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固定資産管理の重要性と実務の基本ステップ:メリットと手順を体系的に整理

固定資産管理の重要性と実務の基本ステップ:メリットと手順を体系的に整理

会計・税務
2023年8月1日

本稿では、固定資産管理の導入によって得られる主な効果と、実務の基本的なプロセスについてご紹介します。

多くの事業者は、実務において固定資産管理専用のソフトウェアを導入して運用していますが、Excelなどを用いて手作業で管理しているケースもあります。Excelを使って手作業で計算している場合、固定資産管理で重要な償却計算が複雑になるため、人的ミスが生じやすいという課題があります。一方、専用の固定資産管理ソフトを利用すれば、より精緻で正確な償却計算が可能になりますが、その反面、ソフト上の固定資産台帳と会計帳簿の数値にずれが生じるケースも少なくありません。

こうした課題を解消するためにも、固定資産管理の利点と基本的な手順をしっかりと把握しておくことが重要です。

企業会計原則では、固定資産は「有形固定資産」「無形固定資産」「投資その他の資産」の3つのカテゴリに大別されます。

有形固定資産は、建物や土地、機械設備、什器、パソコン、社用車といった物理的な形を持つ資産を指します。一方、形のない資産は無形固定資産に分類され、ソフトウェア(自社利用・販売目的を含む)、営業権、特許権などが該当します。また、これら以外の資産として「投資その他の資産」があり、投資有価証券や長期貸付金、関係会社株式、長期前払費用、繰延税金資産などが含まれます。
固定資産管理の対象となるのは、主に有形固定資産と無形固定資産です。

固定資産管理を行うことで得られる主な利点を、4つの観点から解説します。

土地を除くほとんどの有形固定資産は、耐用年数に基づいて減価償却が行われます。

固定資産への投資は、一度に多額の支出を伴うケースが多いものの、その効果は単一の会計期間にとどまらず、長期的に発現することを前提としています。そのため、会計上は投資額を資産の耐用年数に応じて分割し、減価償却によって費用化します。こうすることで、収益と費用の対応関係が保たれ、正確な利益計算が実現されます。さらに、仮に多額の固定資産を購入時に一括で費用計上できてしまうと、利益の過度な圧縮が可能となり、適正な納税が担保されなくなる恐れがあります。こうした理由から、税務上も資産の耐用年数に応じた費用配分を行い、正確な税額計算を行うことが求められています。

固定資産には、土地や建物に課される固定資産税に加え、機械設備や器具備品などに対して課税される償却資産税があります。

実務上は、過去に取得した資産をそのまま保有しているものの、現在は使用していないケースも少なくありません。こうした未使用資産に対して、償却資産税を支払い続けている事例も見受けられます。

固定資産を適切に把握し、使用されていない資産を特定・処分することで、不要な税負担を削減し、納税額の適正化を図ることが可能です。

近年では、ソフトウェアやクラウドサービスなどを一度契約した後、利用状況を十分に確認しないまま自動更新を続けている企業が増えています。サブスクリプション型のサービスを一時的に利用したものの、その後使われなくなっているにもかかわらず、契約を残したままにしているケースも少なくありません。また、同様の機能を持つサービスを重複して契約している例も多く見られます。

このような無駄な支出を防ぐためには、契約内容や利用状況を定期的に見直し、不要な契約を整理・解約することが効果的です。

固定資産が盗難や滅失の被害に遭っても、管理体制が不十分な場合には気付かないまま放置されてしまうことがあります。特に、すでに減価償却が完了している資産は帳簿上の動きが少なく、実態との乖離が発生しやすいため注意が必要です。思わぬ損失や事故を未然に防ぐためにも、定期的かつ適切な管理の実施が重要です。

ここからは、固定資産管理の基本的なプロセスを5つのステップに分けて解説していきます。

新たに取得した固定資産については、会計処理や実物管理の基礎となる情報を、稟議書や請求書などの資料をもとに固定資産台帳システムへ登録します。
 ※システムを使用していない場合は、Excelなどで管理します。

登録すべき主な情報は以下の通りです。

  • 資産名
  • 資産コード
  • 取得年月日
  • 事業供用開始日
  • 設置場所
  • 管理部門
  • 取得価額
  • 数量
  • 償却方法
  • 耐用年数

さらに、事業供用開始日と取得価額を基に、会計システムへ取得仕訳を入力します。

取得した固定資産を識別できるようにするため、固定資産台帳に登録された資産コードを印字したラベルを作成し、現物に貼り付けます。

資産を除却または売却する際には、稟議書などの関連資料をもとに、固定資産台帳システムへ除却日を入力します。併せて、除却日までの減価償却額を確認し、除却や売却に伴う費用も考慮したうえで、会計上の損益(除却損益・売却損益)を算定します。これに基づき、会計システムで仕訳を起票し、都度または決算整理仕訳として登録します。

一般的に、年に1〜2回の頻度で固定資産台帳と現物資産の状況を突き合わせ、整合性を確認します。

【確認の主なポイント】

  • 現場の判断で不要資産が無断で処分されていないか
  • 台帳に未登録の新規備品が購入されていないか
  • 遊休状態となっている資産が存在しないか
  • 破損などにより稼働できない資産がないか

実査の結果、固定資産台帳と実際の資産に差異がある場合は、その内容を確認・整理し、固定資産台帳システムへ反映します。

例えば、無断で処分されていた資産が見つかった場合には除却登録を行い、台帳と実態の整合性を確保します。

固定資産台帳システム上で自動計算された、またはExcelで手計算した減価償却費をもとに、会計システムへ仕訳を入力し、両システム間で最終的な残高が一致しているかを確認します。

もし固定資産台帳と会計システムの金額に差異が生じた場合は、関連資料を精査し、原因を特定します。

例えば、固定資産の除却処理を会計システムには反映したものの、台帳側への登録を失念していたケースなどが典型例です。

今回は、固定資産管理の主なメリットと基本的な手順について解説しました。固定資産の重要性や管理の必要性は、企業や事業の特性によって異なります。特に、多額の固定資産を保有している場合や資産の増減が頻繁に発生する企業では、適切な管理を徹底することで、無駄なコストを削減できる可能性があります。

固定資産の管理は、本業に直結する業務に比べて優先度が下がりがちですが、後回しにせず定期的に見直すことが重要です。本稿の内容を参考に、自社の固定資産管理体制を改めてチェックしてみてください。

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