在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請を在留期限の直前に行う場合、審査中に元来の在留期限が到来することがあります。
この場合、いわゆる「特例期間」として、在留期限後も最大2ヶ月間は適法に日本に在留できます。しかしこの期間中、日常生活に欠かせない、「銀行口座」と「マイナンバーカード」の取り扱いにおけるトラブルが生じるケースが散見されます。
本記事では、特例期間に入る前に確認しておくべき、銀行および自治体での手続きについて解説します。
1. 特例期間(特例期間規定)について
最初に、「特例期間」について解説します。
在留期間の満了日までに更新または変更の申請を行えば、または在留期間満了日から2ヶ月を経過する日までは、引き続き従前の在留資格をもって日本に在留することができます(入管法第20条第6項等)。
この期間中、在留カードの表面に記載された「在留期間(満了日)」は過ぎている状態となりますが、在留カード裏面に「在留期間更新許可申請中」などのスタンプが押されることで、適法な在留であることを証明します。
しかし、入管法上の在留資格は維持されていても、民間サービスや他の行政サービスにおいては、別途の手続きを行わないと利用制限がかかる場合があります。
2. 銀行口座に関する注意点と手続き
近年、マネー・ロンダリング対策の強化に伴い、金融機関は在留カードの有効期限管理を厳格化しています。
1. 口座凍結のリスク
金融機関によっては、顧客情報として登録されている在留期間が満了すると、口座の利用を一部制限(ATM利用停止や送金制限など)するシステムを導入しています。
「入管で申請中だから自動的に銀行も分かってくれるだろう」と考えて何もしないままでいると、給与の引き出しや公共料金の引き落としができなくなるリスクがあります。
2. 必要な手続き
在留期限が到来する前に、取引のある金融機関へ連絡または訪問し、以下の対応を行うことが一般的です。
申請中であることの届出
在留カードの裏面に押された「申請中」のスタンプを提示し、現在審査中であることを銀行側に伝えます。
「在留カード有効期間更新(猶予)依頼」
銀行によっては、特例期間中の口座凍結を防ぐために、暫定的に登録上の有効期限を延長する処理を行ってくれる場合があります。
3. 金融機関による対応の差異
近年では、窓口へ行かずとも、Webサイトやアプリ経由で在留カードの画像をアップロードすることで手続きが完了する銀行も増えています。一方で、必ず窓口での提示を求める銀行もあります。
特例期間に入る(在留カード表面の期限が切れる)数週間前には、利用している金融機関からの通知を確認し、指定された方法で手続きを行うことが推奨されます。
3. マイナンバーカードに関する注意点と手続き
マイナンバーカード(個人番号カード)の有効期限は、外国人住民の場合、原則として「在留期間の満了日」までとされています。そのため、在留手続きとセットで管理する必要があります。
1. 有効期限切れのリスク
在留期間更新許可申請中であっても、マイナンバーカードの有効期限は自動的には延長されません。
マイナンバーカードの表面に記載された有効期限(=在留期限)を1日でも過ぎてしまうと、マイナンバーカード自体が失効してしまいます。
カードが失効すると、以下の不都合が生じます。
- 身分証明書として利用できなくなる
- コンビニエンスストアでの住民票等の取得ができなくなる
- 電子証明書を利用したオンライン申請(e-Taxなど)ができなくなる
- 再発行には手数料がかかり、写真の撮り直しや申請書への記入など、新規発行と同様の手間と時間がかかる
2. 特例期間に伴う延長手続き
特例期間の適用を受ける場合でも、必ずマイナンバーカードの有効期限内に、お住まいの市区町村役場の窓口で「マイナンバーカードの有効期間変更(延長)」の手続きを行う必要があります。
この手続きを行うことで、特例期間に合わせて最大2ヶ月間、マイナンバーカードの有効期限を延長することが可能です。
3. 手続きに必要なもの
- マイナンバーカード
- 在留カード(裏面に申請中のスタンプがあるもの、または申請受付票)
- その他、市区町村が定める本人確認書類等
新しい在留カードが交付された後には、改めて市区町村役場でマイナンバーカードの有効期間を新しい在留期限に合わせて更新する手続きが必要となります。つまり、特例期間を挟む場合は、合計2回の手続きが必要になる点に注意が必要です。
まとめ
在留期間更新等の申請を行っても、銀行や市区町村のデータが自動的に連動して更新されるわけではありません。
銀行: 口座が凍結される前に、申請中であることを銀行所定の方法で届け出る。
マイナンバーカード: カードの有効期限(在留期限)が切れる前に、役所で2ヶ月の延長手続きを行う。
特にマイナンバーカードは、期限を過ぎると失効してしまい、再発行の手間が生じるため、入管への申請が終わった足で役所へ向かうなどの対応が効率的であると言えます。
手続きを円滑に進め、日常生活への支障を防ぐためにも、これらの周辺手続きを忘れずに行うことが重要です。
