独自の道を歩むことの価値
独立を果たした2008年当時、私は士業向けのコンサルティングを展開している会社様に頼るべきかどうか、正直悩見ました。迷った末に一度だけセミナーの見学に足を運んだのですが、そこで語られていたのは、売上高10億円を誇る歴史ある会計事務所のこれまでの成功事例についてでした。セミナー終了後には、もちろん非常に熱心なお声がけをいただきました(笑)。
しかし結果として、私はすべてを自分たちだけでやる道を選びました。理由はシンプルで、一般的には大成功とされるお話を聞いても、私の中にどうしても違和感が拭えなかったからです。「それは本当に成功なのだろうか?」「自分が心から成し遂げたいことなのか?」「大好きだった監査法人をわざわざ離れてまでやりたかったことなのか?」そんな疑問が次々と湧き上がってきたためです。当時の27歳の私は、今よりも直感と理想で動いていたのかもしれません。
当然、その選択によって軌道に乗るまで時間はかかりました。それでも、クライアントや役職員を何よりも大切にする、高品質なサービスを提供するという原点を常に忘れずに歩んできました。そして、自分たちの力で事務所の独自性や差別化ポイントをしっかりと打ち出すことができたので、今ではあの時の判断に少しの後悔もありません。誰かの成功事例を聞きすぎると、どうしても自分たちのオリジナリティは薄れてしまいます。既存の型にはまり、そこから新しい独創的な発想が生まれなくなってしまうのです。
たしかに世間には「そこそこ成功するため」の効率的な近道やマニュアルはあるのかもしれません。しかし私は、自分たちで悩み、独自で進めることの真の価値というものを信じたいと思います。
経営においては、一見すると非効率に思える「遠回り」こそが、実は目的地への「最短ルート」なのかもしれません。これからも、誰もやっていなそうな面白いことを考えていきたいと思います。
他人の真似ではない、私たちにしか描けない未来を、これからも一歩一歩愚直に形にしてまいります。

「どこで挑戦するか」が未来を変える
小学生の頃、私は勉強があまり得意ではありませんでした。しかし、引っ越しをして別の中学校に入ると、環境が変わったことがきっかけなのか、どんどん成績が上がっていきました。
中学校の半ばで初めて、「あれ、勉強って面白いのかもしれない」と思えたのです。環境が少し変わるだけで、周囲からの見え方はもちろん、自分自身の捉え方や「自分もやればできるんだ」という自己肯定感までガラリと変わってしまう。環境が人に与える影響力というのは、想像以上に大きいのだと知った体験でした。
公認会計士試験に合格し、大手監査法人の東京事務所に入所したときも、大きな環境の変化を実感しました。北海道で試験を乗り越え、「それなりにやれてきた」というささやかな自負を持って上京したものの、周りには私よりも優秀な方ばかり。知識の深さも仕事のスピードも段違いで、毎日のように自分の未熟さを痛感し、何度も落ち込みました。それでも温かく指導し、引き上げてくださった当時の先輩方には、今でも感謝と尊敬の気持ちしかありません。
その後独立し、個人事務所、中小事務所、中堅ファーム、そして現在のRSMへとステップアップしていく中で、少しずつ「自分にもできる」という自己肯定感を持てるようになりました。そして、その自己肯定感こそが新しい挑戦を生み出す原動力となり、結果として次の成果へとつながっていくのだと身をもって実感しています。
もちろん、自分を厳しい環境に置いて揉まれることが人を大きく成長させる側面はあります。しかし一方で、自分の強みを存分に発揮できる環境、自信を持って伸び伸びと挑戦できる環境を選択することも、同じくらい大切です。「どこで戦うか」という土俵の選び方は、人生の可能性や成長の方向を大きく左右します。
だからこそ私たちも、「グローバルミドルマーケットのクライアントにとってファーストチョイスになる」というビジョンを持ち、お客様への価値提供はもちろん、一緒に働くメンバー一人ひとりにとっても、それぞれの力を最大限に発揮し輝ける環境をつくっていきたいと思っています。
誰もが自分の可能性を信じて挑戦できる場所から、私たちはこれからも新しい未来へと歩み続けていきます。

