日本の在留資格制度において、「技術・人文知識・国際業務」や「留学」などの一般的なカテゴリーに当てはまらない活動を受け入れるための受け皿となるのが、在留資格「特定活動」です。
この在留資格は、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動を行うためのものであり、その内容は多岐にわたります。近年では、日本の大学を卒業した留学生の就職支援や、高度人材の親の帯同、さらにはデジタルノマドなど、新しいニーズに対応する形で活用の幅が広がっています。
本記事では、複雑な「特定活動」の分類や申請手続きの概要、そして許可取得後に特に注意すべき点について解説します。
1. 在留資格「特定活動」の分類と特徴
「特定活動」は、大きく分けて以下の3つの種類に分類されると考えられます。申請準備を進めるにあたり、自身がどのカテゴリーに該当するかを正確に把握することが第一歩となります。
(1) 告示特定活動
法務大臣があらかじめ官報により定めた活動です。すでに要件が明確化されており、該当すれば許可される可能性が高いものです。代表的なものとして以下が挙げられます。
- 特定活動46号: 日本の大学を卒業し、高い日本語能力(JLPT N1等)を持つ者が、幅広い業務に従事する場合。
- 特定活動9号: インターンシップ。
- 特定活動51号: J-Find(未来創造人材)。
(2) 告示外特定活動
あらかじめ官報で定められてはいないものの、人道上の理由や特別な事情を勘案して法務大臣が許可するものです。個別の事情に応じて判断されるため、一般的に申請の難易度は高いとされています。
- 高齢の親の呼び寄せ: 本国に身寄りがなく、扶養が必要な高齢の親を呼び寄せるケース。
- 就職活動(継続): 「留学」からの変更など、大学卒業後に日本で就職活動を継続する場合。
(3) 特定研究等活動・特定情報処理活動
特定の研究活動や情報処理活動に従事する場合などが該当しますが、近年では高度専門職等のカテゴリーに吸収・整理されている側面もあります。
2. 「特定活動」の申請手続きと必要書類
特定活動は活動内容によって必要書類が大きく異なりますが、一般的な申請の流れと主要な書類は以下の通りです。
申請の流れ
基本的には、海外から呼び寄せる場合の「在留資格認定証明書交付申請」か、すでに日本に在留している場合の「在留資格変更許可申請」のいずれかを行います。
一般的な必要書類
活動内容により変動しますが、共通して求められる傾向にある書類は以下の通りです。
- 申請書: 活動内容に応じた様式を使用します。
- 理由書: 特に「告示外特定活動」の場合、なぜ日本に在留する必要があるのか、どのような活動を行うのかを詳細かつ論理的に説明する必要があります。
- 経費支弁能力を証する書類: 申請人本人または扶養者の預金残高証明書、課税証明書・納税証明書など。
- 活動内容を疎明する資料:
- 就労系の場合:雇用契約書、会社の登記簿謄本、決算書など。
- 身分系の場合:戸籍謄本、出生証明書、診断書(病気療養等の場合)など。
※2024年4月から運用が開始された「デジタルノマド(特定活動53号)」など、新しい制度については、加入している民間医療保険の証書などが求められるケースもあります。最新の情報を入管庁のガイドラインで確認することが重要です。
3. 「指定書」の重要性について
特定活動の在留カードを取得した際、最も重要なのが「指定書(Designation)」です。
在留カードの表面には「特定活動」としか記載されていませんが、パスポートに貼付(または交付)される「指定書」には、その外国人が日本で行うことができる具体的な活動内容が記載されています。
この指定書の内容が、その方の活動範囲を決定づける法的根拠となります。したがって、在留カードだけでなく、指定書の内容を正確に理解し、保管しておくことが求められます。
4. 取得後の注意点とリスク管理
特定活動の許可が下りた後も、安定して日本に在留し続けるためには、いくつかの重要な注意点があります。
(1) 就労活動の制限を厳守する
特定活動には、「就労が認められるもの」と「認められないもの」があります。また、就労が認められていても、「指定書に記載された機関(特定の会社)でのみ就労可能」という制限がついているケースが多く見られます。
例えば、インターンシップやEPA(経済連携協定)に基づく看護師候補者などは、指定された受入れ機関以外で働くことは認められません。転職をする場合は、たとえ職種が同じであっても、再度「在留資格変更許可申請」を行い、新しい指定書を取得する必要があるケースが一般的です。
(2) 更新時の審査基準
特定活動の期間更新許可申請では、当初の活動目的が継続しているかが審査されます。 例えば、「就職活動」のための特定活動であれば、実際に面接を受けている記録やハローワークの利用実績など、具体的な活動実績の提出が求められます。単に日本に滞在したいという理由だけでは、更新が不許可になるリスクがある点に留意が必要です。
(3) 家族の帯同について
他の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)であれば、配偶者や子を「家族滞在」として呼び寄せることができますが、特定活動の場合は、本人の活動類型によって家族帯同の可否が異なります。 例えば、「特定活動46号(本邦大学卒業者)」の場合は配偶者の帯同が認められますが、類型によっては認められない場合もあるため、事前に確認することが望ましいでしょう。
まとめ
在留資格「特定活動」は、多様な外国人の受け入れを可能にする柔軟な枠組みである一方、個別のケースごとに要件や必要書類が大きく異なり、非常に複雑な制度となっています。
特に「告示外」の申請においては、入管法の趣旨を理解した上での立証資料の作成が求められるため、専門的な知識が必要となる場面も少なくありません。ご自身の状況がどの「特定活動」に該当するのか、要件を満たしているのかについて、正確な情報を基に準備を進めることが許可への近道といえます。
