日本で就労する外国人材の方々、特に「高度専門職1号」の在留資格をお持ちの方にとって、将来的な在留ステータスの目標として「高度専門職2号」への移行か、「永住者(永住許可)」の取得か、どちらを選択すべきか悩まれるケースは少なくありません。
両者ともに「在留期限が無期限になる」という共通点がありますが、活動の範囲や家族への優遇措置などに明確な違いが存在します。
本記事では、高度専門職2号と永住者の法的な違い、それぞれのメリット・デメリット、そして自身のライフプランに合わせてどちらを選択すべきかの判断基準について解説します。
1. 高度専門職2号とは
「高度専門職2号」とは、高度専門職1号の在留資格をもって3年以上活動を行った方を対象とした在留資格です。 高度専門職1号のポイント制による優遇措置を維持・拡充しつつ、在留期間が無期限となるのが最大の特徴です。
2. 永住者とは
「永住者」とは、在留期間の制限がなく、かつ就労活動の制限も一切ない在留資格です。 原則として10年以上の在留が必要ですが、高度専門職の方が規定されたポイント を満たす場合、例外的に短期間(1年または3年)での申請が可能となる場合があります。
3. 高度専門職2号と永住者の比較ポイント
両者の違いを理解するために、特に重要となる5つのポイントを解説します。
1. 就労活動の自由度(職種の制限)
【高度専門職2号】 「高度専門職1号」で認められる活動のほか、その活動と併せて就労ビザのほぼ全ての活動を行うことが可能です。 ただし、あくまでも「高度な専門性を持つ活動」を行うことが前提となるため、単純労働(コンビニエンスストアのレジ打ちや工場のライン作業など)のみに従事することは認められないと考えられます。また、長期間(原則6ヶ月以上)にわたり高度専門職としての活動を行わない場合、在留資格取消の対象となる可能性があります。
【永住者】 活動内容に制限がありません。職種を問わず働くことが可能であり、単純労働に従事することも、あるいは就労せずに過ごすことも認められます。会社を辞めても在留資格に影響がないため、より自由度が高いといえます。
2. 親の帯同(呼び寄せ)
【高度専門職2号】 高度専門職1号と同様の優遇措置が継続されます。 一定の要件(世帯年収800万円以上、7歳未満の子の養育など)を満たす場合、本人または配偶者の親の帯同が認められる場合があります。これは高度専門職ならではの大きなメリットです。
【永住者】 原則として、親の帯同は認められません。 高度専門職から永住者へ変更した場合、それまで同居していた親の在留資格更新ができなくなり、帰国を余儀なくされるリスクがあるため、注意が必要です(※親が「特定活動(告示外)」などで個別に許可されるケースは極めて限定的です)。
3. 家事使用人の帯同
【高度専門職2号】 一定の要件(世帯年収1,000万円以上など)を満たす場合、家事使用人の帯同が認められる場合があります。
【永住者】 原則として、家事使用人の帯同は認められません。
4. 配偶者の就労
【高度専門職2号】 配偶者は「特定活動」の在留資格を得ることで、「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザに該当する業務(いわゆるフルタイム勤務)に就くことが可能です。この際、配偶者自身の学歴や職歴要件は問われません。また、週28時間以内という制限もありません。
【永住者】 配偶者が「永住者の配偶者等」の在留資格を取得した場合、就労制限はなくなります。単純労働を含め、どのような仕事に就くことも可能です。 ただし、配偶者自身も永住申請を行い許可された場合は「永住者」となり、同様に制限はありません。
5. 社会的信用(住宅ローンなど)
【高度専門職2号】 在留期限が無期限であるため、一般的な就労ビザに比べれば信用度は高いとされますが、金融機関によっては永住者を優遇する傾向があります。
【永住者】 日本の在留資格の中で最も信用度が高いとされます。多くの金融機関で、住宅ローンの審査において「永住者であること」を条件、あるいは有利な条件として設定しているケースが見受けられます。
4. 違いのまとめ(比較表)
| 比較項目 | 高度専門職2号 | 永住者 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 無期限 | 無期限 |
| 就労制限 | 活動制限は緩和されるが、単純労働等は不可 | 制限なし(どのような仕事も可) |
| 失業時の地位 | 長期間活動がないと取消対象となる可能性あり | 影響なし |
| 親の帯同 | 要件を満たせば可能(7歳未満の子の養育等) | 原則不可 |
| 家事使用人 | 要件を満たせば可能 | 原則不可 |
| 配偶者の就労 | 学歴・職歴不問でフルタイム可(単純労働は不可) | 「永住者の配偶者等」になれば制限なし |
| 住宅ローン | 有利(金融機関による) | 非常に有利 |
5. どちらを選択すべきか?判断の目安
それぞれの特徴を踏まえると、ご自身の状況に合わせて以下のような選択が推奨されます。
6. 高度専門職2号が適しているケース
親を日本に呼び寄せて、子育てを手伝ってもらいたい方 現在、高度専門職1号の優遇措置を利用して親と同居している、あるいは将来その予定がある場合は、永住許可申請を慎重に検討する必要があります。永住者になると親の在留資格が維持できなくなる可能性があります。
- 家事使用人を雇用し続けたい方 同様に、現在帯同している家事使用人がいる場合も、高度専門職2号の維持が推奨されます。
7. 永住者が適しているケース
職業選択の自由を最大限に確保したい方 将来的に独立起業を考えているが事業内容が高度専門職の範囲外になる可能性がある、あるいは一時的に休職したい、単純労働を含む多様な働き方をしたいといった場合は、永住者が適しています。
住宅ローンを組み、日本に定住する基盤を固めたい方 最も社会的信用が高いため、長期的な資金計画が立てやすくなります。
在留資格の更新や管理の手間をなくしたい方 高度専門職2号は「在留期間」は無期限ですが、所属機関(勤務先)に関する届出義務などは残ります。永住者は、7年に1度の在留カード更新以外、入管局での手続きが大幅に減少します。
8. まとめ
「高度専門職2号」と「永住者」は、どちらも日本で安定して暮らすための強力なステータスですが、その性質は異なります。
特に「親の帯同」と「職業選択の自由」は、両者を分ける決定的な違いとなります。 現在のライフスタイルだけでなく、将来の家族計画(出産・育児)やキャリアプラン(転職・独立)を見据えて、どちらの資格がご自身にとって最適かを検討することが重要です。
要件は複雑であり、個別の事情によって判断が難しい場合もありますので、申請のタイミングや要件については、専門的な情報を確認しながら進めることをお勧めします。
