ホーム/コラム/外国人雇用・イミグレーション/駐在員の日本入国が可能になるその他の在留資格「短期滞在」とその判断要素としての報酬の有無
駐在員の日本入国が可能になるその他の在留資格「短期滞在」とその判断要素としての報酬の有無

駐在員の日本入国が可能になるその他の在留資格「短期滞在」とその判断要素としての報酬の有無

外国人雇用・イミグレーション
2026年1月21日

海外から日本へ従業員を派遣する際、一般的には「企業内転勤」や「技術・人文知識・国際業務」といった就労可能な在留資格の取得が検討されます。しかし、プロジェクトの期間や業務内容によっては、これらを取得せずとも「短期滞在」の在留資格で入国し、必要な活動を行えるケースがあります。

本記事では、駐在員等の派遣において「短期滞在」が選択肢となり得る条件と、その判断の核心となる「報酬」の考え方について、現行の法令および実務上の解釈をもとに解説します。

「短期滞在」とは、日本の出入国管理及び難民認定法(入管法)において、以下のように定義されている在留資格です。

本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動具体的には、日本での滞在期間が90日以内で、かつ収入を伴う事業を運営せず、又は報酬を得る活動を行わない場合に該当します。一般的に「観光ビザ」や「商用ビザ」と呼ばれることもありますが、実務上はこれらはすべて「短期滞在」の枠組みに含まれます。

企業の担当者が最も迷いやすいのが、「どこまでが商用(短期滞在)で、どこからが就労(就労ビザ)なのか」という境界線です。 

「短期滞在」で認められる商用活動の例としては、一般的に以下のようなものが挙げられます。

  • 商談・契約調印: 日本の取引先との打ち合わせや契約の締結。 
  • 市場調査: 日本市場の視察やマーケティングリサーチ。 
  • 業務連絡: 日本支店や子会社との会議、連絡業務。 
  • アフターサービス: 海外から輸入された機械等の設置やメンテナンス(※期間や契約形態により判断が分かれます)。 

これらは「業務の遂行」ではありますが、日本国内で資金を稼ぐ活動(就労)とは区別されます。この区別において最も重要な判断基準となるのが「報酬の有無」です。
 

判断の核心となる「報酬」の定義 

「短期滞在」においては、「報酬を受ける活動」は禁止されています。ここでいう「報酬」とは具体的に何を指すのでしょうか。
 

報酬の発生源(どこから支払われるか)

入管法上の解釈において、日本国内の機関(日本法人や日本支店など)から報酬が支払われる場合、それは原則として「就労」とみなされ、就労ビザが必要となる可能性が高まります。 

一方で、報酬が海外の所属機関(送り出し元の外国企業)からのみ支払われ、日本側からは一切の報酬が発生しない場合は、「短期滞在」での活動が認められる要素の一つとなります。
 

「報酬」と「実費弁償」の違い

ここで注意が必要なのは、「報酬」と「滞在費(実費弁償)」の区別です。 「報酬」とは基本的には、(日本国内における)役務提供の対価という性質を有し、以下の費用については、日本側が負担したとしても「報酬」には当たらないと解釈されるのが一般的です。

  • 日本への渡航費(航空券代など)
  • 日本での宿泊費
  • 滞在中の食事代や交通費などの必要経費(日当)

つまり、日本側がお金を支払う事実があっても、それが「役務提供の対価」ではなく「滞在に必要な実費」であれば、直ちに就労ビザが必要になるわけではありません。

「給与は海外の本社から出ているから、短期滞在で問題ない」という判断は、必ずしも正解とは限りません。たとえ日本側からの報酬がゼロであっても、以下のようなケースでは「実質的な就労」とみなされ、短期滞在が認められない(あるいは入国審査で拒否される)可能性があります。

  • 日本国内の業務に従事し、その成果が日本側の利益に直結する場合
    • 例:日本の工場ラインに入って製品を製造する。
    • 例:日本の店舗で接客販売を行う。
    • 例:日本のプロジェクトチームの一員として、システム開発のコーディングを常駐で行う。
  • 滞在期間が反復・継続する場合
    • 90日の短期滞在を繰り返し更新(いわゆるビザラン)して、実質的に長期滞在しているような場合。

特に、機械の設置や修理などの技術的な業務については、それが「売買契約に付随する偶発的なアフターサービス」なのか、「独立した建設・設置業務」なのかによって判断が分かれます。後者の場合、日本側からの報酬がなくても「短期滞在」の範囲を超える活動とみなされるリスクがあります。

駐在員や出張者が「短期滞在」で入国できるかどうかの判断は、単に「90日以内か」「日本側から給料が出るか」だけでなく、具体的な活動内容や契約関係を総合的に考慮して行われます。

誤った在留資格で入国し活動を行った場合、不法就労として企業側が処罰の対象となるリスクや、当該外国人が次回以降日本に入国できなくなるリスクがあります。

判断に迷うグレーゾーンのケースについては、自己判断で進めることなく、専門的な知見に基づいた確認を行うことが推奨されます。

お問い合わせフォーム