AI時代に問われる専門職の在り方
- 2026.06.05
- ビジネスの話
AIに数兆ドルが投じられ、今やどの企業もAI戦略を語る時代になりました。ちょうど先日、イギリスのコンサルティング業界で、今改めて「人間」に焦点が戻っているという記事を読みました。テクノロジーへの期待がかつてなく高まる一方で、そのテクノロジーを使いこなし、価値に変える主体としての「人」の重要性が、むしろ再認識されているのだと感じます。
BCGによれば、AIによる価値創出の内訳は「アルゴリズムが10%、データとテクノロジーが20%、そして残りの70%は人間の貢献」だそうです。結局のところ、価値の大部分は「人」に依存するということなのでしょう。 AIがどれだけ進化しても、それをどう使い、どう意思決定につなげ、どう現場で実装するかは、人間に委ねられているということだと思います。
また、EYは「AIリテラシーとは単にChatGPTを時々使うことではない」と述べ、BCGも入社時にAIの知識が乏しくても採用を継続しているそうです。その理由は、AIスキル以上に「深い好奇心」があるかどうかが重要だから。新しい技術や変化に対して自ら関心を持ち、学び、問いを立てられる人こそが、これからの時代に価値を発揮していくのだと思います。
クライアントが見ているのは、AIに詳しいかどうか以上に「AIのアウトプットに自分の名前を載せる覚悟があるか」なのだと感じます。つまり、判断力、共感力、そして責任感。技術が進歩するほど、こうした資質の重みは増していくでしょう。便利な道具が増えるほど、最後に問われるのは、それを使う人間の姿勢や覚悟なのだと思います。
確かに、私がどれほどAIを駆使して成果物を作成したとしても、それを「AIが作りました」とは言いません。「私が、弊社が責任を持って作りました」と伝えますし、クライアントもそれを期待しているはずです。AIは強力な補助線にはなっても、責任の主体そのものにはなりません。その意味でも、最後はやはり人が前に立つ世界なのだと感じます。
日本の士業の世界でも、AIや自動化が進む中で、知識や処理能力はやがて標準化されていくでしょう。知っていること、速く処理できることだけでは、差別化が難しくなっていく未来は十分にあり得ると思います。そのとき、最後に選ばれる理由は何か。
それは専門知識の量だけではなく、「この人に任せたい」と思っていただける人格や姿勢ではないか。――「人柄採用」は時代遅れになるどころか、これからの経営戦略における中核になりそうです。むしろ、AI時代だからこそ、人として信頼できるか、誠実に向き合えるか、責任を持てるかといった要素の価値は、これまで以上に高まっていくのではないでしょうか。
