日本における外国人の帰化・永住の違いや要件、申請時の留意点
2022年12月15日
日本に長期在留している外国人の中には、今後も日本で生活をしていく予定であるものの、『数年ごとの在留資格に係る手続きが手間』などの理由により、帰化または永住権の取得を考えている方もいると思います。外国人従業員から相談や質問を受ける人事ご担当者も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、外国人の帰化および永住についてご紹介致します。帰化や永住の違いや要件、注意事項等について詳しく説明いたします。
帰化と永住とは?両者の違いも解説
まずは帰化と永住について、それぞれ説明します。
帰化とは「日本国籍を取得すること」です。帰化が許可されれば、入管法上、日本人として扱われるため、在留資格も在留期限もありません。ただし、帰化が認められる条件の1つに重国籍防止条件があり、原則として帰化によってそれまでの国籍を喪失することになります。
永住とは、国籍はそのままで「永住者」の在留資格を取得することです。「永住者」の在留資格には在留期限がありませんので、期間の制限なく日本に在留することができます。
帰化と永住の違いをまとめると、概ね下表のとおりです。
帰化 | 永住 | |
---|---|---|
必要な手続 | 帰化許可申請 | 永住許可申請 |
申請先 | 法務局 | 出入国在留管理庁 |
国籍 | 日本国籍になる | 外国籍のまま |
パスポート | 新たに日本のものを取得 | 外国のものを引き続き使用 |
在留カード携帯義務 | なし(在留カードは入管へ返納します) | あり |
戸籍 | 取得できる | 取得できない |
参政権 | あり | なし ※一部自治体では例外あり |
帰化と永住の大きな違いは「国籍」です。将来的に国籍をどうしたいのかを考えつつ、帰化か永住のどちらを選ぶかを考えていくとよいでしょう。
帰化の特徴や主な要件について
上記で紹介したとおり、帰化が認められると、原則としてそれまでの国籍は喪失することになります。そして、喪失した国籍を再び取得するのは難しい場合もあります。申請する前に将来の生活プラン等を慎重に検討する必要があります。
帰化が認められるには、先述の重国籍防止条件以外にも「継続して5年以上日本に住んでいること」が必要です。永住許可申請には継続して10年以上の居住が必要なことを考えると、一見すると帰化申請のほうが簡単なように思われます。しかし、申請に際しては、出生から現在に至るまでの詳細を記した書類が必要であったり、申請後に複数回、日本語での面接があったりと、申請準備および申請中の手間は決して少なくありません。
永住の特徴や主な要件について
「技術・人文知識・国際業務」や「経営・管理」、「企業内転勤」などは業務限定で就労可能な在留資格ですが、「永住者」の在留資格はそうした制限なく就労でき、単純労働やアルバイトも行えますし、転職も自由に行うことができます。
また、「日本人の配偶者等」の在留資格の場合、配偶者と死別・離婚すると在留資格を変更する必要がありますが、「永住者」の在留資格であれば、離婚などにも左右されずに安定した生活を日本で送ることができます。ただし、帰化とは異なり、「永住者」という在留資格を得ている外国人ですので、入管法が定める以下の制度等の対象です。
・7年ごとに在留カードの更新が必要
・日本を出国する際には再入国許可の申請等が必要
・犯罪行為など日本の公序良俗に反する場合は、在留資格を取り消され、本国への帰国を求められる可能性もある
永住者になるには、原則として申請時点で継続して10年以上日本に居住し、かつ直近5年間は継続して就労しているなど厳しい要件があります。また、審査においては、来日以降すべての在留履歴を再度チェックされますので、計画的に準備を進めていく必要があります。
帰化と永住の申請時に共通する注意事項
どちらの申請も審査には数か月を要します。審査期間中にその時点で持っている在留資格の在留期限が経過する場合は、別途、在留期間を更新する申請が必要です。もし、更新申請を行わず、審査期間中に在留期限が経過した場合は、不法残留となるため注意が必要です。
おわりに
今回は、外国人の帰化および永住に関する基本事項や両者の違い、特徴や注意点について紹介しました。外国人を雇用している企業であれば、外国人から相談を受けることもあると思います。両者の特徴をしっかりと認識するとともに、将来の生活プランと照らし合わせた上で選択するようにしてください。
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