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ビジネスを変える「次世代デジタル資産」とは?基礎知識と活用事例を解説

ビジネスを変える「次世代デジタル資産」とは?基礎知識と活用事例を解説

会計・税務, テクノロジー
2026年3月10日

近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環として「ブロックチェーン」や「Web3.0」という言葉を耳にする機会が増えています。しかし、「具体的に何ができるのか」「自社にどう関係するのか」がわからないという方も多いのではないでしょうか。本稿では、これからこの領域を学びたい方に向けて、基本的な仕組みから注目される理由、そして実際のビジネス活用事例までをわかりやすく解説します。

「次世代デジタル資産領域」とは、ブロックチェーン技術を基盤とし、インターネット上で価値の移転や所有を可能にする新たな経済圏のことを指します。この領域を理解するためには、基盤となる「ブロックチェーン」、世界観である「Web3.0」、そしてそこで扱われる「デジタル資産」という3つの要素を整理する必要があります。
 

基盤技術:ブロックチェーン

この領域の中核にあるのがブロックチェーンです。これは取引データを「ブロック」という単位でまとめ、鎖のようにつないで記録・共有する台帳技術です。最大の特徴は、特定の管理者が台帳を独占するのではなく、複数の参加者が同じ記録を分散して持ち合い、合意形成を行う点にあります。これにより、記録の改ざんが極めて困難であるとされており、高い透明性と整合性が保たれます。また、「スマートコントラクト」と呼ばれるプログラムを組み合わせることで、条件に応じた契約や決済の自動実行も可能です。
 

インターネットの変遷と「Web3.0」

このブロックチェーン技術によって実現する新しいインターネットの概念が「Web3.0」です。これまでの変遷と比較すると、その革新性が明確になります。
 

Web1.0(1990年代/閲覧の時代):企業が一方的に情報を発信し、ユーザーはそれを閲覧するのみでした。 

Web2.0(2000年代〜/発信の時代):SNS等の普及で誰もが発信者になりましたが、データや収益はプラットフォーム企業に集中しました。 

Web3.0(現在〜未来/所有の時代):ブロックチェーンにより、ユーザー自身がデータや資産を管理・所有できる分散型の世界観です。
 

この領域で扱われる「デジタル資産」

Web3.0の世界で取引され、価値を持つ資産の総称が「デジタル資産」です。単なる通貨の代替手段にとどまらず、あらゆる価値や権利がデジタルデータとして流通する世界が広がっています。下記にいくつか代表例を紹介します。
 

暗号資産(仮想通貨)ビットコインやイーサリアム(ETH)など、送金や決済、価値の保存に使われる通貨型のトークン 

NFT(非代替性トークン):アートや会員権などの「唯一性」を証明するデジタルデータ 

トークン化された資産:不動産や株式など、現実世界の資産をブロックチェーン上で表現したもの 

デジタルID:個人の資格や活動履歴を証明するためのデータ 


従来のコピー可能なデジタルファイルとは異なり、これらの資産はブロックチェーン技術によって「データの真正性(本物であること)」と「所有権」が担保され、改ざんが極めて困難であるとされる状態で取引履歴が記録されます。この特性により、単なるデータのやり取りを超えて、企業間やサービスをまたいだ新たな経済圏(トークンエコノミー)を構築できる点こそが、ビジネスにおける最大の革新性です。 

なぜ今、多くの企業がブロックチェーンやWeb3.0の導入を検討し始めているのでしょうか。その背景には、従来のビジネス慣習を変えるいくつかの技術的特性があります。
 

特定の管理者に依存しない「分散型」の信用

従来は、銀行や公的機関といった中央管理者がデータを管理することで、取引の信用を担保していました。しかしブロックチェーンは、参加者全員が取引の正当性を検証し合う「分散型台帳技術」です。これにより、特定の組織に依存せずに取引を成立させやすくなります。関係者が多い複雑な取引や、第三者に対して取引の正しさを証明し続ける必要がある場面において、この仕組み自体が持つ信用力が大きな武器となります。
 

データの改ざんが極めて困難

取引履歴はブロックという塊で連鎖的に記録され、世界中のコンピューターが検証し合います。そのため、悪意ある第三者がデータを書き換えようとしても事実上極めて難しいです。この「改ざん耐性」の高さが、データの信頼性を担保します。
 

