日本における医薬品等の製造販売に係る許認可申請~事前確認事項、適用される法律、その目的及び規制~
2023年8月15日
日本における医薬品等製造販売の許認可についてご紹介いたします。
薬事法から医薬品医療機器等法へ
1943年に制定された「薬事法」が約70年経って、内容と名称を変更し、2014年11月に「医薬品医療機器等法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)」(以下「同法」とします)として施行されました。
同法は医薬品などについて品質及び有効性・安全性の確保並びに危害発生やその拡大の予防について規制をすることにより、保健衛生の向上を目的としています。つまり、医薬品などを使用する人の健康を保つことを目的とする法律です。許可の有効期間は5年間で、その都度更新をしなければなりません。また許可を取得した後、また登録が完了した後に申請事項に変更が生じた場合や販売製造業を廃止する場合は届出が必要です。
申請の準備に取り掛かる前に
申請にあたって実際書類の作成、必要資料の取得をする前に下記について入念に確認する必要があります。そもそも申請自体が不要であったり、申請をしても不許可になるようなことを避けるため、許認可申請において一番肝要な段階といえるでしょう。
- 製品及び業態が同法の許認可申請の対象であるのかどうか
- 許認可申請対象に該当するとして、どの種類に該当するのか
- 申請における要件を満たしているのか
たとえば、②について日本国内で製造・販売される絆創膏を例にご説明します。同法を対象とする製品は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、体外診断用医薬品(検査キットなど)、再生医療等製品に大きく分類されます。さて、絆創膏は、上記のどの分類に該当するのでしょうか。なお、医薬品と医薬部外品の違いは、簡単にいうと前者は主に病気の治療を目的される製品であり、後者は主に衛生や予防を目的とされる製品です。
絆創膏は、成分(特にパッドの部分に含まれている薬剤)によって、「医薬品」「医薬部外品」「医療機器」のいずれかに当てはまる可能性があります。つまり製品名やその用途が分かっても使われている薬剤の成分などによっては申請する種類が異なりことになり、「絆創膏」だけではどの種類に該当するかは確定的なことはいえないことになります。当然、申請の種類が異なれば、要件や準備する書類なども変わってしまいますので注意が必要です。
その他留意点
虚偽広告、誇大広告の禁止と課徴金の導入
同法の法改正(2021年8月施行)により、医薬品などに関する虚偽広告や誇大広告は、課徴金の対象とされるようになりました(同法66条、75条5の2)。課徴金の割合は、虚偽広告などで得た利益の4.5%です。ただし、対象となる売上金額が5,000万円未満の場合には、課徴金は免除されます。この規制の対象の主語は「何人」であるため、医薬品などの製造業者でなかったとしてもこの規制の対象になりうる点は注意が必要です。