「パートナー=出資者」を超える組織づくり
私は公認会計士として、資本主義経済の中で生きている人間の一人です。しかし、日々の実務を通じて多様な組織のあり方に触れるうち、どんなビジネスにおいても株式という仕組みが常に美しくフィットするわけではないのではないか、と感じる機会があります。
例えば、プロフェッショナルサービスファームのような業態は、製造業のように大規模な初期設備投資を必要としません。このような領域で、創業期に少額の資金を出資した人間が有限責任のまま、その後も永続的にリターンを受け取り続ける構造には、少し違和感があります。
さらに、近年の税理士法人は急激に大規模化・グループ化が進んでおり、かつての「数人の先生が集まる事務所」という規模を遥かに超越しています。この変化に対し、出資者を資格者のみに限定する仕組みも、無限責任も、現代の多様な働き方や人員構成を考えると、法律が当初想定していたものを大きく越えてしまっているように感じます。抜本的な見直しが必要な時期に差し掛かっているのではないでしょうか。
実際、私たちのようにワンストップサービスを提供する組織では、公認会計士・税理士・社労士・行政書士・司法書士などの士業だけでなく、ITや人事、マーケティング、管理部門のプロもたくさん活躍しています。
そうした環境において、旧来の「パートナー=出資者」という構造は、組織の実態にフィットしない場合があると思っています。実際に価値を創造しているのは、日々の現場で自らの専門性を発揮し、貴重なリソースを投じてくれているメンバーでもあります。
こうした課題を解決する糸口として、欧米で普及している ESOP(Employee Stock Ownership Plan)のように、働く人々が自らオーナーシップを持てる仕組みに可能性を感じています。日本でも従業員持株会活用型ESOPといった形で取り入れられているようです。
法的な規制や制度の壁など、乗り越えるべきハードルは多く、私の単なる妄想で終わってしまう可能性も大いにあります。それでも、人生における最も尊い「時間」という最大の資本を投じてくれているメンバーに対し、その貢献にまっすぐ報いることができる、これからの時代にふさわしい新たな還元の仕組みを、模索し創り上げていきたいと思っています。

会計連加盟法人63法人へ ― 会計事務所業界における新たな連携の広がり
- 2026.07.10
- 公認会計士・税理士, IR・メディア・お知らせ
一般社団法人会計事務所連携協議会(会計連)の加盟法人が、このたび計63法人へと拡大いたしました。全国からこれほど多くの大手・中堅会計事務所が、一つの組織のもとに集結したことは、当協議会にとっても、そして日本の会計業界全体にとっても大きな節目となります。
私たちRSM汐留パートナーズ税理士法人も、理事法人としてこの活動に深く関わっています。そして私個人としては、グローバル委員会にて委員長を務めており、日々身の引き締まる思いで活動を推進しています。
それぞれが地域や市場で確固たる基盤を持つプロフェッショナルでありながら、単なる競合という枠を超え、日本の経済と企業の未来のために手を取り合う。その熱量と志の高さには、私自身も大きな刺激を受けています。
会計事務所がその業務の枠を大きく広げ、AIの活用やDXの推進、M&Aのサポート、スムーズな事業承継の実現、さらには国際支援までをワンストップで担う「総合コンサルティングファーム」へと進化していく。この業界全体に変革が訪れていると感じます。
今回の規模拡大は、会計事務所業界における「新しい時代の到来」を告げる明確なシグナルです。変化を恐れず、常に顧客の未来に寄り添い、挑戦を続けるプロフェッショナル集団として、私たちはこれからも歩みを進めてまいります。
ぜひリリースをご覧いただけますと幸いです。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000154574.html

