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在留資格「企業内転勤」の申請要件や雇用契約給与支払いの注意点とは

在留資格「企業内転勤」の申請要件や雇用契約給与支払いの注意点とは

日本進出, 外国人雇用・イミグレーション
2025年12月3日

企業のグローバル化に伴い、海外の本店や支店から日本の拠点へ外国人社員を呼び寄せるケースが増加しています。このような人事異動の際に検討される代表的な在留資格が「企業内転勤」です。 

本記事では、企業の人事担当者様や海外事業部の責任者様に向けて、在留資格「企業内転勤」の該当性、申請における重要要件、そして実務上で論点となりやすい「雇用契約」や「給与支払い」の形態について、最新の法制度に基づき解説いたします。 

在留資格「企業内転勤」は、日本に本店・支店・その他の事業所がある公私の機関の「外国の事業所」の職員が、日本にある事業所に期間を定めて転勤し、当該事業所において専門的な業務に従事する場合に付与される在留資格です。 

単純労働(現場作業など)は認められておらず、従事する業務内容は、いわゆる就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」のカテゴリーに含まれるものである必要があります。 

具体的には、以下のいずれかに該当する業務が対象となります。 

技術: 理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術や知識を要する業務(例:システムエンジニア、機械設計など) 

人文知識・国際業務: 法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する知識を要する業務、または外国の文化に基盤を有する思考や感受性を必要とする業務(例:マーケティング、通訳・翻訳、デザイナーなど)
 

許可を得るためには、出入国管理及び難民認定法(入管法)等の定める基準を満たす必要があります。主な要件は以下の通りです。
 

(1)転勤元と転勤先の関係性 

外国の事業所と日本の事業所との間に、資本関係等の密接な関係があることが求められます。具体的には以下のような関係性が該当すると解されています。 

  • 本店と支店間の異動 
  • 親会社と子会社間の異動
  • 子会社間の異動(孫会社を含む関連会社間も対象となる場合があります)

単なる業務提携や取引関係のみでは、この要件を満たさない可能性が高いため注意が必要です。
 

(2)勤務期間の要件(「1年」のルール) 

申請人が、転勤の直前に外国にある本店、支店、その他の事業所において「1年以上継続して」該当する業務に従事している必要があります。 

この「1年」には、過去に日本で勤務していた期間は原則として含まれません。あくまで「外国の事業所」での勤務実績が問われます。
 

(3)報酬の要件 

日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受ける必要があります。これは、安価な労働力としての外国人受け入れを防ぐための規定です。地域の賃金水準や同僚となる日本人社員の給与と比較して妥当性が判断されます。 

一般的な就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)では、日本の受入れ機関と申請人が直接雇用契約を結ぶことが一般的です。しかし、「企業内転勤」においては、雇用契約の形態がより柔軟に解釈される傾向にあります。
 

日本法人との新たな契約は必須ではない 

「企業内転勤」の場合、必ずしも日本の事業所と新たに雇用契約書を締結する必要はありません。外国の事業所(転勤元)との雇用契約を維持したまま、日本の事業所へ「出向」や「転勤」という辞令に基づいて配置転換されるケースが多く見られます。
 

疎明資料としての辞令等の重要性 

申請時には、雇用契約書の代わりに、転勤命令書(辞令)、派遣状、あるいは転勤に関する合意書等を提出し、以下の点を明確にする必要があります。 

  • 転勤の期間
  • 日本での地位・職務内容
  • 日本での報酬額

特に「期間を定めて転勤する」ことが要件であるため、いつまで日本に滞在する予定か(あるいは任期の定めがあるか)が明確であることが望ましいと言えます。 

「企業内転勤」においてよく質問が寄せられるのが、「給与をどちらの国で支払うべきか」という点です。結論から申し上げますと、以下の3つのパターンのいずれも認められる可能性があります。

  • 外国の会社が全額支払う
  • 日本の会社が全額支払う
  • 外国と日本の会社で分担して支払う
  • 海外払いのみでも認められるケース

「企業内転勤」の大きな特徴として、外国法人(転勤元)に籍が残っている場合、給与の支払元が外国法人であっても認められる点が挙げられます。ただし、日本での生活費を賄うのに十分な額が支払われていることの証明が必要です。 

また、海外で支払われる場合であっても、日本の税法上の居住者となる場合は、日本での納税義務が発生する可能性があるため、税務上の取り扱いについては別途税理士等への確認が推奨されます。 

実務上、どちらの在留資格を選択すべきか迷うケースがあります。主な違いは以下の通りです。

項目 企業内転勤 技術・人文知識・国際業務 
学歴・実務経験 不要(ただし直近1年の勤務が必要) 必要(大学卒や10年の実務経験等) 
転職の可否 原則不可(転勤先企業に限定) 活動範囲内であれば可能 
契約形態 転勤辞令等で可 日本機関との契約が必要 

在留資格「企業内転勤」は、グループ企業間の人事交流を円滑にするための重要な資格です。学歴要件が問われない等のメリットがある反面、「直近1年の海外勤務」や「資本関係の証明」など、特有の要件をクリアする必要があります。 

また、給与支払いの形態や雇用契約の内容が複雑になりやすいため、申請にあたっては立証資料の整合性を慎重に確認することが求められます。個別の事例における判断については、専門的な知識を要するため、ご不安な点は専門家へご相談されることをお勧めいたします。

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