「興行」という在留資格をご存じでしょうか。海外アーティストが日本で行うライブやテレビ出演、プロ野球やJリーグの外国人選手などは「興行」の在留資格を取得したうえ日本で活動を行うのが原則です。ただ、この「興行」という在留資格は非常に複雑です。前述した活動のみではなく、様々な活動を内包し、「技術・人文知識・国際業務」など一般的就労資格との違いも多々あります。
今回は動画配信プラットフォームを用いて人気ゲームのリアルタイム対戦を行うことにより世界的コンテンツに発展したeスポーツについて、弊社が「興行」の在留資格を取得した例についてご紹介しようと思います。
1. 在留資格「興行」の概要
「興行」という在留資格とはどのようなものでしょうか。出入国在留管理及び難民認定法の別表には在留資格別の活動内容が定められており「興行」は以下のように記載されております。
「演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動(この表の経営・管理の項の下欄に掲げる活動を除く。)」
大きく分けると「又は」の前が興行に係る活動で後が興行に係る活動以外の活動となります。
興行に係る活動は興業1号及び2号、興行に係る活動以外の活動は3号に該当し、eスポーツはスポーツ等の興行に係る活動として興行2号に該当します。
2. eスポーツ選手が興行2号として認められるためには
興行2号を取得する代表格はスポーツ選手です。スポーツ選手というと一般的にはプロ野球選手、Jリーガー、Bリーガーなどですが、eスポーツ選手は興行2号に該当するのでしょうか?スポーツ等の興行に係る活動といえるためには日本で開催される大会等が興行性のあるものでなければなりません。そのため実業団のように企業の広告塔としての活動の対価として会社から選手に報酬が支払われている場合にはプロスポーツ選手に該当しません。興行を行うことを目的とし、興行収入(スポンサー収入含む。)で運営されているチームに所属する選手については「興行」に該当します。
eスポーツの所属チームは興行収入(スポンサー収入含む。)で運営されているチームを編成しているので所属する選手は「興行」の在留資格を取得することが可能です。eスポーツは大会別にレギュレーションがありますが、私の経験したものによると外国人選手の場合は在留資格の取得を義務付けてあったり、報酬についても日本人選手と一律の取り決めがあったりと運営そのものが細部にわたって配慮していることがうかがえました。興行2号には報酬について日本人が従事する場合に受ける報酬と同等以上の報酬を受けるという規定があります。
3. その他注意点
eスポーツには選手のほかに監督やコーチとして外国人を招へいするケースがあります。果たして監督、コーチは在留資格を取得できるのでしょうか?
この点について出入国在留管理局の審査要領によると「監督、コーチ、トレーナーなど選手と一体不可分な関係にある者も興行に係る活動に該当する」とあり、興行の在留資格を取得することができます。eスポーツでは元選手が監督やコーチとして活躍することがあるようです。
さらにこの一体不可分な関係がどこまで認められるかという限界事例ともとれるケースをご紹介します。とあるeスポーツ選手として日本で活躍していた外国人をeスポーツ選手のマネージャーとして雇いたいという依頼でした。「技術・人文知識・国際業務」など、一般的な在留資格を検討しましたが、選手目線から大会運営やスケジュールについて熟知し、その経験を活かして選手を最良の状態でマネジメントする役割を担うとして一体不可分な関係であることを主張した結果、「興行」の在留資格を取得できたという経験がございます。
また、チーム移籍がある場合は、契約の終了と新たな所属機関との契約の締結を出入国在留管理局に知らせるため、所属機関等に関する届出を提出しなければなりません。長きにわたり活躍さえる場合は在留期間更新許可申請を行う必要があります。申請に際には住民税の課税証明書、納税証明書の提出も必要なので源泉徴収されていない場合は確定申告を忘れることのないよう注意が必要です。国民健康保険料など必要なものの加入、納付も重要です。
4. まとめ
「興行」の案件は一般的な就労資格である「技術・人文知識・国際業務」に比べ少ないため、経験を積んでいる行政書士も少ないのではないでしょうか。弊社では数多くの「興行」案件を申請し、その申請数もさることながら、取り扱う興行の種類もバラエティに富んでおります。とりわけ、興行の案件はスケジュールが厳しいことがよくありますので、相談した際に的確かつスピーディーに対応できる専門家が必要です。お困りの際にはお気軽に問い合わせいただければと存じます。