株式会社Smart Processのグループ参画および宇都宮事務所新設のご報告
- 2026.07.01
- 公認会計士・税理士, IR・メディア・お知らせ
このたび、RSM汐留パートナーズ株式会社は、2026年7月1日付で、モビリティ・製造業界を中心にプロセス改革、エンジニアリング、IT、AI・DX推進支援を展開する株式会社Smart Processとの資本業務提携を行い、同社をRSM汐留グループの一員として迎えることとなりました。
当グループはこれまで、公認会計士、税理士、社会保険労務士、行政書士、司法書士など多様な専門家が連携し、会計・税務・人事労務・法務・アドバイザリー、バックオフィス・アウトソーシングをワンストップで提供してまいりました。近年、お客様の経営課題が一層複雑化するなか、ITコンサルティング領域の強化を重要なテーマと位置づけています。
Smart Processは、「スマートなプロセスで未来を創る」というビジョンのもと、国内有数の企業や研究機関に対し、開発プロセス改革やAI・DX推進支援を行ってきたプロフェッショナル集団です。同社の現場に深く入り込み、プロセスから変革を実現する姿勢は、私たちの価値観と強く重なります。
今回の連携により、当グループの専門性にSmart Processの知見が加わり、AI・DXを活用した業務改革、システム導入・最適化、ITガバナンスの高度化など、より実践的で高付加価値な支援が可能になると考えております。また、サービス提供体制のさらなる強化と北関東エリアにおける事業拡大を目的として、新たに宇都宮事務所も開設いたしました。
新たな仲間を迎え、RSM汐留パートナーズは次の成長ステージへ進んでまいります。今後ともよろしくお願い申し上げます。
RSM汐留パートナーズお知らせ:https://shiodome.co.jp/news/58427/
RSM汐留スマートプロセス株式会社ウェブサイト:https://smart-process.co.jp

会計連キックオフ会への参加とこれからの決意
- 2026.06.20
- 公認会計士・税理士, 会食・交流会・セミナー
先日、RSM汐留パートナーズ税理士法人も理事として参画しております会計事務所連携協議会(会計連)のキックオフ会が開催されました。会場には、日本全国を代表する会計事務所の皆様が一堂に会し、熱気あふれる空間が広がっていました。これほどまでにエネルギーに満ちた皆様と同じ時間を共有し、これからの会計業界の未来について真剣に議論を交わせたことは、私にとっても大きな刺激となり、大変貴重な機会となりました。
今回、特に印象に残ったのが、「10年後に振り返ったとき、今日が分岐点だったと確信している」というお言葉でした。デジタル化やAIの進展など、私たちの業界を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。こうした時代だからこそ、変化を受け身で捉えるのではなく、自ら未来をつくっていく姿勢が大切なのだと改めて感じました。私自身も、この日の集まりが、これからの会計業界にとって大きな一歩として記憶される機会になるのではないかと感じています。
私自身の歩みを振り返ってみても、独立して事務所を立ち上げてから今日に至るまで、本当に多くの先輩方に導かれ、育てていただきました。現在のRSM汐留パートナーズがあるのは、まさに業界の先輩方や仲間の皆様の支えのおかげであり、感謝の念に堪えません。
そうして業界の諸先輩方から学んできた中で、日本の会計業界が持つ「高い専門性」と「顧客との距離の近さ」は、世界的に見ても独自の強みであると感じています。単なる書類作成や計算の代行にとどまらず、中小企業をはじめとする経営者の最も身近な相談相手として深く寄り添う姿勢は、日本の誇るべきビジネス文化です。これからの時代は、個々の事務所が限られた市場の中で競い合うだけでなく、業界全体で知見やノウハウをオープンに共有し、その魅力を社会へ力強く発信していくことが欠かせません。協調して全体の底上げを図ることの重要性を、今回改めて強く認識いたしました。
税理士・会計士業界には、まだまだ無限の可能性が眠っています。テクノロジーの進化により、定型業務の効率化は目覚ましく進んでいますが、業界の未来をつくるのは制度でもAIでもありません。最後はやはり人の熱量や人間力だと思っています。だからこそ、私たちが先輩方から受け取った恩返しのバトンを、今度は次の世代へとつないでいく番です。若い方々が「この業界で働きたい」「ここに未来がある」と夢や希望を持てる環境づくりに向けて、私自身も微力ながら全力を尽くし、貢献していきたいと考えています。
会計連の活動を通じて、会員の皆様としっかり手を携え、日本の会計業界のさらなる発展と輝かしい未来の創造に邁進してまいる所存です。