システムダウンに強い

ネットワークに参加するコンピューター(ノード)が同じ情報を共有し合うため、一部のノードに障害が発生してもネットワーク全体は継続して稼働できる設計になっています。この耐障害性の高さは、企業の業務インフラとして非常に重要な安心材料となります。
 

契約と処理の自動化(スマートコントラクト)

「あらかじめ決めた条件を満たすと、処理が自動実行される」というプログラム(スマートコントラクト)をブロックチェーン上に記述できます。これにより、仲介者や人為的な操作を減らしつつ、契約の履行を自動化できます。結果として透明性が高まり、監査も容易になります。

これらの特徴に加え、近年では「ゼロ知識証明(ZKP)」という、情報の詳細を明かさずにその正当性だけを証明する暗号技術の活用も進んでおり、プライバシーを保護しながら透明性を向上させる手段として検討が進んでいます。

では、実際にこの技術はビジネスの現場でどう使われているのでしょうか。かつては金融やアートの分野が中心でしたが、現在ではマーケティングからバックオフィスまで、幅広い業務で活用が進んでいます。ここでは主な活用シーンを2つご紹介します。
 

①顧客体験の向上と新たな投資機会(営業・マーケティング/金融)

顧客との関係性を深めるためのツールとして、あるいは新たな資金調達の手段として活用されています。
 

顧客ロイヤルティの向上(NFT活用)

ゲームやクイズ等をクリアした顧客にデジタルのスタンプ(NFT)を付与する取り組みがあります。収集したスタンプに応じて、限定イベントへの招待や、希少なデジタルアートへのアクセス権などを提供することで、これまでにない特別なカスタマーエクスペリエンスを創出できます。
 

不動産投資の小口化(セキュリティトークン)

マンション・物流施設・旅館などの大型不動産を有価証券としてセキュリティトークン化して発行する事例です。これにより、これまでは大口投資家に限られていた投資機会を個人投資家にも開放し、少額からの投資を可能にしています。
 

②サプライチェーンの透明化と環境対応(サプライチェーン/カーボンクレジット)

モノの流れや環境価値を可視化することで、ブランドの信頼性向上やESG経営に貢献しています。
 

トレーサビリティの確立と偽造品対策

原材料の調達から製品の製造・流通履歴をリアルタイムでブロックチェーンに記録します。これにより、万が一インシデントが発生した際に、迅速な原因特定とピンポイントな対応ができるようになります。また、高級ブランド品においては、製造・流通履歴をNFT化することで、購入者自身が「本物であること」を確認できる仕組みを構築し、偽造品対策とブランド価値の保護につなげています。
 

カーボンクレジットと環境価値の取引

デジタルカーボンクレジット取引プラットフォームの構築が進んでいます。スマートコントラクトを活用することで、クレジットのトークン化から取引、償却までを自動化・透明化します。また、森林再生やリジェネラティブ農業などの環境プロジェクトの成果を可視化し、独自トークンを発行・取引できるエコシステムも生まれています。

このように、ブロックチェーン技術は企業の「顧客接点」や「物流」といった事業活動そのものに大きな変革をもたらし始めています。しかし、こうした新しいビジネスモデルを安全かつ持続的に運用するためには、システムを導入するだけでなく、それを支える「ガバナンス」や「会計・税務」の基盤整備が不可欠です。

例えば、NFTで売り上げが立った際の計上基準はどうするのか、保有するトークンの期末評価は適切か、ブロックチェーン上の記録をどのように監査証跡として扱うか。技術的な可能性が大きい反面、実務の現場では専門的かつ複雑な課題に直面することは避けられません。導入の目的を問わず、最終的には内部統制の構築や監査への対応といった「守りの仕組み」が、プロジェクトの成否を分ける重要なポイントとなります。

RSM汐留パートナーズでは、会計・税務の専門性と国際的なネットワークを活かした「ブロックチェーン・デジタル資産コンサルティングサービス」を提供しております。デジタル資産の評価・開示に関するアドバイスから、監査法人対応まで、お客様の事業フェーズに合わせて総合的にサポートいたします。

まずは小さな範囲から検討を始める段階でも構いません。何かお困りのことがございましたら、上記サービスページをご確認の上、ぜひお気軽にご相談ください。

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