです。仕入先の分散や在庫水準、価格転嫁の方針は平時に整理しておくことが重要です。

あわせて、経済産業省の「米国関税対策ワンストップポータル」やジェトロの相談窓口など、公的情報の活用も有効です。

おわりに

関税の問題は一見複雑ですが、本質は「需要減」と「コスト増」というシンプルな問題に集約されます。まずは自社への影響を把握することが第一歩です。ご不明点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせ下さい。
 

はじめに

1987年の改正以降、労働基準法(以下労基法)の包括的な見直しが検討されています。2026年、通常国会への労基法改正案の提出は見送りになりましたが、改正に向けた検討は現在も継続しているため、現時点で報告書に挙げられている改正論点について説明します。

連続勤務日数の上限が13日に設定

連続勤務日数について、14日以上の連続勤務禁止という上限を設けることが提言されています。現行の労基法では「4週間を通じて4日以上の休日」を与えれば足りると定めており、要件を満たした場合、最大48日間の連続勤務が理論上可能な状態にあります。2週間以上にわたり休日のない連続勤務を行うことは、労災保険の精神障害認定基準の具体的な出来事の一つとして明記されており、また報告書でも36協定に休日労働の条項を設けた場合であっても、13日を超える連続勤務を認めない取扱とする旨の規程を労基法上に設けることが提言されています。

法定休日の特定の義務化

現状では、週休2日制としながらも2日のうちどちらが法定休日なのかが曖昧な企業が多く存在します。これも改正により、就業規則で法定休日を明確に特定することを義務付けることが提言されています。1か月の変形労働時間制等を適用している場合であっても、事前のシフトを設定する段階に法定休日を定めなければならず、またその旨も就業規則に明記する方向で検討が継続されています。

勤務間インターバルの義務化

終業から次の始業までの間に、休息時間として最低11時間を確保する「勤務間インターバル制度」が努力義務から法的義務に格上げされる方向で検討されています。シフト制の遅番から翌日の早番、といった連続配置のハードルが上がることが想定されています。勤怠システムでインターバル判定が行われるように今後仕様が追加されることも想定されています。

年次有給休暇取得時の賃金が通常賃金方式に統一

平均賃金や標準報酬月額の30分の1を支給する方式など3つの方式が混在していますが、今後は改正により「通常通り勤務した場合に支払われる賃金」を支払う方式に統一されることが検討されています。パートやアルバイトなどのシフトによって1日の稼働時間が変動する従業員に対しては、雇用契約書での取り決めやシフトを設定する際に調整しなければなりません。

おわりに

大きく7つの論点が検討されているうちの4つを取り上げました。労働時間の長期化に伴う労災リスクの低減や精神障害による労働力人口の低下を抑制することを目的に労基法の改正が進められている背景の一つと考えられます。労基法のある意味老朽化により、現代の多様な働き方に対して法的有効性を発揮できていないことも理由の一つに挙げられます。今後の労働政策審議会での審議を経ることで、内容が変更される可能性はあります。労基法の大規模改正については、今後も注視が必要です。
 

はじめに

昨今、外国人の出入国在留管理に関する法令や運用が目まぐるしく改正されております。今回は現在までに改正された運用等について整理してご説明させていただきます。

「永住許可のガイドライン」の変更

これまでは在留期間3年以上あれば永住申請にトライできましたが令和9年4月1日からは在留期間が5年以上なければ永住許可申請することはできません。また令和9年4月1日前に3年の在留期間で申請した場合、現在の在留期間中に永住許可がされれば何の問題もありません。しかし永住許可の審査中に在留期限を迎えてしまった場合、現に有する在留期間を更新する必要があり、その結果、在留期間が5年もらえなければ、基本的には永住の要件を満たすことができないとして不許可とされます。

手数料の変更

すでに手数料の上限額の引き上げが決定されておりますが、2026年4月28日の衆議院本会議で在留期間更新・在留資格変更の際に付与される在留期間ごとに手数料がかわり、3か月以下は1万円、1年の場合は3万円、3年で6万円、5年で7万円、永住許可は20万円とする出入国在留管理及び難民認定法改正案が可決されました。

これにより、外国人を多く雇用する企業は高度専門職などの在留期間が多く与えられる外国人の雇用することやグローバル企業においては1人が日本に長くいて在留期間を更新することなく、次々と新しい人材を日本に送り込み帰任と着任のペースをあげるなどの対策の検討が必要となります。

技術・人文知識・国際業務において対人業務に従事する場合の言語能力の証明

これまで技術・人文知識・国際業務において翻訳通訳など対人業務に就く場合、とくにその言語能力については証明を求められませんでしたが、2026年4月15日以降の申請において、カテゴリー3以下の会社が申請する場合においては言語能力の証明に関する資料の提出が必須になってきます。また、これは日本語に限ったことではありません。例えばホテルのフロントなどで外国人顧客にたいして英語で対応するとして翻訳通訳業務で申請する場合には英語の言語能力の証明が求められます。以下は日本語及びそれ以外の言語それぞれに求められる能力についてです。

日本語能力について

  1. JLPT・N2以上を取得していること
  2. BJTビジネス日本語能力テストにおいて400点以上を取得していること
  3. 中長期在留者として20年以上本邦に在留していること
  4. 本邦の大学を卒業し、又は本邦の高等専

日本語以外の言語能力について

  1. 当該言語が申請人の母国語又は公用語であること
  2. 当該言語に係る試験により、CEFR・B2以上の言語能力を有していることが証明されていること(証明書上又は当該試験の公式ホームページ上 にCEFR表示がなされているものに限ります。)
  3. (上記1及び2に該当しない場合)申請人が業務上必要な言語能力を有していることが明らかに評価できる合理的な理由(注)が説明されていること

(注)例えば、母国語以外の言語が業務上必要とされている場合において、当該言語が公用語として使用されている国の大学に留学経験があることが卒業証明書等により証明されていることなどが想定されます。

その他注意事項

その他JESTAの創設や2026年4月1日から帰化許可申請の在留期間が5年から10年に延長するなどめまぐるしく外国人に関する政策に変化が訪れております。企業はこうした情報を素早くキャッチし、活用し、または管理することが求められます。

事業会社の外国人担当者がコア業務をもちつつ、このようなめまぐるしい改正についていくのはとても大変です。しかしながら、「知らなかった」では済まされないのが法律の世界です。もし情報整理が必要な場合や企業の対策を考えたいときは是非ご相談いただければ幸いです。
 

【今月のサービスPickup】

外国人雇用コンサルティング

外国人スタッフの雇用や在留資格管理は、知らないうちに法令リスクを抱えてしまうケースも少なくありません。在留資格の判断から更新手続きまで、行政書士・社会保険労務士が連携し、実務面も含めて一貫してサポートします。

業務DX支援

DX推進において、「何から着手すべきかわからない」は多くの企業が直面する課題です。独自のITヘルスチェックで課題を可視化し、最適なツール選定から計画・導入・運用・定着化まで現場に寄り添いながら伴走します。

M&Aコンサルティングサービス

後継者問題や成長戦略、経営資源の選択と集中など、M&Aはさまざまな経営課題の解決手段となります。会計・税務・法務の専門家が一体となったワンストップ体制で、経営者の想いと企業価値を次世代へつなぐお手伝いをします。