難関資格が変えたのは、キャリアではなく「私という人間」そのもの
資格は、自分に自信を与えてくれます。もし私が日本の公認会計士ではなく、ゼロからUSCPAを目指すとしたら、その理由は「なんとなく格好良いと感じたため」というシンプルなものかもしれません。でも、それでいいのだと思います。挑戦を始める理由は、案外そのくらいシンプルなもので十分なのではないでしょうか。
例えば、日商簿記1級や英検1級、TOEIC990点。これらはどれも素晴らしい実績ですが、名刺に書くとなると少し気恥ずかしさや違和感があるかもしれません。一方、USCPA(米国公認会計士)なら、会計と英語の両方の素養があることを堂々と名刺で表現できます。客観的な難易度では「簿記1級×英検1級」の方が高いかもしれませんが、「一言でプロフェッショナルを証明できる」のはUSCPAの大きな強みです。肩書きとしてのわかりやすさや伝わりやすさも、資格の大きな価値の一つだと思います。
もちろん、名刺に書いた以上、実務が伴わなかったり英語が苦手だったりすれば、正直とても恥ずかしい思いをします。だからこそ、合格した後にまた必死に頑張ればいい。動機はシンプルでいいのです。ただ一つ言えるのは、「その山に登った人」にしか見えない景色が確実に存在するということです。そこにたどり着いた人だけが得られる自信や実感は、何ものにも代えがたいものがあります。
先日、中高の同級生と食事をした際、「昔はそんなタイプじゃなかったのにね」と言われました。「暗い性格とまではいかないけれど、今ほど明るくはなかった」とも。難関資格への挑戦と合格は、知識やキャリアだけではなく、性格や振る舞いまで含め、人生を確実に良い方向へ変えてくれる。私はそう確信しています。自信がつくことで、表情や言葉、立ち居振る舞いまで少しずつ変わっていくのだと思います。
かつての私と同じように、何かに挑戦することで自分を変えたいと思っている人は、きっと少なくないはずです。誰かの人生にポジティブな変化が訪れることを、心から願っています。

ホーチミンでのRSM APAC研修
- 2026.05.25
- 公認会計士・税理士, 会食・交流会・セミナー
2026年5月18日から22日まで、ベトナム・ホーチミンで開催された「2026 Asia Pacific Regional Training」に参加してまいりました。RSMのアジア太平洋地域のメンバーファームから多くの専門家が集まり、5日間にわたり、非常に密度の高い時間を過ごすことができました。現地では朝から夕方まで研修が続き、まさに「缶詰」のような日々でしたが、それだけ集中して学びに向き合う機会は、日常の業務の中ではなかなか得られないものです。

今回の研修では、IFRS、ESG、デジタルアセット、サイバーセキュリティ、リスクアドバイザリー、国際税務、移転価格など、現在のグローバルビジネスにおいて重要性が増しているテーマが幅広く取り上げられました。特に、ブロックチェーンやデジタルアセットの領域については、会計・税務の論点にとどまらず、ビジネスそのものの変化をどう捉えるかという視点でも多くの学びがありました。
また、国際税務や移転価格の議論を通じて改めて感じたのは、各国の制度や考え方が異なるからこそ、共通言語としてのルール理解が重要であるということです。一方で、ルールを知っているだけでは十分ではありません。実際のクライアント支援では、それぞれの国や地域の実務、文化、商慣習を踏まえた対応が求められます。この「グローバルな標準」と「ローカルな実務感覚」の両方を持つことが、私たち専門家にとってますます重要になっていると感じました。

研修の大きな価値は、知識の習得だけではありません。RSMの各国メンバーと直接顔を合わせ、意見を交わし、信頼関係を深めることができた点も非常に大きかったと思います。クロスボーダー案件では、専門知識と同じくらい、「誰と連携できるか」「どのような信頼関係があるか」が成果を左右します。今回のネットワーキングを通じて、RSMという国際ネットワークの強さを改めて実感しました。
今回得た知見やネットワークを、RSM汐留パートナーズのサービス品質向上、そしてクライアントの皆様へのより良い支援につなげてまいります。これからもRSMネットワークの一員として、国内外の専門家との連携を深めながら、グローバルに挑戦する企業の皆様を支えていきたいと思います。
課外活動のススメ
Big4の監査法人に身を置いていると、自分次第で課外活動のチャンスはいくらでもあります。「最近は忙しすぎてそれどころではない」という声も聞こえてきそうですが、それでもなお、若いうちに社外との接点を少しずつ広げておくことには大きな意味があります。
その法人に長く勤めるかどうかは別として、公認会計士として30〜40年に及ぶキャリアを歩む中で、先輩・同期・後輩、そしてクライアントとの関係を良好に保つことは極めて重要です。目の前の仕事で成果を出すことはもちろん大切ですが、それと同じくらい、信頼できる関係性を積み重ねていくことが、長いキャリアの土台になっていきます。
なぜなら、この業界は想像以上に狭いからです。「間に一人挟めば、ほぼ全員が繋がっている」と言われるほどです。もちろん、海外まで視野を広げれば世界は一気に大きくなりますが、国内での信頼関係を大切にして損はありません。むしろ、若いうちに築いた関係が、何年も経ってから思わぬ形で仕事やキャリアを支えてくれることもあります。
大手監査法人の名刺があるうちは、絶好のチャンスです。準会員であっても、その名刺一枚で信頼を得やすく、銀行・証券・VC・PEファンド、さらには弁護士や医師など、多分野のプロフェッショナルと接点を持てる可能性が広がります。自分一人ではなかなか開けない扉も、所属している環境や肩書きがあることで、自然と開かれることがあります。
結局のところ、誰もが求めているのは「長く信頼できる付き合い」なのではないでしょうか。短期的な損得だけではなく、互いに相談し合える関係、困ったときに思い出してもらえる関係をどれだけ築けるか。この恵まれた環境を最大限に活かし、質の高い関係性を構築することが、将来の成功を支えてくれるはずです。最初の5年、10年の努力がすべてを解決できるとは言いませんが、その後のキャリアで大きな力となることは間違いありません。
本業だけでなく、人脈作りや異業種交流など、名刺一枚で広がる世界を楽しんでみてください。時には飲み会の幹事を務めるのも良い経験になります。シャイな方が多い業界かもしれませんが、少し勇気を出して一歩踏み出すことで、見える景色は大きく変わるはずです。そのきっかけになれば幸いです。

地道な業務に宿る、仕事の基礎と組織を支える力
監査法人1年目の頃、私の業務にはシンプルな作業も多かったように思います。確認状の仕分けや捺印、フォルダへの分類、FAX送信、そして事務勤でのコピーやシュレッダーがけなどです。もちろん、事務所や時代によって状況は異なるでしょうが、少なくとも私の実体験としては、こうした地道な作業がたくさんありました。
しかし、新人時代の私にとって、これらは決して「簡単なこと」ではありませんでした。 FAXの送信先を間違え、シニアの先輩がクライアントに謝罪の電話を入れてくださったこともあります。自分の不手際が周囲に迷惑をかける申し訳なさに、次は絶対に間違えないようにとひとつひとつの作業に必死に向き合っていました。
単純に見える作業にこそ、高い丁寧さと集中力が求められます。宛先を確認する、書類の順番をそろえる、漏れがないかを見直す。そうした一つひとつの積み重ねが、仕事全体の品質や信頼につながっていきます。新人時代の仕事には、ビジネスの根幹となる大事な基礎が詰まっていたのだと、今になって強く思います。正直に言えば、私はこういった細かな作業が得意ではありませんでした。だからこそ、その難しさや大切さを身をもって学ぶことができたのだと思います。
また、こうした経験を通じて「組織には多様な役割がある」ことも学びました。表に出る仕事だけで組織が成り立っているわけではありません。縁の下で支えてくれる間接部門の方々がいて初めて、フロントのメンバーが安心してクライアントに向き合い、力を発揮することができます。その構造を理解できたことは、私にとって大きな財産です。
独立し、見積書の発行から入金確認、場合によっては督促のようなプロセスまで、自分自身の手でやってみて、当時の教えが身に染みています。どんな業務であっても、それをいかに「自分事」として捉え、主体的に向き合えるか。それによって、個人の成長スピードも、仕事への解像度も大きく変わるものだと思います。
支えてくれる多くの仲間に改めて感謝しながら、私自身もまた、誰かの活躍を支えられる存在であり続けられるよう、日々精進してまいります。
